疑問と見送り
「あの、単純な疑問で…天井の星を見ていたら急に眩しく光り輝いて、白いベール?に包まれた人が現れたのですが…あれは一体何だったのですか?」
「あの正体に関しては色々な説があるけれど…。一番有力なのはおとめ座が現実に降臨した姿、という説ね。白いベールは純潔の証だし、姿が女性らしいという点も理由として挙げられるわ。まぁこじつけだと言われればそれまでなんだけど」
あの人影はいまだ謎に包まれているのですね…。それに問いかけられた?言葉も気になります。星を聞く、知る、取る、そして星に聞く。これらにはどのような意味が込められているのでしょうか?星を取る、だなんて普通に考えれば非現実的なことも問いかけていますし…。
「そうだ、ステラ。たまにこの部屋に訪れていい?」
「え?ええ。それは構いませんが…一体どうして…?」
「この部屋、というよりこの天井画が気になってね…。よく星を見てみて。なにかおかしい、というより足りない部分があると思わない?」
そういわれて、改めて天井を見てみます。う~ん、足りないものですか…。天体知識をフル活用して探してみます。ちゃんと星座として形になっているものばかりですし、これは全体を見た方がいいかもですね…。
「……あっ」
「わかった?」
「あの、多分ですが12星座が描かれていないのでしょうか?」
「正解!」
おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座からなる黄道12星座。ここにへびつかい座が加わると13星座になります。それは置いておいて…ここに描かれている星の中に、12星座は1つも描かれていないのです。これは偶然だとは思えませんね。明らかに意図的なものです。
「12星座は星座占いにおいて主要な星座よ。それが描かれていないなんてまずありえない。ここは本当に何を目的にして作られた部屋なのかしら…。それがわかるまでは通わせてもらうわ。ステラには迷惑をかけてしまうけれどね」
「いつでもいらしてください。私も気になるので」
「ありがとう。…そろそろオリーブたちのところに戻りましょうか。それなりに時間が経っているしね」
後ろ髪を引かれつつもそれを振り切って、オリーブくんたちが待機している自室に向かいます。ルノーたちはいい子にしているでしょうか?…部屋の前に来ても、中からは物音ひとつ聞こえてきません。パロマさんと顔を見合わせて、そうっと音を出さないように扉を開けて中を覗き込みます。
「あら!」
「ふふっ。癒されますね」
1人と2匹は、仲良くベッドでスヤスヤ寝ていました。オリーブくんが2匹を抱きかかえるようにして横になっています。待たせすぎてしまったみたいですね。
「このまま寝かせてあげますか?」
「そうしたいのは山々なんだけど、この後予定があって…。可哀そうだけど起こすことにするわ」
「そうですか…分かりました」
パロマさんが近寄って、オリーブくんをゆすり起こします。少しむずがっていましたが、眠りが浅かったのか割とすんなり起きてくれました。パロマさんが軽く身支度を整えてあげています。むしろ2匹の方が深く寝入っていますね。あなたたちも起きてください。オリーブくんたちが帰ってしまいますよ~。
ーーフォスはすぐ動いてくれたのですが、ルノーは寝ぼけているのか定位置の頭からずり落ちそうです。仕方ないので抱えて出口まで一緒に向かいます。
「今日は本当にありがとうございました」
「こちらこそ、良いものを見せてもらったわ。今度来るときは手土産を持ってくるわね」
「楽しみにしています。オリーブくんも何か遊べるものを用意しておくから、また来てね」
「うん!」
その後2、3軽く言葉を交わすと、お2人は帰っていきました。時折オリーブくんが振り返ってくれるので、その度に手を振ります。見送りが終わると自室に戻り、イスに座って一息つきます。
「あ、かなり時間が経っていますね。星を見ている間は時間を忘れていましたが、もうすぐログアウトしなければ…」
「シューシュシュ」
「フォスたちは待っている間、退屈していませんでしたか?何か食べ物でも用意しておけばよかったですね…」
あとは子供用の何かおもちゃなどを用意したいところですね…。おもちゃ屋さんはこの街にあるのでしょうか?明日稲荷さんたちにお会いした後、街を散策してみましょうか。もし無いようであれば、頑張って作ってみましょう!パズルやボードゲームがあれば、それなりに時間をつぶせると思います。あ、ボードゲームは1人ではできませんね…。
「…ホッ?」
「ん?あ、ルノー。ようやく意識がはっきりしたんですか。先ほどオリーブくんたちが帰ってしまいましたよ」
「ホホ?!」
噓でしょ、と言いたげに羽をばたつかせています。ルノーもお見送りしたかったみたいですね。でも起こしても寝ぼけていたのはあなたなんですよ?しょんぼりと羽?肩を落としたルノーを撫でながら、ログアウトするギリギリまでのんびりしていました。




