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美也side
部屋の窓から外を眺める。
窓は2つあって、1つは春の部屋と向かい合わせ。
もう1つは家の前の通りが見える。
最近はよくうちに来て夕飯を食べてたのに
今日はいらないと連絡がきた。
お母さんは「残念ねぇ、ご馳走にしようと思ってたのに。」と言いながら、春の分のお肉を冷蔵庫に閉まっていた。
暗闇の中、ぴょこぴょこ歩く姿が見える。
間違いなく、春だ。
ずっと、見続けた 春だ。
「はーるーっ」
「おぉっ びくったぁ、美也か。」
「こんな遅くまで、1人寂しく外食?」
「ちげぇよ。」
「じゃあ、なーに?入学早々友達でもできた?」
あの、健太くんという奴は家族と外食だって
妃ちゃんは言ってた。
私の知らないところで、友達でもできたんだろうか。
「友達…うーん、まぁ、友達、かな。」
「なにその曖昧な感じ。」
「なんかさぁ、ここがモヤモヤすんだよ。」
胸を軽く叩いた。
「友達、なんだけど、それじゃしっくりこねぇっていうか、なんか、変な感じ。」
「…それ、って…」
「美也は、わかる?」
ーー恋じゃないの?
口からそう出かかってやめた。
誰に、そんな思いを寄せてるの?
私が知らないうちに、そんな女の子が
いつの間に、現れたんだろうか。
やっぱり今日、一緒に帰っておくべきだった。
私の中で、後悔の渦がたちこめる。
「まぁ、いいや。んじゃ、おやすみ 美也。」
「おや、すみ…」
ぼーっとして、モヤモヤして。
ねぇ、春。
私はわかるよ、その感情がなんなのか。
だって、私が長年 春に抱いていた感情だもん。
わからないわけないじゃない。
だけど、教えたくない。
ごめんね、意地悪な幼馴染で。
春に、その感情を自覚させてしまったら
二度と私の隣に居ないような気がするから
絶対に、私の口からは言えない。
だから、お願いだから、
自覚しないで、春。
できることなら、ずっと
ずっと、私の隣にいてほしい。




