第一章 幼馴染の行方 其の陸 村井の行方
更新忘れてました〜。申し訳ないです。
九月二十五日 PM 1:45 旭日市内 喫茶店前
どう言う事でしょう、と大岩は独り言ちる。
(確かに村井君は定期的に遅刻しますが、そうは言っても四十五分も遅刻した事はなかった筈です。)
いつもと違うことに大岩は不吉な予感を覚える。
「いくら遅刻の常習犯とは言え、いつもは十分くらいで来るのに」
「ええ、おかしいですね……。一体いつになったら村井君は来るんでしょうか」
大岩と野崎が喫茶店の前で話し合っているとそこに白衣を着て、いやに大きな鞄を持った白瀬が走ってくる。
「遅れたー。あれー? 村井君はー? せっかくいろいろ持ってきたのにー」
息を整えた白瀬はきょとんとした表情をする。傍に置かれた鞄からは何やら怪しい武器の様なものが飛び出ている。
(よし、この鞄には触れない方が良さそうだな)
二人の心が一致した瞬間だった。
「美代ちゃんも何かあったの?」
恐る恐るといった様子の野崎の問い掛けに白瀬が頷く。
「村井君に護身用の道具がいくつかほしいって昨日言われたんだよねー。それでいろいろ持ってきたんだけどー」
白瀬の少し間延びした返答を聞き、大岩は暫し考える。
(村井君は行方不明。時期的に『教団』と無関係とは考えにくいです。今ならまだ時間もありますし、ついでに白瀬女史謹製の武器もあります。乗り込む為の口実もありますし、いくべきでしょうね)
「……教会へ行きましょう。『教団』が絡んでいる可能性があります。」
大岩は手早く白瀬に事情を伝えると、彼女は自分も同行する旨を伝える。
「分かりました。とはいえ、何かあった時のために白瀬女史は外で待ってて下さい。もし何かあって出てこなければ警察を」
「分かったー。じゃあとりあえずこれを渡しておくねー」
そう言って白瀬は野崎と大岩に少し大きめの白いバッチを渡す。
「通信機と懐中電灯を一緒にしたバッチだよー。左右のボタンはそれぞれ、通信機と懐中電灯を起動するよー。二つのボタンを同時に押すと煙を出して三秒後に爆発するから気をつけてー」
過激な機構を平然とした様子で話す白瀬に大岩はドン引きする。
「……成程、中々に過激なバッチですね」
「そうかなー? まだこれでも穏当なやつなんだけどなー」
その言葉には大岩だけでなく普段、白瀬から護身用具を借りている野崎も閉口する。
「そうだ、美久ちゃんにも連絡しないとね。もし教団絡みなら一緒に見つかるかもしれないし」
「そうですね。教会の住所だけ伝えて現地で合流しましょうか」
そうして、早足で昨日教えられたばかりの場所へと向かう三人。
しかし、その後ろに見える怪しい影には、誰も気付かなかった……。
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ゴツゴツした床の感触にふと僕、村井は目が覚める。
真っ先に目に入ったのは真っ白な天井だった。よし、これはあの台詞を言うしかない!
「知らない、天井だ。」
……一回言ってみたかったんだよね。この台詞。いやぁ、しかし寝覚めとしては最悪だね。現実逃避がてら独り言を呟いてはみたものの、多分状況はかなり不味いんだよね。尤も最悪ではないと思うんだけど。
そう思いながら僕は縛られた自身の体を見る。幸いな事に縛られているのは腕の部分だけ。これくらいなら頑張れば抜けられるかな?
四苦八苦すること、体感十五分。なんとか縄を外す事に成功した。
「昔調べた縄抜けのやり方がまさか役に立つとはね。とはいえ、この後はどうしようか?」
縄抜け技術——と言っても記憶の中の忍者の特集記事頼りだが——が役立った事に軽く苦笑してから、僕は小声で呟く。部屋の唯一の入り口と思われるドアが開かないのは調査済み。部屋自体も、特別なものは……滅茶苦茶大きい本棚くらいか。凄く面倒だけど、一応調べようかな。
僕は本棚の中からなんとなく心惹かれたものを選び、読み始める。