意志薄弱
短編です
久しぶりに、体重計に乗って、愕然とした。・・・。98kg・・・?
初めての数字に心臓がドキドキする。98kgって・・・何kg?え?ほんと?夢?
頬を抓ってみたけど、痛いから夢じゃない。確かに鏡に映る自分が少しふくよかになってきたかなと思ってはいたけど、98kgなんてなったことが無い。最後に体重計に乗った時は、96kgだったはず。
数字って不思議なのよね、96kgの時って、まだ余裕があるような気がしちゃうの。でも98kgはさすがにヤバい・・・・。
お、落ち着くのよ、アタシ。一旦落ち着いて・・・なんて考えながらふらふらと冷蔵庫を開けている自分に気が付いた。え、待って、今のここまでの行動、アタシ無意識なんだけど・・・・。やだぁ・・・なんで冷蔵庫開けてるの?あ、チョコ発見、ラッキ~。がさがさ、パク。・・・・いや、パク、じゃないのよ!!美味しい!・・・もうやだぁ!もう本当に!!完全に無意識だったんだけど!!!
慌ててアタシは冷蔵庫を閉めた。
落ち着くのよ、本当に・・・。冷静になって・・・。
部屋においてある姿見に目を向ける。明らかにふっくらとした・・・いや・・・でかぁ!?想像以上にデカイ!何、この腕!!太すぎっ・・・足もこんなにパンパン!!なんでぇ!?
ムンクの叫びよろしく手を頬に当てると、指が太い。いやぁ!もう鏡見たくない!!鏡を壁に向けて一件落着・・・。とはいかないよね・・・。
思い返すと、確かにお菓子大好きだし、甘いものもよく食べるし・・・って言うか、うちの職場がいけないのよね、カフェだから、廃棄になっちゃうケーキやらなにやら、消費しちゃってとか店長が言うから!だって、あそこのケーキ何食べても美味しいんだもん!!アタシ悪くない!!
・・・・。わかってるわよ・・・現実逃避してちゃだめだってこと・・・。
以前はアタシだって努力してたのよ。週一回はジムに行くようにしてたし、出退勤で駅から家までの十五分程度は歩くようにしてたし・・・。でもなんでかわからないけど、痩せないんだもん!!アタシの努力不足じゃないと思う!
まぁ確かに最近はジムにも行ってないし、忙しいから、最寄り駅までバスに乗っていくこともあるけど・・・。でもっ・・・でもぉ・・・。
気分が沈んでいく。あぁ~、ストレスがかかる・・・どうして勝手に脂肪はつくの!?アタシ悪いこと何もしていないのに!!むかつく!何なのよ!アタシが何かしたって言うの!?
むかつくとアタシお菓子食べたくなるのよね。でも今日は違うわ!以前買ったスポーツウェアに着替えて・・・着替・・・着替え・・・られないからTシャツと短パンで行くけど!今から歩く!これから休みの日は全部運動に使うわ!アタシ決めた!絶対痩せてやるんだから!!
鍵とスマホと財布を持って家を出た。幸いアタシの家の周辺は、色んな人が散歩やランニングに使うくらい環境が良いの。川が流れてて、植物だって豊富!気分も上がるわ!んん~!お日様気持ち良い~!
・・・十五分も歩くと、結構疲れてくるわね。あら、あんなところにカフェが出来てる。コーヒーが色んな種類から選べるのね・・・。ここはコーヒーだけ飲んで、偵察に留めるわ!
「いらっしゃいませ」
優しい雰囲気のお姉さんに促され席に着いた。メニューを見ると、ケーキがなかなか美味しそう!うちの店と良い勝負ね・・・。
「今日は新しいイチゴが入荷して、それを使ったショートケーキが、お勧めです!私も食べたんですけど、すっごく美味しかったですよ!」
あら・・・そうなの?ふぅん?でも今日はアタシ、コーヒーだけって決めてるから。
——ケーキセットくださ~い——
ふぅん・・・なかなか美味しいじゃない。




