第1話 虚構(ゆめ)の世界へ
書きたい、書きたいと思ってようやく算段がつきまして、バトルものの長編を書きました。流れはできているけれども、設定の名前とかまだ決めきれてないとこもありますので、そこはご容赦ください。では、どうぞ。
それは楽しい楽しい虚構の世界
現実から逃げ、いざ行かん
悪意も絶望も、嫌なことはなにひとつないありえない世界へ
0-???
戦士は五人。
彼らの周囲にはすでに破壊された、建造物の瓦礫が無造作に転がっていた。
そこに人間はいない。五人の戦士と化け物だけだ。
五人は自然とそこへまた集まり、各々の武器を構えた。
紫の戦士は杖を伸ばして鞭となし、緑の戦士は赤地のマントでそれを払う。
払われた鞭をもかいくぐり、上空から鎖に繋がれた二本の斧を振り降ろすのは灰色の戦士。その斧を、白と黒の二本の西洋剣で紺の戦士は受け払う。
そして水色の戦士は掌で空に『ζ』の文字を描き、現れた武器――『ζナックル』を握りしめ、戦士達のいる方へ拳を撃つ。
そこは一時、爆炎に包まれた。
戦場が焦げても、戦闘の混沌は、彼らの闘志は燃え尽きることを知らない。
1-門中颯良
俺は、本を読んでいる。今日は、凛桐氷雨の『ARA―アビリティ・レイズ・アカデメイア―』。ファンタジー色が強く、サラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ノームの属性を持つ人物達が戦ったりする話である。今まで恋愛ものが多かった彼女がファンタジーにまで手を出した、初作品である。
走ってくる足音に耳だけ傾け、視線を一瞬だけ本からずらして相手を確認し、また戻す。
「よぅ、紅太」
「ごきげんよう、門中先輩。――って、また本読みながら歩いてる。こけますよ?」
「大丈夫だよ、今までだって、これで大丈夫だったんだから」
「それでも隣に僕がいるんですから、話すときくらい、」
「ちょっと待てよー……ここで……っ、おしっ、キリが着いた。ところで紅太、ドッペルゲンガーって、出会った相手はすぐ死んじまうらしいぞ」
「……仲のいい後輩への第一声がそれですか?」
ようやく本を閉じ、後輩・篠原紅太の顔を見た。呆れ顔だ。
「あーあー、悪かったよ。何奢ってやろうか?」
「先輩、大学生になってからの”奢れば済む”みたいな発想はやめてください」
「へーへー。で、どうした?」
「どうした、って……今日うちに来るって話だったじゃないですか」
「毎度思うけどその『ごきげんよう』ってどうにかならねぇ?」
「それはうちの高校がカトリックで言わされてて、……ってこれ何度目ですか。今突っ込むんですか。それで忘れてたのを隠そうとしてるつもりですか」
「どうどうどう、それ、どっから答えたらいいんだよ」
俺は紅太を諫め、頭を掻いた。そこへ、
「おいっ、そこの青いのっ!!!」
後ろから面倒そうな声が聞こえた。
「あれですぜ、青い変な奴!」
「そうか、あいつか……」
後ろがガヤガヤし始め、紅太は怖々と振り返って言った。
「……先輩、またなにかしたんですか?」
「……毎度言ってるだろ、俺に聞くな。俺の、変な頭にでも聞いてくれ」
少なくとも、俺が先に手を出したわけじゃない。いつもそうだ。正当防衛だ。
そんなことを呟こうとした時には、後ろの奴らはすでに走り出していた。
「あぁ、もう……面倒くせぇけど、相手になってやるよ」
俺は振り返り、また青い頭を掻いた。
中略。
先ほどの言葉から数秒後、俺の周りには屍……いや死んでないが、のされた野郎どもが転がっていた。
俺の青い髪は染めたわけじゃない。なんらかの病気みたいな感じで青い色で生まれたらしい。それを知った時、親は俺の名前にぴったりだと言ったらしいが、小学校でも中学校でも、どこでも目立ち、それが標的にされやすくなるとは、ついぞ分かってくれなかった。
