表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣人の姫  作者: MTL2
 
452/876

閑話[瓦礫と影の中で]


【シーシャ国跡地】


「……」


その者は、地下に居た。

瓦礫が倒壊し、空洞の半分が埋まってしまった地下に。

少しでも動けば瓦礫雪崩を促し、今にでも埋まってしまうような近いに。


「……消えて、いる」


壁画は、消えていた。

否、彼女が見る目的の物が、消えていた。

最後の欠片がーーー……、消えていたのだ。


「……偶然、いや、必然ですか。我々の及ばぬ地に彼は居るとでも?」


影に潜んだまま、彼女は呟く。

誰の眼もなく、耳もない虚空の世界で。

漆黒の闇に沈みながら、思考を巡らせる。


「全ての準備は整っている。白銀の布地に皿を乗せ、器を置き、贄を並ばせた。だと言うのに、最後の雫は器に注がれないーーー……。いや、注がれて、零れ落ちてしまった」


瓦礫の上から礫が落ち、転がっていく。

それは雪崩を助長させ、大きな岩を一つか二つほど落とし込んだ。

重々しい唸音。然れど、彼女はそれに視線すらくれない。


「ギルドの中枢に入り込んだ。四国大戦の最中で餌も集められた。器を用意し、磨き上げた。全てを知る者達の情報も得た。……だと言うのに、彼は未だ我々の手に堕ちない。神々と天に輝いている」


全てが整った。

全てが始まるまで、時はない。

故あれば、あの方々が動き出す時も、また。


「……不安要素がない事は、ありませんが」


それでも、と。

彼女はそこから先を口に出しはしない。

それでもと言うには、その不安要素イレギュラーは余りに異端過ぎる。

過去の例外しっぱいさくは、余りに異端過ぎるのだ。


「四人の災害、三人の例外……」


それが、計画にどう関わってくるのかは解らない。

けれど、それでも。

自分達は自分達の成すべきことを成さねばならない。

この世界をーーー……、救うために。



読んでいただきありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] もしかして、ツキガミインストールしてた?? 月の神かと思ってたんだけど憑神だった??? 死が希望だか安寧だかっていってたし、三賢者のことも知ってるふうだったし んで、ヌエっぽい何かが零…
2023/11/09 05:27 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