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美也side
「ごめんごめん。」
「大して待ってないから、大丈夫。」
「お、美也ちゃん。浴衣、似合ってるね。」
「あ、ありがと。」
たまたま私達2人は家の手伝いで本来の待ち合わせの時刻には間に合わなかった。
きっと、2人の距離は・・・
「ねえ、美也ちゃん。」
「んぇ?」
「今日の俺はね、遅れて良かったと思ってるんだよ。
だって、きっちゃんも春ちゃんも、幸せを感じてると思うから。
今日も美也ちゃんは、どう?」
「・・・今日の美也ちゃんも、良かったと思ってるよ。」
嘘ではないんだ。
2人が仲良くしているところを見るのは
やっぱり胸が痛むし、泣きそうになる。
だけど、あのときほど辛くはない。
きっと、健太くんがいるから。
徐々に惹かれているのを感じながら
やっぱり私の恋のライバルは妃ちゃんなのだと
苦笑いするしかなかった。
「あ、きっちゃんと春ちゃんだ!」
「え?どれ?」
「あれあれっ」
指さした方向を見ると、確かに2人だ。
大きく賑わっているこちらを避けるように、
人気の少ない場所に、2人は居た。
声をかけようと2人で大きく息を吸った時
2人の影が重なるのを、見てしまったんだ。
「美也ちゃん。」
「うん。」
「やっぱ、辛いや。」
「うん。」
「きっちゃんのこと、好きだもん。」
「うん。」
「心臓が、痛い。」
「・・・・・・うん。」
私も、痛いよ・・・