だからこんな風に結構な頻度でケンカに遭い、こうやって相手をのすのが常である。
とはいっても、一応正当防衛なので、攻撃をいなして、こけたり壁にぶつかるやらで自滅するまでで終わらせるのがほとんどだ。
それでできた(ただ自滅したようなもんの)山を見ながら、紅太は言った。
「すごいですね、門中先輩……僕には真似出来ませんよ」
「いいんだよ、お前はそれで。単に鍛えるならともかく、こういう慣れで強くなる必要はねぇ」
「そうですか。優しいですね」
俺は苦笑しながら歩き始め、紅太は俺の後を着いてくる。
「で、うちでやるエンデスゲームのこと、思い出しましたか、先輩?」
「ああ、そうだったな」
俺は自分の手をポンッ、と打った。漫画のように。
正式な作品名『Endless end game』――略して『エンデスゲーム』は、近年稼働し始めたVRMMO――簡単に言えば、その世界で動いているような体感度の高い世界でのオンラインゲーム――の一つで、簡単な格闘ものであるが、視界と自分の動きの連動性から圧倒的没入感が得られる。
現代のVR系ゲームはバイクのヘルメットのような形状をした流線型のヘッドギア、『ナーヴコア』を使っている。これは相当高額で、裕福な家庭にしか買えない。まぁ、貧乏大学生である俺には手も足も出ないものだった。
そんなことをボヤいていると、紅太が自分の持つナーヴコアを貸してさせてくれるという話を持ちかけてくれたのだ。
俺はその話に、ありがたく乗った。
そして紅太の家に着き、上がってすぐの階段から部屋に進んだ。
隣には兄弟の部屋らしき扉があったが紅太に促され、中に入る。
「さぁ、こっちですよ、門中先輩」
「おう。って、休日なのにほんと家の人いねぇのか?」
「八時までは親も帰ってこないですね」
「ふうん」
俺は話をやや流して、ナーブコアを受け取った。
「で、これを頭に被って……どすんだ?」
「一応、首のベルトも締めてください」
「……お前、俺の首を、」
「絞めませんよ。さ、目の辺りまでカバー降ろしてください」
「おう」
言われたとおりの操作をこなして、それは数分で始まった。ゲームにダイブする時間だ。
七色のデータキューブの雨が降り注ぎ、画面端ではセキュリティの確認が行われる。
言語が日本語であることも確認され、次々と画面が移り変わった。
『Welcome to Nerve Core Game Station』(ナーブコア・ゲームステーションへようこそ)
『You are not main user. So, input this Core’s lock number ,please』(あなたは主所有者ではございませんので、このコアのロックナンバーを入力してください)
ここでカチカチと紅太に教わった数字を打つ。
『Thanks』(ありがとうございました)
『Please tell me your account name and gender.』(あなたのアカウント名と性別を教えてください)
俺はいつも使う、「そら」と入力した。
『This game is “endless end game”』(このゲームは『エンドエス・エンド・ゲーム』です)
『Here you go ――』(ようこそ、)
『Sora』(そら)
その表示が済んだ後、ゲームは始まった。
『お前の願いはなんだ?』
という男の一言から。
2-篠原紅太
『Endless end game』は、近年稼働されたVRMMOの格闘系ゲームの一つだが、この技術や戦闘方法は至って簡素なものだ。はっきり言えば、没入感を除けば他のVRMMOには劣るかもしれない。
だが、この『エンデスゲーム』はつい最近アーケードゲームとして置かれるようにまでなったものである。
