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Soul City Ampere  作者: 緋賀ゆづき
Misson1
4/6

Fateful Encounter

 今この現状で思う事。

(――――とりあえず、煩い)

 凛とした声、低い声、声変わり前の甲高い声。様々な特徴ある声が鐘威の耳には届いていた。

(俺は寝不足なんだが……)

 そこで鐘威の脳は急速に活動を始めた。

(……ん?)

「って、おい!!」

 飛び起きて周りを見てみると、聞こえていたはずの声は消え、誰もいなかった。

「……空耳、か?」

 頭を掻いて、自分を眺める。服装は変わらずブレザーだ。病院にありそうな真っ白いベッドで寝ていたようだ。

 鐘威は立ち上がり、部屋の引き戸を開け廊下に出る。

 振り返ると、上には表札のようなものがあり、きっちりとこう書かれていた。

『保健室』

「……ここ、学校…か?」

 もしそうならば、ここの責任者に話を聞いた方が早いだろう。目指す先は校長室だ。万が一にも校長の存在しない学校は無いだろう。

 鐘威は周りを見ながら、長い廊下を歩く。

(普通は保健室と同じ並びに職員室とか校長室あるよな…。そろそろ見えても――――)

「……あ。あった」

『校長室』

 しかし、見つけたは良いが、部外者が勝手に校長室に入っても良いものなのだろうか。

 少し考える。

(まあ、この場合はしょうがないよな…)

 鐘威は思い切ってノックする。

「……」

 反応はない。

(…まさかの不在かよ)

 念のために確認しようと扉に手をかけ、開けた。

「すみませーん、誰か…」

「「ようこそ!!」」

 の声とクラッカーの音。だがクラッカーはとんでこない。

 目に飛び込んできた沢山の人物に戸惑う鐘威の前に、黄褐色の髪の少女が進み出た。

「まず、私はわかる?」

 少女が自分を指さす。鐘威の知り合いにこんな髪の色をした人はいなかったはずだが、とりあえず幼馴染の名を上げることにした。

「…えと、美浪?」

「……は?」

 と言われてしまった。

 さあ、おさらいしてみよう。

 部屋でチャットしていたら、いつの間にか見知らぬ場所で眠っていた。帰る方法を悩んでいると、知らない少女に話しかけられ、銃で思い切り殴られた――――。

「っあ―――――!!」

「思い出した?」

「俺を殺そうとしたやつ!!」

「いや、してないって」

 少女は苦笑して右手を横に振った。そして、咳払いすると話し始めた。

「まあいいわ。まずは自己紹介ね」

 少女が自分の胸に手を当てる。

「私はりん、大葉おおばりん」

 続いて右にいる、長い黒髪を高い位置で一つにまとめている大人びた少女を指した。

「この子は莉華らいかちゃん」

 莉華と呼ばれた少女は薄く笑う。

親童しんどう莉華」

「……どうも」

 鐘威は軽く頭を下げる。

 りんは次に、左にいるにこやかな笑顔を浮かべる青年を指す。

「彼は要多かなたくん」

「こんちは」

「ちなみに、噂好きのくせに文章力が壊滅的だから、気を付けて」

「ええっ!?りんちゃんまでそれ言うか!?」

 噂好きで文章力がない。その特徴に鐘威は思い当たる人物が一人いた。

「…あの、もしかして…葛箕、さん…?」

 問うと青年はきらきらとした笑みを浮かべた。

「おお!!ビンゴっ!葛箕こと、善正ぜんしょう要多です。宜しく、音差さん」

「ああ、よろしく」

 続いて、りんは後ろの黒いソファに腰かけている青年を指した。

「首にチェーンをかけた彼は八雲やくもくん。普段はいい人だけど、怒らせたら殺されるわよ」

 金色のくすんだ髪の青年が右手を上げる。

かんな八雲。八雲でいい」

 確かに先程の二人に比べると少し無愛想だが、悪い人ではなさそうだ。よく見るとりんの言っていた通り、首にチェーンを通した銀の指輪をかけている。何か大切なものなのだろうか。

 りんが窓側を指さす。

「あそこにかたまっている三人は、左から水稀みずき絵麻えまちゃん、寧音ねねちゃん」

 肩まである黒髪を下ろした少女。

高天こうたか水稀」

 茶髪を横で一つにまとめている少女。

風城かざしろ絵麻」

 金色に赤茶色のメッシュを入れた髪をツインテールに結んだ少女。

甘樫あまがし寧音!」

 りんが続ける。

「少し背の低い彼はれんくん」

 名を呼ばれると少年はこちらを振り向いた。

瑪瑙蓮波めのうれんは。蓮って呼んで!」

 そう言ってにぱあっと笑った。何だかすごく癒される。

 りんは、蓮の隣にいる此方は少し背の高い青年を指さす。

「彼は慧斗けいとくん」

 暗めの茶髪の青年は右手を上げ、爽やかな笑顔を向けた。

ゆみ慧斗。宜しく!」

「軽装の彼女は瀬南せなんちゃん」

 りんが指さした少女は制服を動きやすいように改造しており、ブレザーとスカートの丈は短く、スカートの下に黒いスパッツを穿いている。

真名まな瀬南」

「彼はたすくくん」

 此方はブレザーの上に紺のマントのようなものを羽織った青年だ。前髪で左目が隠れている。

海場かいば丞です。以後よしなに」

 そう言うと青年は微笑した。

 りんは腰に手を当てると此方を向いた。

「今いるのはこれで全員ね。主要メンバーとしてはあと一人抜けているけれど、それは彼が帰ってきてからね。――――東馬鐘威くん!」

 自分の名を呼ばれ鐘威は驚く。自分はまだ名乗っていないのだが。

「え、何で俺の名前知って…」

「詳しい説明はまた後で。――――合言葉は“制圧する者”!じゃあ、改めまして」

 りんが此方に手を差し出す。

「ようこそ、『ソウルシティアンペア』へ!!」

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