第十六章終了時・登場人物紹介
スズカゼ・クレハ[涼風 暮葉](第三街領主・伯爵)
サウズ王国が襲撃された際に誘拐され、聖死の司書本部に連れ去られる。
当初は立場目当てかと思われたが、その実体はサウズ王国内でも極一部しか知らないはずの[霊魂化]体質を持ったスズカゼを狙っての事だった。
また、聖死の司書はそれと同時期に大国に襲撃を仕掛けており、総攻撃が予定されていた。
しかしそんな事をされてはスズカゼも巻き込まれるのでゼル達が救出に向かい、見事救出される事になる。
しかし実際の所、ゼル達に最も被害を与えたのは他の誰でもなくスズカゼ自身だった。
洗脳か催眠か、彼女は紅蓮の衣を纏いてバルドとファナを撃破後、ゼルへ斬りかかったのである。
結果的にはゼルの秘策によって撃破され、メタルの一撃によって正気を取り戻した物の、[霊魂化]を完全に果たして精霊になった彼女がこれからどうなるかは定かではない。
また、彼女は司書長が最期に述べた言葉を酷く気にしているようだ。
ゼル・デビット(サウズ王国騎士団長・男爵)
今回の一件の中でも最高戦力を誇る彼だが、その力は諸刃の剣。
鉄の義手を完全解放した煌鉄の剣帝は精霊化したスズカゼをも圧倒するが[殺戮殲滅]の元に一切の抑制を無くすようだ。
現に彼はスズカゼを殺そうとしバルドをその手に掛けようとしていた。
結果的にバルドに抑えられる事となったが、そうでなければ幾人の肉塊が転がっていたかは解らない。
しかしそんな状態でもある程度の思考能力はあるらしく、完全に抑えられた後では暴れようとしなかったし、スズカゼとの戦闘中にも全力を出すことは無かった。
因みに彼は一件落着後にメイア女王から散々な嫌味を戴いたそうである。必要措置だったとは言え煌鉄の剣帝はそれ程までに危険という事だろう。
リドラ・ハードマン(鑑定士・子爵・元聖死の司書・元解析者)
元は聖死の司書に所属するも、大戦終期に脱退。
その後はサウズ王国に移住し国家お抱えの[鑑定士]として活動していた。
彼の豊富な知識や[鑑定士]としての能力は聖死の司書に所属し解析者と名乗っていた頃に習得した物である。
彼が組織を抜けたのは方向性の違いからだが、今回の一件では聖死の司書に舞い戻る事になった。
尤も、復職するという事ではなく襲撃者として、だ。
彼は彼なりにスズカゼを救い、過去との決着を付けようとしたのである。
結論で言えば彼は目的を達成したが、過去との決着は父親との死別という形になってしまった。
母の死に際にすら現れなかった父を恨んでいた訳ではない。然れど愛していた訳でもない。
彼の死に涙すら見せなかった彼は、何を思っていたのだろう。
それは彼自身にも明確に解り得ない事である。
ジェイド・ネイガー(獣人・闇月)
ゼル達と共に聖死の司書に乗り込み、傭兵であるデモンと対峙、撃破する。
頸動脈を斬っても死なないような相手だった為に天井を落盤させる、というとんでもない手段を執った。
その御陰で勝負は決した物の、完全な決着までには到らなかったようだ。
また、直後に研究者の混沌獣と対峙するも、デモンとの戦闘で疲弊しきっていた彼は危うく全身を貫かれそうになる。
しかし急遽助けに入ったリドラの過動魔法石によりどうにか回避出来たようだ。
因縁か因果か、嘗て過去からは逃げられないという言葉をリドラから聞いた彼はそのリドラ自身の過去に終止符を打つために一役買うことになる。
最期に刃を傾けたのは何故か、リドラに全てを託したのは何故か。
それは嘗て過去と向き合った男だからこその選択だったのかも知れない。
ファナ・パールズ(王城守護部隊副隊長・第三街領主護衛・魔術師)
ゼル達と共に聖死の司書に乗り込むも、スズカゼと遭遇し気絶させられる。
今回、最も軽傷で済んだ彼女だがそれ以上の働きは見せているようだ。
また彼女の切り札である[真螺卍焼]だが、スズカゼは紅色の衣でそれを吸収した。
一点集中による凄まじい威力を誇る[真螺卍焼]だが、それを吸収する彼女の衣はいったい何なのか。
技を放ったファナ自身にもそれは理解出来なかっただろう。
バルド・ローゼフォン(王城守護部隊長・武器召喚士)
ゼル達と共に聖死の司書に突入し、司書達を大量に処分するも道中遭遇したスズカゼにより打倒されてしまう。
しかしその後、ゼルとスズカゼの戦闘を止める為に天肢を束縛せし罪鎖を発動させる。
メイアウスが創りし鎖はゼルを束縛する事に成功し、彼等の戦闘を制止させた。
また、その後介入してきた司書長に対しても決死の特攻で片目を潰し致命傷を負わせている。
