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おーい  作者: ぴかり
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老い

私の人生は他の人と比べてどうだっただろうか?

良い人生だったのか?それとも苦しさに塗れていたのか。

何かを残す事が出来たのだろうか?それとも意味が無かった?


人と比べる事に意味が無いのは分かっているがそれでも比べてしまうのは人の性としてどうしようもない事なのだろうと思う。

この年になってもそうなのだから。


比べる事無く、過去を振り返ると楽しい事もあった。苦しい事もあった。嬉しい事も哀しい事も数え切れない程あった。その全ては他の誰のものでも無く自分だけのものであり自分だけの人生だった。

そう考えれば良い人生だったと胸を張って言えるだろう。


ただ、惜しむらくは・・・最期の時も近くなっている今、日の半分程が意識がハッキリしなくなってきる。

そして、意識がハッキリしている時ですら過去ばかりを振り返る日々になってしまっている事だ。


先立たれてしまった妻の事。今は離れて暮らす子供の幼かった日の事。学生時代。幼少期。

そんな事ばかりを思い返している。


不思議なもので古い記憶であればある程に記憶が明瞭になっていく。

兄弟との思い出も大人になってからよりも幼かった時の記憶の方が色濃い。

背自体は低かったはずだがあまりにも大きく感じた父の背中や母の優しさは今でも色褪せずに覚えている。


あぁ、また意識が遠のき始めた。

このまま不確かな時間が増えていきそのまま戻って来る事が出来無くなってしまうのだろうか?


なるほど、緩やかな死というのは恐ろしくも悲しいものなのだな。



そうして私は意識を手放した。


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