司書のお仕事
「まずはステラさんのステータスを確認してみてください」
そういわれて、改めてじっくりと見てみます。…うん?スキルのところに誓約魔法というのが増えていますね。職業が進化した際に獲得したのでしょうか?
「新しいスキルが増えていました」
「誓約魔法ですよね。その魔法は司書の仕事には必須のスキルなのです。まずは司書の役割について説明しますね。司書の仕事は主に資料の管理・点検です。ですがあまり大々的に知られてはいないのですが、本から得られる知識―いわゆる情報ですね、それらを提供・管理・分析するのも司書の役割なのです。まぁ簡単に言ってしまえば金銭の発生しない情報屋ですね」
少し難しい話ですね。情報を管理するのは司書の仕事なのでしょうか?ま、まぁこのゲームではそうなのでしょうね。それにしても情報屋ですか…稲荷さんみたいな商人とは違うようですが…。
「どのような情報を提供するのですか?」
「それは様々ですね。日常生活の知恵からどこかの大陸に眠っているお宝の情報まで、ありとあらゆる情報が求められますから。ですがまず依頼者は情報を尋ねる前に、私たち司書に水晶の花を1輪渡さなければなりません」
水晶の花?フルールさんに花について尋ねると、少し早口になりながら教えてくださいました。咲く場所は完全にランダムで草原から家の中、水中で見つかることもあるそうです。花が咲いてから僅か30分ほどで枯れてしまうらしく、そこそこ貴重な花だそうです。
なぜそこそこなのかというと、オルトフィリアの住人たちは1週間に1度は傍に咲くそうで。私たち来訪者の方が見つけるのに苦労するだろうというのがフルールさんの見解ですね。ちなみに水晶の花は、本の修繕の際に使用する薬の材料に使われるそうです。そのほかにも解呪薬や肥料にも使えるので万能の花と呼ばれています。…そういえば彼女は花園の司書でしたね。ところどころ早すぎて聞き取れませんでした。
「花を受け取り、依頼者にどのような情報が欲しいのかを聞きます。その後誓約魔法を使うと、依頼者がその情報を知るために何をしなければならないかが提示されるので、それを伝えます。まぁ言ってしまえばクエストですね。報酬が依頼者が求める情報というだけで」
「なぜクエストをしなければならないのですか?」
「難しい話ですね~それは司書という職業を研究している方に聞かなければわかりませんが…今言えることは司書は情報の管理も担っています。だからその情報が正しく使われるかを見極めないといけません。司書は知識の番人ということを忘れないでください」
心に響きますね。司書に関しての認識を改めなければいけないみたいです。本を読んで管理するだけではダメなのですね。勉強になりました。
「依頼者の中には誓約魔法の効果がない人もいます。その人はまだ情報を得る段階ではないので、依頼を断ってくださいね。あとは…あ、誓約魔法を獲得した瞬間から、嘘をついてはいけません。絶対ダメです!もし嘘をついてしまった場合、誓約魔法は失われ二度と獲得することはできなくなります。お気を付けください」
嘘をつくと失われる魔法なんですね。司書という職業である以上、嘘をついてしまうと信用問題につながりますからね。絶対にしないと心に誓います。
「他に話すことは…思いつきませんね。ステラさんは何か聞きたいことはありますか」
「私も思いつきません」
「それでは今回の説明はこれで終わりますね。それと今のところ来訪者の中で放浪の司書になったのはステラさんだけなので、分からないことがあれば聞きに来てください」
私だけ…。まぁ推薦状を貰った司書は私以外いないので、妥当だと思います。しかし気が重いですね…。いえ司書の役割は他の人と変わらないのですから、何も問題ありませんね!ちょっと職業の名前が違うだけです。
「それと一次職の司書は誓約魔法をまだ使えないので、情報を求める人がステラさんのところに集中してしまうかもしれませんね」
「司書は誓約魔法を使えないのですか?!」
それは聞いていませんよ!なぜなんですか!
「一次職の司書は私たち上位職の司書から一人前と認められて、初めて誓約魔法を教えてもらうんですよ。それに対して放浪の司書は自己研磨するタイプですね。1人でスキルを磨いていくので、最初から誓約魔法を覚えているんです」
いわゆる師匠に弟子入りするか、自己流でいくかみたいな感じなんですね。司書がそれに該当するとは思いませんでした。しかも全部1人でやるのではなく、NPCに質問しても問題ないみたいですし。優しい世界ですね。
説明不足でした、と謝るフルールさんに気にしないでくださいと伝えます。教えてもらったので問題ないですよ。会話も一段落つきました。さぁ早速本を読むぞ、と燃えていると、フルールさんに呼び止められました。
「ステラさんは総合知識を持っていますか?」
「はい。持っていますね」
「それでしたら、クエストをやっていきませんか?今働いている人が出払っていて、人手不足なんです」
「?図書館でのクエストはないと聞いていたのですが…」
「あぁ。総合知識を持っていなければ、クエストを提供することもありませんから。他の来訪者さんは見るからに勉強不足でしたしね。その点ステラさんは推薦状を持っていたので、スキルを持っているとわかったんです」
どうやら推薦状をもらえる前提として、総合知識を獲得していることが挙げられそうですね。まぁそれは置いておいて。クエストがあるのならやってみましょうか。




