白鳥のお姉さん
「ホー」
「シュシュ」
「この子たちも探すのを手伝いたいみたいですよ」
「ルノーちゃん、フォスちゃん…」
少し迷っていたみたいですが、ルノーとフォスが決め手になったみたいです。泣きそうだった顔に笑顔が戻っています。
「お兄さん、お姉ちゃん探すの手伝ってください」
「はい、もちろんです!」
迷子の人探しー迷子の保護者を探し無事に会わせる
報酬ー?
これもクエストみたいですね。報酬が明確に表記されていないのが気になりますが、今は人探しに集中しましょう。
「わたし、オリヴィエ!お兄さんはオリーブって呼んでいいよ!」
「おや、愛称で呼んでいいのですか?」
「うん!」
まぶしい笑顔ですね。思わず和んでしまいます…。ところで気のせいかもしれませんが、オリヴィエという名前はーー。
「あとわたし、男の子だよ!」
「……すみません」
「いいよー!今日はわたし、女の子だからね」
はい。やはりオリーブちゃん、いえオリーブくんは男の子だったようです。オリヴィエが男性名として使われる名前だったので、もしかしたらとは思ったのですが…。こんなに可愛らしい顔立ちで、しかも女の子の格好をしていたので全く分かりませんでした。
「こほん。さてオリーブくんはお姉さんとどこではぐれたんですか?」
「ええっとね、今日はお昼を買うためにパン屋さんに行ったよ!」
「それではまずはパン屋さんに行ってみましょうか」
「うん!」
ルノーとフォスをもとの位置に戻し、オリーブくんと手をつないで人混みの中を歩いていきます。あいにく私はパン屋の場所を知らなかったので、オリーブくんに案内してもらってます。小さな体が吹っ飛ばされないかハラハラしますが、本人?本エルフは楽しそうです。
「パン屋さんにはね、たくさんパンがあるの!全部おいしいんだよ!」
「そうなんですね~。楽しみです」
「うん!もうすぐ着くよ!」
ルンルンとつないだ手を振って歩きます。確かに微かですがパンのいい匂いがしますね。あ、パンのイラストが描かれた看板が見えました。あそこが目的地ですね。
「着いた!お姉ちゃんいるかな…?」
「店内に入って探してみましょうか」
明るい色の木製のドアを開けて中に入ります。店内ではお客さんで混雑していました。お姉さんらしき人はーー見当たりませんね。お店の方も忙しそうなので、お話は聞けそうにありませんね…。
「お姉ちゃん、いない…」
オリーブくんの耳がまた下がってしまいました。さっきまで明るかったのに、心なしか背も小さくなっている気がします。
「オリーブくん、パン屋さんの次にお姉さんと行った場所はありませんか?」
「!…んと、噴水!噴水でパンを食べたの!」
「どこの噴水か分かりますか?」
「あっち!」
「では行ってみましょうか。大丈夫です。絶対お姉さんを見つけましょうね」
「!うん!」
またしっかりと手をつないで歩きだします。オリーブくんも少し気を持ち直したみたいです。
すぐ近くにあった広場に到着しました。中央には大きな噴水が鎮座しております。ここも人で賑わってますね。しっかり手をつないでいても、人との接触ですぐ離されてしまいそうです…。
「オリーブくん、抱っこしてもいいですか?」
「?うんいいよ」
「ありがとうございます。お姉さんを見つけたら教えてくださいね」
「わかった!」
ワンピースの裾がめくれないように気を付けながら抱き上げます。オリーブくんは高ーいとはしゃいでいます。…子どもにしてみれば私の背は高いのですね。嬉しいようなどこか悲しいような……。私が1人で勝手に落ち込んでいる間にも、オリーブくんはお姉さんを探しています。
「ちなみにお姉さんはどんな服を着ているのですか?」
「んとね、今日は白鳥を頭に着けてた」
「……え?」
「あのね、首がこーんなに長くてね。ちゃんと身体もあるのよ」
オリーブくんが楽しそうに説明してくれていますが、言葉が頭に入ってきません。はくちょう……白鳥?なぜ白鳥?
「……お姉ちゃんいなそうだね」
「はっ!そ、そうですね」
白鳥の衝撃が強すぎて、本来の目的である人探しを忘れかけていました。ですがお姉さんがいればすぐに見つけられそうですね。
「パンを食べた後はどこかに行きましたか?」
「図書館行ったの。ご本を読んだのよ」
「図書館ですか。それでは次はそこに行ってみましょう」
図書館は今職場みたいになっていますから、場所は分かります。オリーブくんがこのままがいいというので、抱っこしたまま歩きます。広場から図書館も、そう距離があるわけではありません。オリーブくんがモンスたちを撫でている間についてしまいました。
図書館のドアを開けると、なにやら中が騒がしかったです。あ、フルールさんの前で泣いている白鳥はーー!
「お姉ちゃん!」
「………!オリーブ~よかった~!見つけた!」
私の手からお姉さんの手に移ります。白鳥さんは先ほどからずっと泣きやみません。本当に頭に白鳥を着けて?かぶっていますね。地味にリアルです。
「ステラさんがオリーブくんを見つけてくれたんですね」
「フルールさん」
2人の様子を見守っていると、近くで同じく様子を見ていたフルールさんが話しかけてきました。
「路地裏の近くで1人で立っていたので、声をかけたんですよ」
「本当に変な人に声をかけられなくてよかった…!パロマもオリーブくんがいなくなってすごく心配してましたし。まぁ図書館で泣き続けたのは少し止めてほしかったですが…」
「だって!すごく!心配だったんだもん!」
「お姉ちゃん泣かないで!」
オリーブくんから顔を離して振り返った白鳥さんは、まだ涙で濡れていました。フルールさんがハンカチを渡しています。脱水症になりかねませんね。あとで水分もとってくださいね。
またまた中途半端ですが切ります。




