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「美也、ちゃんは・・・」
「はい・・・」
「春ちゃんのこと、好きなの?」
ド直球・・・
まあ、ここで変化球を投げる必要もないか。
「そうだよ。そっちこそ、妃ちゃんのこと好きなんでしょ?」
「・・・うん。」
「でも、あの2人、意識してるよね。」
「・・・・・・うん。」
「そっちもだと思うけどさ、ずっと小さい頃かずっと好きだったし
結婚しようね、っていう約束にもならない幼い日の思い出が
心のよりどころで、今までお互いにつきあってた人なんていなかったし。
・・・だから、正直まだ混乱してるんだよね。
傷ついている心は確かにあるのに、どこか他人事のようで。
まるで、いつかは来るってわかってたみたいに、冷静で。
自分とは結ばれないって、心のどこかではわかってんだと思う。
だけど、今はいろんな感情がぐちゃぐちゃになりすぎてて、
自分でも、よくわかんないの。どうしたらいいのか、どうしたいのか。」
「・・・それは、考えなくてもいいんじゃない?」
「え?」
「美也ちゃんの気持ち、わかるよ。
俺だってそうだもん。
大好きなきっちゃんの応援もしたいし、春ちゃんならわかるし。
でも、俺だってきっちゃんが好きなんだもん。
あきらめようなんて思わないし、忘れようとも思わない。
だから、無駄に考えないで感情の赴くままに動くことにした。
もしかしたら、明日の俺はきっちゃんのことを応援するかもしれないし
アタックするかも、告白するかも。
だから、明日のことは明日の俺に任せる。」
すごく、すごくアホで馬鹿だと思った。
だけど、すごく、すごく大きな人だと思った。
「美也ちゃんもさ、頭で考えるのやめよ?
そのとき、その瞬間、こうしたい!って思った方向に突き進めば良いんだよ。」
「・・・うん。」
にかっと、朝とは打って変わって晴れ晴れとした表情をする彼に
ほんの少し、ドキッとしたことは内緒にしておこう。




