第二十一章終了時・登場人物紹介
スズカゼ・クレハ[涼風 暮葉](第三街領主・伯爵)
師匠という、自身と同じ立場の人間を発見するも、彼の人間性に心を悩ませる。
こんな風に飄々とした男が全てを知っている。それでも全てを話すことはない。
自身の罪も許さず、自身も許されない。そんな罪荷に心を悩ませていた。
だが、自身の在り方を見直すことで全てを乗り越えると心に決めた。
生涯に障害はなし。自身が歩むべき心の道に雑草石ころ凹凸あれど、その前に障害はない、と。
ただ彼女の吹っ切りに際して山一つが消えたのは如何な物かと思う。
土嚢山なので獣は居なかったものの、ペアウ村では日の入りが早くなったと専らの話題。
まぁ、畑に日も当たりやすくなったし良いやという許容範囲の広さは流石田舎と言った所だろう。
もう一人ほど被害に遭った事物が居るが、彼は自業自得なので同情の余地なしと弟子一同。
結局、彼女は師匠から何かを知ることは出来なかったが、それでも精神的に成長することは出来たはずだ。
ゼル・デビット(サウズ王国騎士団長・男爵)
メイアウス女王の勅命によりシーシャ国へスズカゼを迎えに行くも、出会ったのはギルドの面々だった。
彼女等の話を信じて離れた場所にある小さな村へ行くと、そこには元気に木登りをする少女の姿が。
自身の心配もどうせ無駄だろうと思っていたが、ここまで無駄だと思わず怒り爆発。結果、ドラゴンアタックが炸裂したワケである。
尤も、彼はペアウ村を訪れたことで師匠と再会し、義手の調整を行えたので全く無駄というワケでもなかった。
また、死へ急ぐ青年との出会いも初心を見直すという意味では決して悪い事ではないはずだ。
尤も、後の師匠とスズカゼによる義手騒ぎは間違いなく迷惑な話ではあったのだが。
リドラ・ハードマン(鑑定士・子爵・元|聖死の司書《スレイデス・ライブリア
ン》・元解析者)
ゼルと共にシーシャ国での[対応]を考慮して付いてきた人物。
結局は特に事なくして終えられたが、彼にとっての本番はペアウ村でクロセールという、自分に憧れる青年との出会いからだった。いや、正しくは彼の持つ理論を聞いてからだった。
シーシャ国の惨状も、スズカゼ・クレハと誰かが戦闘した故と。
ギルド主力メンバーである三武陣が彼女を助くと共に戦闘した故と、その結果であると言うのならば納得出来た。
然れど、それがスズカゼ個人によるものだと聞いて、黙るワケにはいかなかったのだ。
己の空想も全てを裏付けてしまう、彼の論理が。
リドラ・ハードマンという人物にとって如何に脅威であったか。
それは筆舌するに難しいものだろう。
ジュニア(ドラゴン)
相変わらずスズカゼに懐く愛玩動物として健気に過ごす今日この頃。
しかし師匠によれば、このまま放置するのは非常に危険ということ。
スズカゼ自身もスノウフ国にてドラゴンの成長具合を聞いて、少し悩みを見せている様子だ。
彼女自身としてはこのまま育てるのが本望であろうが、流石にそれは難しいだろう。
これから、ジュニアが如何なる扱いを受けるのか。
少なくともジュニア自身、砲弾代わりは嫌だと思っているに違いない。
シン・クラウン(ギルド登録パーティー・剣修羅・剣士)
前回の激闘から一転、今回は非常に安穏と日々を過ごしていた彼。
スズカゼに、初めて本気の淡い恋心を抱くもそれは一瞬で散り果てた。
尤も、その経験も彼を成長させる糧となるだろう。
また、[獣人の姫]ことスズカゼとサウズ王国最強の男と称されるゼルとの模擬戦、或いは言葉を交わし合った事は彼の肉体、或いは精神的にもとても大きな柱となるはずである。
修羅の道を目指し、死道を諭された青年。
彼がこれから如何なる道を歩むのかは未だ定かではないがーーー……、少なくとも死に急くことは、無いだろう。
オクス・バーム(ギルド登録パーティ・三武陣・機甲士・獣人)
ギルド主力パーティー、三武陣の一人である彼女だが、前回の戦いで義手が破損。修理のために師匠の元を訪れた。
しかし彼女の義手を今すぐ造るための材料がないらしく、暫くは材料集めに奔走することになりそうだ。
男勝りな彼女だが、今回はいつもの如く変態のせいで色々と大変な事になった。
嘗ての草原で見せたあの頼れる背中は何処へやら。変態の前では無力と言うのか。
流石に本人もスズカゼの性癖に対する警戒は強めており、最終日辺りは後ろに居るだけで殺気を感じさせる程だったらしい。
クロセール・コーハ(ギルド登録パーティー・三武陣・氷結師)
リドラを崇拝に近い形で尊敬する男。
様々な学問の権威である彼を尊敬するだけあってクロセール自身も知識量は多く、リドラと討論できるというだけで本を記すに値するほどだ。
ただ、その討論の為に自分の世界へ入ってしまうことが多く、端から聞く物とすれば何を言って居るんだと首を傾げたくなるような状態である。
また、そんな彼だからこそスズカゼの異変に、否、スズカゼの持つ異常に気付くことが出来た。
彼の見たものとリドラの仮説が見事に合致したのは、つまりそういう事だろう。
