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春の推理2024(メッセージ)

さくらさくら

作者: 葉山麻代

「桜って、こんなに白かったかしら? 昔の桜はもっと色が濃かった気がするわ」


 お花見に行った祖母から、写真とメッセージが来た。

 桜の色なんて考えたことがないから、脳内の桜は薄いピンク色をしているが、そう言えば、テレビの中継で見る桜山の桜は、白に近いピンク色かもしれない。


 でももしかしたら、祖母の思う桜はソメイヨシノではなく、もっと色の濃い品種を幼少期に見ていたのかもしれないと私は考えた。


 祖母が幼少期を過ごした地域を調べてみた。父母に聞くその場所は、現在地から5キロと離れていない地域だった。植わっている木々に目立った差はないと思われる。


 思ったより近かったので、祖母の生家のそばにある公園を見に行ってみた。


 育ちすぎた木が、不格好に伐られてしまってはいるが、花盛りの桜は、美しくその存在感を主張している。それは、私が家のそばで見る桜と、おなじ桜だ。


 ソメイヨシノは園芸品種で、全て同じ桜をもとに増やした物らしい。どこの公園でも見る有名な桜ではあるが、害虫に弱く、昨今、公共で新たに桜を植樹するときには、選ばれないらしい。何十年もすると、桜前線の桜は、ソメイヨシノではなくなるのかもしれない。


 お花見から帰ってくる祖母に、子供の頃見たであろう桜と今の桜は同じものだから、きっと同じ色だと思うよ。と伝えてみた。祖母の返信は、少し悲しいものだった。


「年取って、人生が色褪せたから、見える桜も色を失ってしまったのかしらね」

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