MPポーション
「何から説明すればいいのか…まず妖精はそんな簡単に姿を見せることはない。妖精の目撃情報なんてここ数十年なかった。お前はそんな性格ではないだろうが吹聴して回るなよ」
「!わかりました」
「よし。次に妖精は気まぐれで無邪気、そしていたずら好きな性格をしている。ゆえに遊びで森の中を迷わせたりすることもある。過去には10日間、森の中をさ迷い歩いたやつもいるらしい。お前は初めて見たから知らなかったかもしれないが、妖精には絶対に付いていくな」
…すみませんアランさん、また彼らに遊びに行くと約束してしまいました。なんだったらスキルと称号も貰ってしまいました。よし、このことは内緒にしましょう。私もアランさんを心配させるのは本意ではないので。
「おい、ちゃんと話を聞いてるのか?」
「あ、はい。聞いています」
「はぁ~…んでこの大量のようせい草。これはもう、どうすればいいんだか…」
ア、アランさんが頭を抱えてしまいました。本当に私のせいで多大なるご迷惑をおかけして…。たくさん生えてたので、採取して帰れば喜んでくれると思ったんです…。
「ーーよし、ステラ。お前にようせい草を使ったポーションの作り方を教えてやる」
「え、あ、はい」
「んで俺が必要な分以外はお前の好きに使え。このようせい草はステラがとってきたものだしな。貴重な薬草だから、扱いにはそれなりに気をつけろ」
まさかの丸投げですか?!新しいポーションの作り方を教えていただけるのは嬉しいのですが、それはあんまりだと思います!
「アランさんのためにとってきたのですから、アランさんに全部差し上げますよ」
「あ?こんな爆だーー貴重なもの、タダで貰えるわけないだろ。なんだったら俺に必要な分は金払ってやる」
「私よりも、アランさんの方が薬草の扱いには慣れていると思いますし!」
私だってアランさんがこんなに嫌がってるもの、管理したくないですよ!とは言えないので、なんとか押し付けたいところです。貴重な薬草だそうですから、全部差し上げますってば。
「…わかった。半分ずつ分け合うのはどうだ?」
「だから、全部もらってください。これはアランさんのために採取してきたんですから」
「ーーようせい草には妖精の力が宿っていると言われている。それが理由なのかは分からないが、ようせい草を持っていると妖精が近くに現れるという噂があってだな…その数が多いと、現れる確率が高くなるらしい」
悲壮な雰囲気を漂わせながらアランさんはようせい草を睨みつけます。妖精は何をするか分からないので、なるべく傍に近寄ってほしくないんだそう。
「俺だってこんな数のようせい草、欲しくないわけがないが…なんだったら全部ほしいが…」
「あの、半分ですね。半分こしましょうね!」
ようせい草を見ながらブツブツ呟くのが止まらなくなってしまったので、なんとか現実に引き戻します。アランさん~落ちついてください~!
「あぁもう、さっさと帰るぞ。あとでようせい草の金、払ってやる」
「あ、待ってください!」
ようせい草を押し付けて私にしまうように促すと、先に歩いて行ってしまいました。慌ててアイテムボックスにしまって後を追います。我に返ったかと思ったら行動に移すのが早すぎです。ずり落ちそうなルノーを支えて、少しだけ笑ってしまいました。
アランさんの薬屋に戻ると、早速ようせい草を使ったポーションの作り方を教えてもらいます。
「…あ、アランさん」
「なんだ」
「私、今魔法を使うことができないのですが…このポーションを作るときに魔法って使いますか?」
「使わないが…魔法が使えないって、なにやってんだよ」
「あはは…」
私も忘れかけていましたが、パロマさんに使わないようにと言われていました。魔法を使わないという事で一安心です。
「ところで今回作るポーションは、どんな効果があるんですか?」
「あ?魔力ーーお前ら来訪者の言葉でいうとMPを回復する」
MP回復ポーションですか!ゲームでは定番のものが出てきました。これは心躍りますね!
「まずようせい草は水に入れると溶ける性質がある。跡形もなくな。だからハサミで適当な大きさに切って、すり潰したものを糸吐き蜂の蜂蜜につける。そうすると水に入れても溶けにくくなるな」
水はアランさんが魔法で出してくれました。それを強火で加熱し、沸騰したら火を弱めてようせい草を煮ていきます。そして前に作ったポーションと同じ作業をして、冷やして瓶に入れたらMPが回復するポーションの完成です!
MPポーション レア度4
蜂蜜を使ったことでようせい草の効果を最大限に活用して作られた、MPを回復するポーション MP+50
色は綺麗な薄緑色ですね。蜂蜜の匂いがほのかにして、普通のポーションより飲みやすい気がします。
「糸吐き蜂の蜂蜜は100度を超えたお湯に入れると効果が薄くなるから、火を弱めろよ。あとMPポーションを作るときに絶対に入れちゃいけないのが氷だ」
「氷、ですか?」
「もっと言うなら魔法で作った氷だな。詳しいことはまだ解明されていないが、ようせい草と氷はなぜか相性が悪いんだよ。最悪の場合、有毒なガスが発生してしまう。お前もポーションを改良することがあったら気をつけろよ」




