第二章:自由な異世界ライフ、開始
俺は城の廊下を進み、しれっと外へ出た。
途中でメイドや兵士とすれ違ったが、【気配遮断】のスキルを発動している俺に気づく者はいない。
(ふぅ……あっさり脱出成功、か)
城門にはさすがに数十人の兵士がいたが、俺は軽く跳躍し、城壁を越える。
そして、そのまま城下町へと降り立った。
目の前に広がるのは、異世界らしい賑やかな街並み。石造りの家々、活気のある市場、装備を売る武具屋や冒険者ギルドの看板が見える。
……いいな。
(こっからは俺の好きなように生きさせてもらうぜ)
悠真と紗奈は勇者として王国に縛られることになるだろうが、俺は違う。俺は異世界最強の力を持ちながらも、自由に動ける。
さて、まずは何をするか。
1.金を手に入れる → 武具屋で適当な武器を売るか、適当なダンジョンに潜って素材を売るか。
2.情報を集める → 冒険者ギルドで世界情勢を把握する。
3.メシを食う → ひとまず、異世界グルメを堪能するのもアリ。
(……よし、まずは金だな)
俺は適当に目をつけた武具屋へと足を運んだ。
腰に差していた剣――前の異世界で神より授かった神器「天絶剣」はさすがに売れないが、サブで持っていた竜鋼の短剣なら売れるはずだ。
「いらっしゃいませ! 今日は何をお探しで?」
店の親父が俺を見て声をかける。
「いや、武器を売りたいんだが」
「ほう、どんなものを?」
俺は竜鋼の短剣をカウンターに置く。
すると、親父の目が一瞬で見開かれた。
「こ、これは……!? まさか、本物の竜鋼か!?」
「まあな」
竜鋼は上級ドラゴンの鱗を精製して作る超高級金属だ。並の冒険者が手にすることはまずない。
親父は震える手で短剣を持ち上げ、慎重に見極める。
「……こ、これは……! すごい……間違いなく本物だ!」
「いくらになる?」
「こ、こんなもの、一生に一度見られるかどうか……! で、ですが、こんな大金を用意できるかどうか……」
あー、やっぱりか。
こういうことになると思った。
(なら、他の方法で稼ぐか……)
俺は短剣を回収すると、次なる手段を考えるのだった。
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