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「あ、うまっ」
「良かった〜」
大きく一口食べた春くんは、
笑顔でそう言ってくれた。
「卵 とろとろ。めっちゃうまい!」
「そう言っていただき、光栄です。」
「波野さんも一緒に食べればいいのに。」
「私には片付けや明日の仕込みが残ってますから。そのお気持ちだけで十分です。」
私の家で働いてくれているのは
泰村さんと波野さんだけ。
2人が、私の寂しさを紛らわせてくれる
いわば親代わり。
だけど いつもご飯は一人で。
やっぱり寂しくて。
だけど今日は、春くんがいる。
「ん?顔になんかついてる?」
「ううん。ついてないよ。いっぱい食べてね?」
「おうっ」
こんな幸せな日が、ずっと続けばいいのに。




