カフェでコーヒー
今日はいよいよカフェに行く日です。稲荷さんとオールドさんにお会いするのも遠い日のように感じますね。時間帯までは指定されていなかったので、早速向かいましょうか。そしてお話が終わったら、街でおもちゃ屋さんがないか探してみましょう。
「ルノー、フォス。お出かけしますよ」
「ホー」
「…」
鍵をかけて、静かな道のりを歩きます。ここも時間が経てば、にぎやかな場所に変わるのでしょうか…。他のお金を持ってるプレイヤーはこういった土地を買わないのでしょうか?勝手なイメージですが、大手のギルドーーまだギルドを設立する方法は見つかってませんがーーほど買っていると思ったのですが…そういった話は一切聞きませんね。まぁここが最初の街だから買ってないだけかもしれませんね。
「あとで露店通りも見に行きましょうか」
「ホッ」
そんなことを考えていると、あっという間にカフェに着いちゃいました。中に入ってマスターに挨拶すると、個室を指し示されました。
「なにか軽食のメニューはありますか?」
「そうですね、おススメは自家製ジャムを使用したトーストでしょうか。サラダも付いていますよ」
「美味しそうですね!じゃあそれと…ブレンドコーヒーを1つずつお願いします」
「かしこまりました。後程持っていきますね」
注文を終えて個室に入ります。あ、もうお二人とも揃っていました。私は少し遅かったみたいです。
「ステラ!なんか久しぶりな気がするね」
「おぉ。これで役者がそろったの」
「お待たせしたようで申し訳ありません」
「よいよい。儂もこやつの連絡に気付かずに遠出をしたが、これっぽちも反省しとらんぞ」
「オールドは少しは反省しろ!!」
賑やかですねぇ~。2人の対面に腰を下ろします。さてさて、まずはクエストがどうなったかお聞きしなければいけませんね。
「そうだ、ステラも確認してみてよ。クエスト完了になってるはずだからさ」
「分かりました」
アンの街の住人クエストを10個クリアする 10/10
ウォータースライムを50匹討伐する 50/50
依頼者:稲荷・オールド
「確かにクエストはクリアしてますね。ということは、もう話せるのでしょうか?」
「それは俺も分からないけどね。試してみてよ」
「はい。総合知識についてでしたよね」
「うん」
「そうじゃ」
「総合知識は知識系スキルが統合したものの名称です。…あ、大丈夫そうですね。私の憶測ですが、知識系スキルを5~10以上獲得するのが条件かと」
そう話すと、稲荷さんは笑顔のまま固まってしまいました。…前にもどこかで見たことある光景ですね。オールドさんも珍しく苦笑いです。
「あの…?あ、何の知識を獲得したか言った方がよかったですか?」
「うん…ちょっと待ってね…。まず知識系スキルってなに?」
「え?その分野の知識を一定以上理解すると記憶しました、とアナウンスが出るんです。ただある程度記憶しないとダメみたいですけど」
「なにそれ~…知らないんですけど…」
おや?図書館に入り浸ってる司書なら、誰かしら持ってると思うんですが。あぁ絶対記憶がなければ少し厳しいでしょうか?というより、知識系スキルを話すのは誓約魔法に引っかからないんですね。
「いや、他の司書プレイヤーは称号については教えてくれたんだよ。でもそれについては何も言ってなかったから、たぶん誰も知識系スキルを持ってないと思うよ。条件もかなり厳しいし」
「まぁ私はスキルのおかげで比較的楽しているとは思いますね。あと称号は知恵の書でしょうか?」
「そのスキルも気になる…。称号はステラも持ってると思ったよ」
「儂は総合知識は獲得できそうにないのう。頭を使うのは専門外じゃ」
「オールドは少しは頭を使って!ほんと、脳筋なんだから…」
少し雑談まじりに話していると、扉がノックされました。私の軽食とコーヒーが届いたみたいです。お金は今払ってもいいみたいなので、合計600G支払います。稲荷さんがお金を出そうとしたので、必死に阻止しました。毎度おごりは申し訳ないんですよ!
「別に気にしてないのに…。そうだ、メールにも書いたけど、ステラは何か情報はない?有益なものだったら高く買うよ」
「誓約魔法の制限がないものですと…そうだ、アンの街に不動産屋さんがあるのはご存知ですか?」
「…え?」
「私もつい最近知ったんですけどね。そこで旧図書館をホームとして借りたんです。所蔵している本を読むことはまだできないんですけど、割と住み心地はいいんですよ」
「…え?」
「んふふ。ステラよ、少し止まってやれ。稲荷が話に付いていけておらん」
「あ、すみません」
「それにしても不動産屋があることを儂は知らなんだ。ステラはよく見つけたのう」
「私もNPCの師匠から教えてもらったんです。旧図書館の傍は空き地なので、土地を買って建物を建てることもできそうですよ」
「ストーーーーップ!」
オールドさんと和やかに会話していると、堪忍袋の緒が切れたように稲荷さんが両手を大降りに振りました。あ、ルノーとフォスもトースト食べたいんですか?今分けますからね…。
「本当にステラはマイペースだね?!何のんきにモンスたちと食べてるのさ!」
「あ…す、すみません…」
「まぁ落ち着け。ステラのマイペースは美徳じゃろうて。ほれ、儂のコーヒーでも飲むがよい」
「なんでマイペースな奴しかいないんだよ…」




