荷物の配達
今日は久しぶりに冒険者ギルドに行きます。緊急のクエストを受けたとき以来ギルドに行っていませんでしたからね。お金も貯める必要があるので、今日はクエストをひたすらこなしていきます。
「こんにちは、ミリアさん」
「あ、ステラさん!こんにちは」
「今日はクエストを受けに来ました」
「ありがとうございます。…ステラさんは今日、何のクエストをするのか決めていますか?」
「?いえ、まだ掲示板にも目を通していませんが…」
ミリアさんが恐る恐る尋ねてきました。私に何か用事でもあるのでしょうか?今日はまだ何を受けるのか決まっていないので、予定は空いていますよ?
「できればでいいのですが、荷物の配達を受けてほしくて…」
「それはもちろん構いませんが」
「すみません…。荷物配達は意外と冒険者の方たちには人気がなくて…。以前は来訪者の方たちがたまにやってくれていたのですが今は誰もやってくれず、配達しなければならない荷物だけが増えていって…」
「そういうことならお任せください」
「ステラさん…ありがとうございます!」
期限ギリギリの際はギルドの職員が配達するそうですが、今は人手が足りてないみたいです。それなのに配達を委託された荷物は過去最高の数だそう。…これは気合を入れないといけませんね。
荷物の配達ー指定の場所まで荷物を配達し、受け取りのサインをもらう
報酬ー荷物1つに付き100G
「あの、荷物をアイテムボックスに入れるのは大丈夫でしょうか?もし使ってもいいなら、1度にたくさんの荷物を運ぶことができるのですが…」
「来訪者さんたちが使える異空間、でしたっけ?荷物を傷つけないなら大丈夫ですよ。では荷物が置いてある場所まで案内しますね」
掲示板奥、関係者以外立ち入り禁止の貼り紙がされているドアを開きます。部屋がいくつか並んでいますが、そのうちの1つの扉に入るとそこには想像以上に積み重なっている荷物の山。…なんか既視感がありますね。
「これが配達リストになります。書き込みしても問題ないので、配達の際にはそれをお使いください」
「分かりました」
「それと荷物を届けたら、必ず受け取り証明としてサインをもらってください。ここに人数分の用紙がありますので」
ミリアさんから分厚い紙の束を渡されます。それを受け取ると、彼女は仕事に戻っていきました。…さて、リストの上から順番に配達していきましょうか。そのためにはまず配達する荷物を探すところから始めなくては…。あ、一応名前がアルファベット順に揃えられていますね。これは目当ての物を探すのもかなり楽です。…よし、持てるだけ荷物を持ちました。早速配達に行きましょう!
「最初の方が住んでいるのは…あっちですね」
「ホー」
マップを駆使して、リストに書かれている住所に向かいます。割と冒険者ギルドに近い場所でしたね。5、6分歩くと目的地に到着しました。普通の民家ですね。木製のドアをノックします。
「はーい」
「あ、ギルドのクエストで荷物を届けに来ました。…クロエさんはいらっしゃいますか?」
「私がクロエです。ようやく荷物がきたのね!ずっと待ってたのよ」
「お待たせして申し訳ありません。ここにサインをお願いします」
「はいはい」
用紙にサインをもらい、荷物を渡します。まず1件完了ですね。用紙をしまい、次の配達先を確認します。この調子で配達していきましょう!
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1度荷物を補充して配達を続けていますが、終わりが見えませんね…。いえ確実に部屋に鎮座していた山は減っているのですが、それでもまだまだかなりの量が残っています。
「ルノーとフォスも疲れていませんか?先ほどのお宅でずいぶん子どもたちと遊んでいましたが…」
「ホッッホッホ!」
「……シュシュ」
フォスは体力的に限界のようですね。ルノーはまだまだ元気みたいですが…。1度フォスを家で休ませましょうか。
「フォス、今から家に帰って休みますか?配達は私とルノーで行くので、ゆっくりしていて大丈夫ですよ」
「!?シュシュ!」
…嫌みたいですね。首をブンブン横に振って拒否しています。どうやら私たちと離れたくないみたいですね。体全体で締め付けてきます。…フォス、私の首がしまってますよ。置いていきませんので、どうか力を緩めてください…。
「…ふぅ、そんなに嫌だったのですね。フォス、もう言いませんからね」
「…シュー」
「すみませんでした。それでは配達を再開しましょうか」
可愛い蛇さんは少しご機嫌斜めになって服の中に隠れてしまいました。…あとでたくさん撫でてあげましょう。ひとまず次の配達先に向かいます。…人目を気にしていませんでしたが、かなり注目を浴びていましたね。ちょっと恥ずかしかったです。
・・・
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「ここに受け取りのサインをお願いします」
「はい。…これでいいかい?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
「こちらこそ荷物ありがとうね。…そうだ、お兄さんちょっと時間ある?」
「?はい。大丈夫ですよ」
「よかった。ちょっと頼みたいことと言うか、聞きたいことがあってね…」
切りよく50件目の配達先での出来事です。配達2日目、最後の配達でもありました。受取人はペルルさん。3、40代くらいの風貌で、宿屋の女主人をしていらっしゃいます。そんな方が私に聞きたいこととは一体何なのでしょうか?