クロセールからしても、それにギルドが関わっているとなれば決して無視出来る問題ではない。
ギルドが利用されているのか、それとも巻き込まれているのか。
彼の知る事象が本当に真実たり得るのかーーー……、未だ謎は多いだろう。
フー・ルーカス(ギルド登録パーティー・三武陣・魔術師)
義手に興味があるワケでもなく、別に学問も好きじゃない。
そんな彼女はこのペアウ村での滞在は酷く暇だったようだ。
数日はぐーたらとしていたが、武器である鎌を使って物を寄せ始めた辺りでクロセールから何かしろと怒られる。
仕方なくレンと共に商売をやってみたは良いが、閑散とした村では人が寄ってこない。
ただ物は売れたので良かったのは良かった。しかしお爺さんお婆さんの話が長い長い。
最終的には自身の魔術で空を飛んで行商をすることに。村の子供は喜んでいたので、まぁ、良しとしたい所である。
ヌエ(ギルド所属・統括長補佐・諜報部隊隊長)
スズカゼ達が去った後、師匠に接触して見せる。
彼から言伝を預かり、それを自身の主達へと報告する役目らしい。
彼女もまた、何かの中心近くに居る人物なのだろう。
尤も、その[何か]が何なのかは解らない。
解明されるのが遠いとも、言わないが。
師匠[雪波 空](義手技師・技術者)
スズカゼと同じく現世よりその身を異なる世へ移された人物。
嘗ては第二次世界大戦時の横浜で生きて居たらしく、相応の技術者だったようだ。
現在もその頃の技術を派生させて義手技師となり、この世界で確固たる地位を築いている。
また、彼は聖死の司書の司書長の兄であるが、妹の生き死になど全く興味を抱かずスズカゼを困惑させた。
知りたいことを知りたいように知る男であり、師匠と呼称する三武陣の面々ですら師匠を信頼しきっていない。
今回もその性格故に同じ立場であるスズカゼに一切の情報を渡さず、否、帰れないという情報以外を渡さず、高らかに笑っていた。
しかし、そんな彼も義手技師としての技術は非常に高く、ゼルの義手も彼が設計した物である。
創り上げたのはイトーとメイアウスだが、二人が技術と魔力を注いでも無事な義手の原型を創り上げる技術力は類を見ないだろう。
して、その彼はヌエと繋がりがあるらしく、何らかの組織の中枢にも深く関わっているようだ。
何が目的なのか、何を知っているのか、何を成そうとしているのか。
未だ不明ばかりのこの男が如何に動くのか。これもまた、[不明]なのだ。
レン(行商人・獣人)
今回も足として使われた彼女だが、いつもと違って使ったのはスズカゼとギルドの面々だった。
まぁ、彼女が変態の被害に遭ったのは変わらないのだが。オクスが肩代わりしてくれた部分もあって良かったことに違いはない。
結局、シンの諄いナンパによって苛ついた為に獣車を暴走させてある人物が記憶喪失になる騒動へ発展するのだがーーー……、まぁ、些細な事だろう。
因みに彼女、ペアウ村での行商は普段売れないような雑多品も売れたので大満足。
風による空飛ぶ獣車も中々面白いが、費用と見合わないので先送りなんだとか。
戦闘終わりだから今回はのんびり模擬戦程度に終わらせようと思っていた。
伏線をどうこうしつつ、のんびりやっていこうと。
……主人公が変態過ぎて、何か。もうね。
シンの淡い恋心は弾けて良かったと思います。精神的に。精神的に。
まぁ、何はともあれ師匠というクソ面倒な人が登場した二十一章、どうでしたでしょうか。現世組二人目、正しくは三人目ですけども。
言わずもがな、彼はこれからのキーになってきます。多分。
段々と[組織]についても明らかになってきましたし、最終章は近いですね。
あと、前も言ったかも知れませんが、最終章辺りはキャラクター紹介を簡素化します。
ホントはもっと事前に言うべきなんでしょうが、忘れてしまいそうで。えぇ。
まぁ、理由は予想付くやも知れませんが……、キャラがいっぱい出るんですよ、はい。本文数倍のメじゃねぇ。
なので申し訳ありませんが簡略化についてはご勘弁を。もう少し先ですが事前に報告しておきます。申し訳ない。
ンな話題は天に召されたと思ったら割と早急に帰って来たので地獄に叩き落としたラプソディ!!
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お、おぉう、1111とは……、凄いな。
もうこの驚きで飛んだ鳥たちの羽毛で大地を覆わせる勢いです。あらお洒落。
それはそうとして、これからもモコモコ続けていきますので、皆様の生暖かい視線を覇気に頑張っていきたいと思います。
そしていつもながらに編集君にも感謝を。
違うんや、スズカゼは何か勝手にそうなるんや。ワイのせいちゃうんや。
ぶっちゃけホント、ここまで変態にするつもりはなかったのに、どうしてこうなったのか。いやマジで。
気付けば女性相手にロック決めて襲い出す主人公とか前代未聞だよ。前作主人公sも吃驚だよ。
「いや原因は間違いなくお前の性癖だ」by好みのタイプは? と友人に聞かれて取り敢えず俺を苦労させない人間と答えたらドン引きされた編集




