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第一章:異世界再び、しかし俺は……
「……チッ、またかよ」
目を覚ますと、そこは異世界だった。空気の濃度が違う。魔力が漂っているのがわかる。
目の前には豪華な大理石の床が広がり、壮麗な装飾が施された玉座の間らしき場所に俺たちは立っていた。
「勇者様! ようこそお越しくださいました!」
王冠をかぶった老人が頭を下げている。周囲には美しい女騎士やローブ姿の魔導士たちがいる。典型的な異世界召喚の流れだ。
俺はため息をつく。
(……何度目だよ、こういうの)
悠真と紗奈は混乱しながらも、勇者召喚に興奮している様子だった。
「うおお! マジで異世界!? すげえ!」
「えっ……こ、こんなことって……本当にあるの?」
だが、俺は違う。
(悪いが、お前らの勇者ごっこには付き合わない)
俺はこの場をこっそり抜け出し、一人で異世界を自由に旅することを決意した。
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