ドウの街
ドウの街、という名前の街に到着です。ここもファンタジー要素満載ですが、アンの街と比べると全体的に落ち着いている雰囲気はありますね。住人もどこかのんびりしてるように感じます。
ーーどうやら1度訪れたことのある街には転移することが可能みたいです。つまりアンの街に帰りたい場合は、マップから街を選択すればあっという間に帰ることができるということですね。
「あらーこんにちは、エルフのお兄さん。どこから来たの?」
「アンの街から来ました」
「あらーそうなの」
「あの、ドナお爺さんという方を知りませんか?北の森に行ったきり、1週間帰ってないそうなんですが…」
「…ごめんなさい。分からないわね。でも冒険者ギルドに行けば、何かわかるかもしれないわよ」
すぐに見つかるわけないですよね。ということで、冒険者ギルドに行ってみます。マップに表示された場所を目指してひたすら歩きます。…この街は飲食店が多いのでしょうか?風景がほぼすべて食べ物関係のお店です。ルノーとフォスも良い匂いがするのか、身体が前のめりになっています。落ちてしまいますよ。
冒険者ギルドはアンの街と外観が同じですね。どこの街も統一されているのでしょうか?分かりやすいので、私としては有難いです。
ギルドの内装も全く同じに見えます。ここまでくると謎の感動を覚えますね。とりあえず受付の列に並びます。
「こんにちは。クエスト受注ですか?それともギルド登録ですか?」
「こんにちは。あの人を探しているのですが…」
「はい」
「ドナお爺さんという方をご存じありませんか?アンの街の宿屋を利用しているのですが、北の森に行ってから1週間帰ってないそうで」
「少々お待ちください」
受付のお姉さんが何やら調べ物をしてくださってます。これで何か情報を得ることができるといいのですが。北の森にはドナお爺さんらしき人はいなそうでしたし、妖精さんたちからおそらくこの街に行ったと思われますからね。
「ーーお待たせしました。ドナ、という方は4日前に冒険者ギルドを訪れていました。どうやら古書を解読してくださる方を探していたようで…。解読などを専門としているランドルフさんをご紹介したところ、会いに行くと仰っていました」
「そのランドルフさんはどこにお住まいなのでしょうか?」
「冒険者ギルドのすぐ横の路地裏を入り左に1回、右に1回曲がると見えてくる趣のある屋敷に住んでいますよ」
受付のお姉さんにお礼を言い、早速路地裏に入ります。左に1回、右に1回…。教えてもらった通りに歩くと、屋敷が見えてきました。趣のあると言っていましたが、これはボロ…いえ、大変味わいのある屋敷ですね。門をくぐり、ドアをノックします。
「すみませんー。ランドルフさんはいらっしゃいますか?」
「…ちょっと待て」
重厚なドアがゆっくりと開かれました。中から出てきたのはヨレヨレの白衣を着た、ちょっとくたびれた感じの30、40代の男性です。無精ひげが生えていて、なんというかワイルドですね。身体の線は細いですけど。
「何の用だ」
「初めまして、ステラと言います。ここにドナお爺さんはいらっしゃいませんか?」
「ドナ…あぁ、あの爺さんか。今はここにはいないぞ。解読に必要なものが出てきたから、それを取りに行った」
なんと…入れ違いでしたか。ですが確実にドナお爺さんに近づいていますね。あともう一歩、といったところでしょうか。
「なんであの爺さんを探してるんだ」
「アンの街で宿屋を営んでいる方が、ドナお爺さんが1週間宿に帰ってこないと心配されていて…」
「なるほどな」
「…ドナお爺さんはどこに行ったのかわかりますか?」
「あー…そろそろ帰ってくるだろ。それまで待ってればいい」
ランドルフさんは屋敷の中へ招き入れてくださいました。外観とは裏腹に、中は比較的清潔に保たれていました。なんて私、滅茶苦茶失礼なことを考えていますね…。応接室のような場所に通されると2人で腰を落ち着けました。
「お前…ステラだったか。俺が何してるのかは知ってるのか?」
「解読をしている、と伺いましたが」
「まぁ概ねあっている。古書や暗号の解読をするのが俺の専門だな」
「暗号!なんかカッコいいですね」
「…そうか」
そんな雑談をしていると、話は私個人についての話題に移っていきました。職業からルノーたちテイムモンスターについてなど、誓約魔法に引っかからない程度にお話ししていきます。
「ーーお前、放浪の司書なのか」
「はい。といってもまだまだですけどね」
「…俺も司書だぞ。文献の司書」
!ランドルフさんも司書だったのですね。詳しく聞くと、文献の司書は特に古書の解読についての知識に秀でている人がなれる職業らしいです。暗号の解読はランドルフさんの趣味だそう。司書にも本当に色々あるのですね。
「古書やら暗号の解読は司書しかできないからな」
「そうなのですか?暗号だけなら、解読は他の方にもできそうですが…」
「詳しいことはまだ解明されていないが、司書以外の奴らが解読しようとすると読めなくなるらしい。それでも解読しようとしてる奇特な集団もいるけどな」
それは…奇特というより奇妙な集団ですね?ですが面白そうでもあります。一度その方たちとお会いしてみたいですね。どういうことをなさっているのでしょうか?
ドナお爺さんはもう少し早くステラと会う予定だったんですが…。ランドルフさんは急遽登場させました。