意地よりも執念に近い彼の一撃が今回の件を収束に導いたことは間違いない。
メイアウス・サウズ・ベルフィゼア(サウズ王国女王・四天災者[魔創])
各国首脳会議の元、聖死の司書総攻撃に待ったを掛ける。
元より各国の重鎮達が騒ぎ立てた事なので大国首脳達は潔く承諾したが、ベルルーク国の大総統、バボックだけは嫌味ったらしい笑みを浮かべていたそうだ。
彼女が不機嫌だった理由はその事もあるのだが、ゼルが煌鉄の剣帝を使用した事も大きいだろう。
四天災者である彼女が危険視する程の技とは、如何なる物なのだろうか。
因みに彼女は後々、スズカゼに各国への挨拶回りを行わせるそうだ。
今回の謝礼も含め、という事と思われる。
メタル(放浪者)
ゼル達と共に聖死の司書に乗り込むも、手分けしての捜索中に道に迷うというブレ無さ振り。
しかしその道中で保持者による不意打ちで腹に穴を開けられる。
どうにか本棚を燃やして彼女を生き埋めにする事で窮地を脱出するも、司書長に遭遇してしまう。
ただの小娘ならば彼も勝ち目はあっただろうが、自身を失敗作と称する彼女の異様な姿により致命傷を負わされる事となった。
そしてその命を奪われようという時、彼は奇跡的にワンとリ・ドーの援護によって生き延びる。
その後もスズカゼの暴走を食い止めるなど、持ち前の強靱な生命力で活躍を見せた。
司書長(聖死の司書所属)
聖死の司書の長であり五代目。
数百年を生きたという彼女は目を覆い隠し手足を縛っているという非常に特徴的な姿を取っていた。
それはその状態では眼が見えず、感覚も殆ど死んでしまっているからである。
故に彼女は一人で出歩くと迷子になる事が多く、側には常に整理者が付いていた。
だが、彼女自身が失敗作と称する真の姿では恐るべき戦闘力を発揮する。
メタルを一蹴しワンとリ・ドーを容易く屠り、バルドすら殺し掛けた獣の姿。
その姿ならば世界を見えるのに、彼女自身が獣の姿を嫌悪していることは余りに皮肉な話だろう。
結局、獣はスズカゼとの激闘の末に力尽き、彼女の腕の中で死に絶えて逝った。
然れど散り際に彼女が残した言葉は未だスズカゼの胸の中で燻り続けているのである。
研究者(聖死の司書所属)
リドラの父にして、聖死の司書と知識に人生を捧げた老人。
彼自身には戦闘力はないが、その人生の結晶である[混沌獣]という混合精霊を操る。
その戦闘力は疲弊していたとは言えジェイドを追い詰める程であり、混合故に五大元素を操れる事も考慮すればかなり強力な物だろう。
彼の老体が生涯を掛けて、妻も子すらも顧みず作り続けた化け物。
皮肉にもその化け物にトドメを刺したのは、その老人にトドメを刺したのは彼の息子であるリドラだった。
人生に悔いは無いと言いながらも息子を惜しむような言葉を述べていた彼の心中は、今となっては誰も計り得ないだろう。
保持者(聖死の司書所属・幻術士・獣人)
聖死の司書古参の獣人。
研究や実験に没頭すると周りが見えなくなる癖があるらしく、司書達も彼女の扱いには手を焼いていたようだ。
そんな彼女だが魔力回路を改造した幻術の能力の高さもあり戦闘能力はそこそこあり、メタルに不意打ちで刺傷を与えている。
最終的にはメタルの策略によって火の海に沈むも、どうやらヌエに回収されたらしい。
整理者(聖死の司書所属・召喚士)
本名、チェキー・ゴルバクス。聖死の司書の中では新参者の彼女だが、その類い希な情報力を買われて整理者の称号を得る。
また支所長の側近的な役割を果たしていたこともあり、自身の立場に少なからず誇りを持っていたようだ。
だが、実際は古参の面々により[目的]より外されており、その事について悩んでいた節があるらしい。
結局、その悩みを振り切って対峙したゼルと戦うも一蹴の元に倒されてしまう。
現在はある程度の治療を受けてサウズ王国に搬送されているようだ。
ワン・チェドス(傭兵・頂の本・元[聖死の司書]・元記録者・獣人)
リドラと同じく聖死の司書に所属していた彼はサウズ王国襲撃から聖死の司書に潜入する事を考えて居たようだ。
結果、彼は単独で聖死の司書へ向かおうとしていたリドラと合流し、仲間と共に襲撃を掛ける。
結果的に襲撃は成功した、と言って良いのだろう。彼の言葉通り古臭い組織は滅びたのだ。
だが、その代償は彼自身と仲間の命。決して軽くはない代償だが、彼等の死は無駄ではなかっただろう。
今回の一件、彼等が大きく貢献したのは間違いない。
リ・ドー(傭兵・頂の本)
ワンの部下であり、元は聖死の司書で司書の位置に居た人物。
