表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おーい  作者: ぴかり
6/6

おーい。おーい。

「おーい」

「声出すなって言ったじゃん」


目と目が合った。

ふざけて井戸に向かって声を出したような表情ではない。

という事は、今の声は?


そう思った瞬間手を黒いモヤに掴まれた。

そして、今まで経験した事の無い途轍もなく強い力に引っ張られ井戸へと引きずり込まれた。



落ちていく。

どんどん落ちていく。

どこまでも落ちていく。


物凄い力で引っ張られ、凄まじい速度が出ているはずだが何時まで経っても底に着かない。


今際(いまわ)(きわ)で時間感覚が延長されているからなのかとも考えたが・・・。

上の方を見上げても光すら見えない。

朽ちている屋根があったが完全に光を遮断出来るはずもなく。光が見えないという事は・・・それ程の距離を移動したか、既に俺が死んでいるかだ。


今も尚、引っ張られている感覚もあれば高速で移動させられている感覚もある。

そして、こうやって思考出来ているのだから死んではいないはず。


高速で落下し続けている。

どこまでもどこまでも落ちている。


脳内麻薬が分泌されて時間感覚が延長されていると言っても際限はあるはずだ。

にも関わらず何時までも落ち続けている。



どのくらいの時間が経っただろうか?

空腹や喉の乾きは感じていないからそこまでの時間が経っているとは思えないが体感で言えば数日は経っている。

という事はやっぱり時間感覚が引き伸ばされているのだろうか?


アイツはどうしているだろうか?

俺の事を探してくれているのだろうか?

誰か助けを呼びに行ってくれているだろうか?


それとも、既にこちらに向かっているだろうか?

その場合、この速度に追いつけるとは思えないが・・・。


何にせよ既に手遅れなのだろうと思う。



そんな時、遠くから俺を呼ぶ声が聞こえてきた。

遥か彼方から「おーい、おーい」と呼ぶ声が。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