アーケードゲームとは、ショッピングモールやゲームセンターなどに箱型で置かれているもので、数コインでプレイできる。初のVRMMOアーケードゲームとして売り出されてきたのである。ファン曰く、家庭でのナーブコア同様の動きもできるらしく、数戦だけとはいえ、格安で体験できるために特に子供が一気に食いついた。高額なナーブコアの買えない層に特にウケたのだ。
僕や門中先輩もその噂を聞きつけ、二人で対戦しよう、という話になった。フレンド登録すれば遠くからでも対戦ができ、アーケードでもナンバーとパスワードによる個人認証機能があるからだ。
その予行練習として、僕のナーブコアを先輩に貸すに至ったのである。
ちなみに、僕ももちろんプレイしたことがある。丁寧に造形されたモンスターを、さながらヒーローのように武器を召還し、斬ったり撃ったりしながら倒していく。
集団戦や複数のモンスターを相手取ることはなく、一人で一体ずつ倒す、オーソドックスな格闘ものだが、戦闘の幅は十人十色だ。
あえてこれらのシンプルさを除いた難点をあげるなら、自分の戦士姿を見ることができるのは戦闘前のみで、腑眼で戦闘を見ることはない、というところだろうか。没入感を演出するためらしい。
そして、掌や指で文字を描いて武器を召還して戦う、というものだ。
そんな自分の戦いを思い出し、僕は横になっている先輩の隣で参考書を開いた。
門中先輩の帰りを待ちながら。
3-門中颯良
ゲームを終えた俺が起き上がると、隣で紅太は勉強をしていた。熱心な奴だ、と感心しているうちに視線が合った。ホント、すごい奴だ。
「どうでした、門中先輩?」
「面白かったぜ。まぁ、さすがにまだ手には馴染みきってないだろうけどよ」
「いえいえ、僕と戦うにはそれくらいでいいですよ、先輩は」
「ほう」
「で、対戦、いつやりますか?」
「そうだなぁ……明日の五時はどうだ?」
「いいですよ。あ、僕のアカウント名忘れないで下さいね」
「おう、じゃあ、今日は失礼するわ」
そうやって俺は家に帰り、
――次の日の朝。
「ちょっ、信号青のままでいてくれよ、このヤロー!!」
大学に自転車で向かおうとした俺は遅刻寸前である。
歩行者側の信号が点滅し始め、さらに加速した。
だが、信号は俺が渡る直前で、無情にも赤になる。俺は構わず、いや、仕方なく突っ切ろうとした。
刹那――俺は、道路を挟んだ向こうに、俺を見た。
いや、鏡があるとか、そっくりさんとかじゃない。俺だ。
そう、ドッペルゲンガーだ。
それを認識した瞬間、同時にもう一つの物も視界に入る。
トラックが、俺の左のほうから向かってきた。
これは事故る。それを悟ったところで、俺の視界は一気にスローモーションになる。
キッキィィィイイイイ!!!
急ブレーキらしき音を聞きながら、思い出した。
『ドッペルゲンガーを見た者は、すぐ死ぬ』という小説にあっただけの、言い伝えを。
そして俺は思った。
ああ、俺、今から死ぬのか。と。
あと1メートルもないだろうか、俺とトラックとの距離は。
少しの冷や汗と苦笑で恐怖を紛らわせた。
だが、俺は撥ねられることはなかった。
いつの間にやらトラックは消えた。俺の自転車までも。
俺は信号は割れ、建物も舗装されたはずの道路のコンクリートも崩れた世界にいた。
ありきたりな言い方だが、見たことのない、世界だった。
そこには俺と、ドッペルゲンガーだけが残った。俺は、呆けたまま奴を見る。
「……ンッナ、リヌシノ」
奴は俺に近づきながらなにか呟き、ドロドロと姿が変わり、青黒い塗装されただけのフィギュアのような化け物になっていった。
奴の手が唐突に俺の首を掴む。超人的な力は俺の息を絞り出した。
俺の思考は現状をただ見届ける……状況を頭に流しこむだけで精一杯だ。
ただただ、残っていたらしい生存本能だけでもがいた。
そんな抵抗も虚しく、そのまま奴に片手で放り投げられ、俺は瓦礫に突っ込む。
「なんだってんだよ……いったい……」