彼はワンに賛同し聖死の司書を抜け、頂の本として活動していたらしい。
その分析能力はワンに迫る物があり、彼もまたリ・ドーを高く評価していた。
しかし彼は今回の一件で司書長により喰い殺され、その生涯を終える。
メタルを運ぶ為に奔走した彼もまた、他の仲間同様に死をもって聖死の司書に一矢報いたと言っても良いだろう。
ラウ・グータム(傭兵・頂の本)
頂の本の一員でサウズ王国襲撃の際はスズカゼと対峙した人物。
しかし彼はリドラとワン、リ・ドーを逃す為にデモンの凶爪に掛かり死亡する。
その死に様は仲間を確実に逃がすために、圧倒的実力差であるはずのデモンへ食って掛かる姿だった。
デモンもまた彼の勇士を認め、周囲の制止を振り切って本気で彼と戦う。
既に瀕死だったラウとデモンでは勝負にならなかったが、それでもデモンは彼の事を確かに戦士だと認めたようだった。
デモン・アグルス(傭兵・獣人)
傭兵として聖死の司書に傭われていた、闘争をこよなく愛する戦闘狂。
その狂い振りに見合った力を持っており、ジェイドを追い詰める程の激戦を見せた。
最終的には彼の策略によって天井の岩盤に潰されて死亡したかに思えたが、後々に復活するが如く岩盤を砕き割って脱出。
ジェイドに再戦を近い、その狂喜振りを天へと吼えていた。
また、彼も何らかの組織に所属しているらしく、スズカゼに対する発言も見受けられる。
未だ死すら知らぬ獣がこれからどうなるか定かではないが、その爪が血肉を求め彷徨うことは確かだろう。
ヌエ(ギルド所属・諜報部員)
ギルドに所属しているにも関わらず、今回の一件では聖死の司書の一員として闊歩していた。
保持者を回収、デモンへの会合など、彼女が裏で暗躍している事は間違いない。
不穏な言葉を口にしている事からも、彼女もデモン同様、何らかの組織に参加しているようだ。
はい、と言うわけで[襲撃者達の宴]含む[聖死の司書編]終了です。いやぁ、長かった。
今にして思えば前章と今章分けて良かったですね。丁度良いぐらいに分配出来ました。
さて、物語の核心に少し迫った今章、如何でしたでしょうか。
編集君は「物語の伏線消化と聞いて期待してたのに気付けば伏線が増えていたでござる(´;ω;`)」って泣いてました。ハハッ。
まぁ、何はともあれこれで物語の核心には一気に近付きましたね。勘の鋭い人が真実を見抜かないことを祈るばかりです。……まぁ、見抜いても反応に困ると思いますが。
それはそれ、アレはアレとして!!
現在執筆時、お気に入り登録294件! 総合pt786!!
累計ユニーク61,247人!!
え? 6万超えた!? マジで!?
何だこの伸び怖いんだけど。いや、読者様の御陰ってのは解るんですが……。
いやもう、ホント読者様への感謝で天候を作り出す気分ですよ。因みに私は曇りが好きです。編集君は夕暮れなんだとか。
それはともかく、これからもモフモフ続けて行きますので、皆様からの生暖かい視線を安寧に頑張っていきたいと思います!
そして毎度ながらに編集君にも感謝を。
気付けばもう一周年かぁ……。え? ごめん何て? 一年? マジで?
実際の所、もう一周年という気持ちが強いです。物語は、まぁ、六割強って所かな。
それにアレだね。偶にはのほほんとしたイベント話とかやりたいね。七夕とかハロウィンとか色々なの。……この世界にそんなイベント無いですけども。
いや、折角だしそういうのをやってみるのも悪くないかも知れませんね。
……そうだな。こうしましょう。
【一周年企画】
コメント欄かメールで何か案をいただければ、それで話を作ってみたいと思います。
基本的に番外編の時系列無視にはなりますが、宜しければご応募ください。
作者、編集も誠心誠意頑張りますので、何卒宜しくお願いします!!
締め切りは今年の7月までになります!
ってな感じで。あ、これガチです。 もし誰も送ってこなかったら? 泣く。
流石に数は抑えますので採用されない場合がありますが……、まぁ、そんな事は流石に無いでしょう。
誰々と誰々の絡みとか誰々の裏話とか、基本的に何でもOKです。でも運営様の逆鱗に触れるようなのは勘弁してください。
あと一人で幾つも応募されてもOKです。と言うか、していただけると嬉しい。
私も拙いながらも精一杯頑張りますので、是非とも応募してください!!
多分、この作品の中ではなく別作品として投下すると思います。
……何か編集君の悲鳴が聞こえた気がするけど気のせいカナ!
「へんじがない、ただのしかばねになりたいようだ」by夕暮れ時は必ず空を見上げる編集




