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自覚
その日一日中、健太くんも美也ちゃんも
表情は曇ったままで。
一緒にお昼を食べているときも、
ため息を何度も吐いてて。
春くんと目を合わせては、心配だね。
と表情で会話して。
一緒に帰ろうと健太くんに言えば
「部活見学してくる。」
と目を合わさずに、そのまま教室を出て行ってしまった。
対する春くんも同じ理由で美也ちゃんから
一緒に帰られないと言われてしまったらしい。
眉毛を下げて、笑いながら私の元へとやってきた。
「妃は、部活見学しないの?」
「私は、美術部に入ろうかなって。」
「お、奇遇だね。俺も美術部。」
「えっそうなの?
・・・一緒に入る人いなかったから、安心。」
ドキドキ。
心臓の鼓動が大きくなる。
「んじゃ、部活ある日は一緒に帰られるね。」
・・・っ
「うん。」
春くんの一言一言が嬉しい。
笑顔を向けてくれるだけで、幸せになる。
どんどん、どんどん好きになってく。
・・・好き?
「妃?どうかしたか?」
「・・・ううんっ何でもないよ。」
そっか、私・・・
春くんのことが、好きなんだ。




