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Youth love story  作者: 桜桃
19/25

花火大会




美也ちゃんと色違いの浴衣。

白色の生地にピンク色の花模様。

美也ちゃんは、黄色の生地にピンクの花模様。


2人でこの間買いに行ったのだ。



髪の毛もアップにしてもらって、軽く巻いてもらった。



いつもと違う自分に、ウキウキしつつ、気恥ずかしかった。


健太くんは、家の手伝いがあるから少し遅れるとのこと。


1人で、賑わう出店を見ながら

今か今かと待ちわびていた。





「1人?」



とんとん、と肩を叩かれて後ろを見れば

男の人が一人。



「えっと、友達を待ってるんです。」


「そっか~、実は俺も連れ待っててさ。

 良かったら一緒に回んない?」



漫画で見たような、ナンパの台詞だったけど

見た目がチャラチャラしてなくて。

どちらかというと、真面目そうな感じだったから

危機感みたなものは、何もなかった。



「ごめんなさい、友達に聞いてみないと。」


「そっかそっか、だよねー、じゃあ、一緒に待っててもいい?」


「はい、良―――――」


「わりぃけど、一緒に回るつもりはないんで。」



すとん。と胸に納まる。


安心する、甘い香り。


心臓の音が少し早くて、少し汗ばんでて、少し息が切れてる。


走ってきたのだろうか。




「・・・んだよっ男かよっ」




そう言って、男の人はそのまま居なくなってしまった。




「春くん?」


「馬鹿!!!あんな見え透いたナンパに引っかかっちゃだめだって!」


「え、あれナンパなの!?」




私の言葉に、呆気がとられたように春くんは目を丸くした。




「~~~っお願いだから、もうちっと危機感持って?」




へなへな、っと座り込んで、顔を押さえて、春くんは言った。




「・・・うん、ごめんね?でも、ありがとう。」





王子様みたいで、かっこよかった。


少し、強引に引き寄せられた肩がまだ熱を持っている。




「そういえば、美也ちゃんは?」


「家の手伝いだって。」


「そっか、健太くんもなんだよね。」


「じゃあ、少しの間、2人だね。」


「・・・うん。」


「んじゃ、ほい。」




「はぐれたら、困るから。」

そう言いながら差し出された手。


真っ赤な顔を、屋台の明かりでごまかせないかな。

なんて思いながら、そっと手を重ねた。






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