うつ伏せで、全身に痛みを感じながら必死に頭を回そうと、酸素を吸うために声を吐き出す。
あの化け物から逃げないと。そう感じてせめて相手の居場所を探そうと顔を上げると……。
――黒いマントを羽織った男がいた。
俺はそいつを見上げる。
そいつは言った。あのゲームさながらに。
『お前の願いは、なんだ?』
俺はその既視感に溺れ、化け物から逃れることを、やめた。少しでも体を楽にしようと仰向けになって手で青白い太陽を遮るように扇ぐ。そしてセンチメンタルに、だが少しだけ正気を取り戻したように言う。
「俺は、死にたくねぇ……まだまだ人生ってもんを楽しめてないんだ。幸せにでも、なりてぇな……」
と。
バカらしい。
こんなことを言った所で、おそらくゲームのしすぎかなんかで生まれたであろう幻覚の男にこんなことを言ったところで、助かるわけがない。
そんな思考まで巡って来てから、自分が生きることを諦めていることを理解した。
俺、死ぬのか。
己の達観を飲み込んだ時、
「眩しっ!!」
額に当てていた右手が光った。
光っている両手を交互に見た。そのうち、男が言う。
『お前の願いは聞き入れた。その願いを、自らの手で掴み取って見せろ』
俺の手は勝手に宙に引かれ、それに引っ張られるように俺は起きあがった。その向こうでは、化け物が苦しんでいた。一瞬一瞬、|俺の人間≪ドッペルゲンガー≫の姿の残像も見える。
「ラニッ!!ラッニスイ!!コイモサキヌユリヌシノ!!!ダソオ、モンスソキマケチニスイ!!!」
首を掻きながら、天に向かって叫ぶ。そして、俺を睨んで、わなわなと口を震わせ手を伸ばす。
「コイホ、ヘガキユ……」
俺の手は輝きを増し、奴は断末魔を上げながら、俺の手に――吸い込まれるように消えていったのだった。その一部始終を、俺は座って手をかざしている以外に、何もできずに見ていた。
俺は、生き残った。
呆然とする俺は、奴が立っていた場所を見つめる。
「なにが……あったってんだよ……」
そして輝きを失った両手を見ると、なにやら固そうな金属に覆われていた。
よく見ると腕……いや、どうやら全身が変わっていたらしい。
手の甲には正五角形に『青』と立派な字が描かれ、四肢も胴も、ずいぶんと派手な装甲をしていた。さながら、テレビ番組のヒーローである。
それが今の自分の姿であることに、違和感はなかった。
さっきの超常現象に加え、なによりこのグローブに相当な既視感があったから。
掌を見ると、予想通りに解析パネルが付いていた。
「……やっぱ付いてたか」
俺がまるで『エンデスゲーム』の戦士になったかのように。
そんな不思議な体験をして、俺はいつの間にか死んでしまって意識だけが浮かんでいるのか、ただの夢を見ているのか。そんなことを思った。
そこから、これが夢ならそれなりに楽しもう、という気分で、試しにゲーム通り手の甲の正五角形をタッチしてから掌を突き出して、αを描いた。
『α……sowrd』
ゲーム同様に現れた剣を掴み、振ってみる。感触は、やはりそう変わらない。
なぜだか楽しくなって、γも試してみる。
『γ……blast』
「うぉお、こりゃいい!」
そんな風にはしゃいでいると、白い廃墟の物陰から、一体のモンスターが現れた。その様相もまるで『エンデスゲーム』に出てきそうな奴だ。
獣のような雄叫びを上げ、虎のような手を振り回してくる。それをギリギリでかいくぐり、
「ちょうどいいぜ、うぉら!!」
先ほどの剣、左手に持ち替えたαソードで距離を取り、右手のγブラストで3発ほど撃ち放つ。
モンスターは怯み、俺の銃撃をまともに受けた。
「っとぉ……これじゃまだ倒れないよな。なら……!」
俺は正五角形を、今度は三度タッチした。
やはり『エンデスゲーム』同様の効果音が流れて、右手のγブラストが光り出す。俺はαソードをその場に刺し、γブラストを両手で支えた。
『Big Attack』
