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司書さんは無自覚でいいのです!  作者: 黒色猫


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トロンの工房


「ーー本当に内見に行かなくていいんですか?」

「もう決めたのじゃ!儂はここに住む!ここを借りたい!」

「わ、分かりました。借りるのでしたら10,000G必要となります」

「これで良いかの」

「…はい。ではこの書類にサインをお願いします」


 彼は迷いなくサインしました。まさに即断即決ですね。オールドさんが選んだ物件は外見が古の魔女が住んでいそうというか、いかにも廃れてい放置されている感じです。そこが魅力だったのかもしれませんが、快適に住むためにはそれなりに時間をかけないといけなそうですね。…微力かもしれませんが、困ったときはいつでも相談してくださいね。

 間取りを見たところ、3階建て庭付きとかなり広々としています。オールドさんの交友関係は知りませんが、少人数でも問題なく生活できそうですね。


「…はい。確認しました。これで今すぐにでもこの物件に住むことが可能ですよ」

「わがままを言ってすまぬの。感謝するぞ。ちなみになんじゃが、儂がこの物件を買い取りたいと言ったらいくらぐらいになるのかのう?」

「600万Gです。状態が良いときは1500万だったのですが、今は本当にボロ…コホン、傷んでいますからね。あ、建物を改装するには物件を購入していただく必要があるので、ご注意ください」

「物を捨てたりするのは大丈夫かの?」

「それは大丈夫です。例えば床に穴があったりしても直すことはできません」

「うむ、心得た」


 稲荷さんは今回は物件を借りるのを見送るそうです。お世話になったお姉さんに挨拶をして不動産屋さんの外に出ます。オールドさんはご機嫌に鼻歌を歌っています。


「オールド…あの家相当ボロそうだったけど、住めるの?」

「今はまだ住むことはできなそうじゃったな。だが儂はこれでも稼いでおるゆえ、600万G揃えるのもあっという間よ。それまでは家無し生活じゃな。なに今までも家がなかったのじゃ。少しぐらい我慢できるわ」

「すごいですね…。私はお金を揃えるまでまだまだ時間がかかりそうです」


 木工職人の方のところに向かいながらそんな話をします。オールドさんは自分で稼ぐ方法を見つけているんですね。稲荷さんも商人なのでそれなりに稼いでいそうですし。私も何かお金を稼ぐ方法を見つけ出して、5000万G貯めましょう!…改めて考えると気が遠くなりそうな金額ですね。


「ーーあ、あれがそうじゃない?」

「トロンの木工工房…。ここですね!」


 工房の周辺には色とりどりの花が咲いていて、とても可愛らしいです。トロンさんはご在宅でしょうか?木製の扉をノックします。すると中から微かに声が聞こえてきました。


「ど、どなたですか」

「ステラといいます。来訪者なのですが子どものおもちゃを探していたところ、木工職人のトロンさんがそういうのを作っていると伺って来ました」

「…ほ、他の人たちは何しに来たんですか」

「俺たちは付き添いですね」

「じゃの」

「…ス、ステラさんだけ入っていいです。後の人たちは外で待っててください」


 私だけ許可を頂いちゃいました。お二人を見ると行ってこい、とジェスチャーで促してくださったので1人…いえ1人と2匹で中に入ります。

 まず目に飛び込んだのは大きな寝具です。木で作られたからなのか柔らかく温かみのある印象を受けます。他にも本棚や細かく模様が彫られた工芸品?なども並べられています。


「い、いらっしゃいませ」

「あっ…こ、こんにちは」

 

 し、心臓が止まるかと思いました…。家具や雑貨を見ることに夢中で、人がいることに全く気が付かなかったです。家具の陰から声をかけてきたのは、180㎝は超えてそうな大柄な男性です。ですが体の線が細く声もか細いからか全体的に小さく感じてしまいます。髪と目が明るい茶色で、顔は当然整っています。


「ぼ、僕が木工職人のトロンです」

「改めましてステラと言います。頭のフクロウがルノー、首にいる蛇がフォスです」

「よ、よろしくね。そ、それで今すぐ渡せるのがこれなんだけど…」


 並べられたのは、たくさんの形の積み木とパズルです。角も全部丸くなっていて、子どもたちが持っても安心安全ですね。ですがオリーブくんが遊ぶには少し…幼すぎるかもしれません。パズルもパーツが大きいので、すぐ終わってしまいます。


「こ、これ以外は似たり寄ったりなものばかりなんです。ほ、他のおもちゃが思いつかなくて…」

「他のおもちゃ…」


 木で作れるおもちゃ…。現実では車や飛行機のおもちゃがありましたが、この世界には車も飛行機もありませんし…。少し考えていると、ふと頭の重みと首のくすぐったさに意識が向きました。


「…あの、動物をモチーフにしたおもちゃとか作れませんか?」

「ど、動物?」

「はい。フクロウの形をした木のおもちゃとか。…なーんて素人の思い付きですけど」

「い、いや、面白いよ。そ、そっかそういうのもありなんだ。…ス、ステラ、おもちゃは今すぐに必要?」

「いえ、今すぐではないですが…」

「だ、だったら時間を置いてまた工房に来て。し、新作のおもちゃを渡したいから」

「わかりました」


 トロンさんはもう構想を練っているのか、別れの時もどこか上の空でした。途中から敬語も外れていましたね。次訪れるときを楽しみにしておきましょう。


最近司書らしいことしてませんね。あとステラに働いてお金を稼いでほしいし、ゲームイベントもやりたいし…。書きたいことが山積みです。

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