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美也side
「じゃあ、入部したらよろしくね。」
にこやかに笑ったその人は
私が入ろうとしている新体操部の部長だ。
昔から身体が柔らかかったし、運動神経も良いほうだし。
春に「体操やったらいいのに。」と言われただけで
興味をもってしまった。
私も結構単純だ。
「・・・あ。」
「・・・あ。」
えーっと、妃ちゃんの幼なじみのー
「健太くん。」
「美也ちゃん。」
「あ、どうもです。」
「あ、こちらこそ。」
お互い、不思議そうな顔を見合わせた。
きっと、彼は私と同じように叶わない恋をしている。
そして、私達の思い人は互いに意識し合ってるのだ。
まだ、お互いにその認識があるかはわからないけど。
「えーっと・・・家、近かいのかな?」
「私、南区。」
「あ、俺も。」
「風谷中。」
「その隣町にある山丘中。」
「近所、ですね。」
「近所、ですね。」
沈黙ーーーーー
めっちゃ気まずい。
この人、底抜けに明るくなかったっけ?
あ、そっか。
春と妃ちゃんの仲が・・・
って、私まで落ち込んできちゃった。
「えっと・・・一緒に、帰ります?」
「あ・・・そう、します・・・」
なんで私が気を遣わなきゃいけないのっ
私だって心痛めてるのに!!
と思いつつ。
こんな子犬みたいに しゅんっ
とされちゃ、私だって無下にできないわけで。
まあ、仕方ないわな・・・