「ショット……!!」
俺は言うと同時に引き金を引く。相当の反動が両腕にかかり、ドデカい青い砲弾はモンスターを消し飛ばした。
「さて、んじゃ、“ボード”も出してみるかなぁ」
そう言って、右の正五角形を再び触れようとした時、また背後から物音……いや何らかの落下音が迫ってきた。
「今度はなん「ぶつかるからちょっとどいてぇぇぇええええええ!!!!!!」
廃墟は瞬く間にひっくり返った。一人の戦士……ではなく二人の戦士と前のほうに張り付いていたらしいモンスターの乗った、βボードによって。
廃墟の瓦礫という瓦礫にぶつかり、跳ね返り、またぶつかって、戦士二人とモンスターはバラバラに降り立った。全員体勢はめちゃくちゃだ。
そして片方の、赤い戦士が起きあがる。
「……だから、早くモンスター倒しましょうって!!あ、こんにちは」
「いや、えっと、おう、こんにちは」
「で!蓮桐さん、戦うのは、……って新しい人ぉぉぉ?!!」
さっきから独り言の多い奴だ。対照的にもう一人の、紺の戦士はゆっくりと起きあがり、言った。
「くそ、また新しいバカが来たか。まぁ、まずは……」
二人目の戦士は流れるように左手で三度右手の『紺』を弾き、『αソード』ではない白と黒の色違いの西洋剣を輝かせた。
効果音とともに 戦士は剣を交差し、空高く振り上げる。
「邪魔だ」
『Final Attack』
戦士は勢いよく二本の剣を振り下ろし、斬撃を飛ばした。斬撃は起きあがった直後のモンスターに命中し、白と黒の光が飲み込むかのようにモンスターを輝かせて爆散させた。
流れるように退治され、俺はその剣技に見惚れた。そして一人目の戦士、『赤』の戦士もやや羨望の眼差しでそれを見ている。
「さすが、すごいですね、蓮桐さん」
「……御託はいい。早く斬らせろ」
言うが早いか、『赤』に斬りかかる『紺』。『赤』も、また『紺』と同じように、俺がやった『エンデスゲーム』で見なかった刀身の赤い日本刀のようなもので攻撃を受けとめる。
「だから、ボクは戦うつもりなんてないって言ってるじゃないですか!!」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょっ」
『紺』の剣撃を受けとめるのに精一杯な『赤』の上から、今度はもう一人の戦士が降ってきた。落下しながらαソードを振り下ろす。その一瞬のうちに見えたのは、『緑』の紋章だった。
「こうも敵に囲まれた状態で悠長なこと言えるのかい?」
「ああ、俺たちは戦士同士だ。戦う理由など、それだけで、十分だ……!!」
『緑』の戦士は背中のマントで攻撃を流して、左手のαソードで斬る。
『赤』の戦士は二人の攻撃を避けつつ、剣を払いながら応戦する。
『紺』の戦士は大振りながら的確に二人を、特に『赤』の戦士を後退させる。
そんな混戦を見せつけられ、俺は、思った。
――『エンデスゲーム』でも複数人の戦士同士の戦いなんて、それ以前にあんな、戦士ごとの武器なんてなかっただろう……?
それはこのゲームの世界で、俺にとって一番の未知であった。それに、俺やこいつらの手にある五角形にも、本来、色など書かれていなかったはずだ。
だが、さっきまでだって、攻撃を受けた時に、痛みはあった。これはたぶん夢じゃない。なら、一体これは、なんなんだ?
「戦え」
声は突然響いてきた。この声は、最初に会った、ドッペルゲンガーの奴と一緒に会った、黒い男のものだった。
姿も現さず、声は頭の中で直接木霊する。
「戦え。戦わなければ生き残れない」
「戦え。最後の一人に勝ち残る為に」
「戦え」
「お前の願いを叶える為に」
とりあえず1話目。お判りでしょう。なんていうか仮面ライダー龍騎だとか鎧武だとかに触発されまくりました人間の作品でした。でも、僕なりに書きたい話をしっかり描いていきたいと思います。よろしくお願いします。