図書館での作業
「こちらがクエストです」
蔵書の整理及び処分―図書館の倉庫に保管されている蔵書を整理し、不要なものがあれば処分する
報酬—2000G
「ここに書かれている不要とは、どのようなものを指すのでしょうか?」
「傷があったり、すでに図書館が所持している本のことですね。この図書館では基本同じ蔵書を複数並べることはないので、保管していても意味がないですし」
それならばなぜ複数の本を用意してしまっているのですか。注文でも間違えましたか?
「寄贈という形で、図書館に本が集まるんです。皆様本の処分に困る方が多いので、図書館に送り付ければ何とかなると思って…」
「本の処分は、個人ではできないものなのですか?」
「そうですね…オルトフィリアでは本の扱いが厳しくて。処分するにも色々制限があって、一般の方がやるのは少し難しいと思います。ただ1度買ったものは売ることはできないので、こうして図書館に寄贈するんです」
制限について尋ねると、本の処分をする前にまず文章に魔力が込められていないか魔力操作で確認します。その後全ての文章を特殊なインクで黒く塗りつぶします。本の表紙や裏表紙なども同様に塗りつぶすか削り取り、題名も分からないようにするそうです。そして専用のカッターで一枚一枚ページを全て切り取り、特殊な液体で溶かします。表紙は炎で燃やすそうです。かなり時間と手間をかけますね。どうしてここまでするのでしょうか?
気にはなりますが一旦置いておいて、早速クエストを受けます。倉庫の場所までフルールさんが案内してくださるそうです。受付の中に入り、長く伸びる廊下を歩いていきます。一番奥に着くと、重そうな扉を押し開きます。ここが目的地みたいですね。
「今日中に終わらないと思うので、焦らずやってください」
「わかりました」
「それとこちらがこの図書館で管理している蔵書の資料です。ここに載っているものや破損しているものがあれば、この籠にいれてください。資料に載っていない本はこのテーブルに置いて欲しいです。それともし魔力を感じる本があれば、私を呼びに来てください。すぐ対応しますので」
「わかりました。あ、私速読スキルを持っているのですが、確認する際に本を読んでしまう可能性もあって…」
「それぐらい問題ないですよ。本が関係している以上司書は日常茶飯事です」
よかった、一安心です。それでは、と仕事に戻るフルールさんを見送り、倉庫の中の本に向き合います。山のように積み上げられているものもあれば、木箱が積みあがっているものもあります。ギルドの地下よりは狭いですが、それでも大量ですね。
「ルノーとフォスは何してますか?」
「ホッ」
「シュシュシュ」
どちらも『ねむい』そうです。ごはん食べたばっかりですからね。2匹をテーブルの上にそっと乗せます。もうルノーは目を閉じていますね。フォスは瞼がないので目を開けたままだと思いますが、とぐろを巻いていて顔が見えません。まぁ作業は静かにやりましょうか。
近くにあった本を手にとります。見た感じは綺麗ですね。ページをめくって破損がないか確認しますが、目立ったものもなさそうです。ついでに速読スキルさんが働いて読書もしていきます。—ーうん。この本は問題なさそうですね。これは資料には載って…ません。テーブルに本を置いて、次を手に取ります。作業はあっという間に終わりますね。これならたくさん本の整理ができそうです。
その後もひたすら本の確認作業をしていきます。あきらかにページが破られているものは、中を確認するまでもなく籠に入れます。内容は気になりますが、今はクエスト中ですからね。我慢、我慢。あと保管されている本の中に同じものが複数あったのですが、これはどうすればいいのでしょうか?とりあえず資料には載っていないので、確認して大丈夫だったものを積み上げておきましょう。その後は職員さんにお任せです。
「はぁ~幸せです」
本がたくさんあるだけで、人は幸福になれます。少なくとも私はそうです。いつか私も家を買ったら、書斎を作りたいですね。たくさん本を置きたいので、買う家も大きいほうがいいのでしょうか。夢は無限大です。
「シュシュー!」
「わっ!」
突然フォスが大きな声を出しました。あまりに唐突だったので、心臓が跳ね上がります。ですが振り返っても変わった様子はありません。ルノーも驚いて目を丸くし、羽をばたつかせながら起きてしまいました。当の本蛇だけ動きがないです。
「…もしかして、寝言ですか?」
「ホー…」
さっきのは大きな寝言だったみたいです。ルノーはやれやれと言いたげに首をすくめ、また寝る体制に入ります。…まだ心臓がうるさいです。フォスの寝言には気を付けましょう。
とりあえず山を3つ整理し終わりましたね。作業はまだまだ続きそうです。今やっている確認作業が終わったら一度ログアウトしましょうか。ログインしたらルノーとフォスを連れて、気分転換に外に散歩しに行きましょう。あぁ心なしか腰が痛くなってきたような気がします。早く休憩するためにも、作業を終わらせるとしましょう。
作者が2回目のインフルになりました。更新は頑張ります。




