アニーも誰も悪くない
柾谷の親切に、灯枇がどれほど救われたか。6年生になって再び巡ってきた、新1年生との手繋ぎペアだって、案の定灯枇は余り物になってしまったが、一緒に組んだ相手が柾谷だったので、灯枇にもちゃんと1年生のお世話が出来て、存在を認識されないといった悲劇は繰り返されなかった。
そんな柾谷だったから、全ては仕様の無い事で、灯枇にはそれでも十分だった。何のことかと言うと、転校生のアニーの一件だ。灯枇はアニーの事を思い出すと、同時に彼女とどうにか仲良くなった過程まで思い出して、正直穴があったら入りたくなる。勿論それに関して、アニーも誰も悪くない。
灯枇はただ唯、アニーが転校して来てからというもの、どうにかしてお近づきになろうと必死だった。その涙ぐましい努力とは、聞き間違いだ。何だか記憶があやふやなのだが、灯枇はひたすら色んな言葉を聞き間違えたフリをして、アニーに何度も話しかけた。
転校生してきたアニーは、ロングヘアの気さくな女子で、クラスで孤立気味だった灯枇に話しかけてくれた。灯枇は別にアニーに対して不満がある訳では全然無くて、ただ単に後々考えた事として、転入生という存在は、最初はどうしてもよそ者だから、まず大人しくて孤立気味の子と仲良くなり、それから徐々に他とも交流を深めていくものなんだろうか? と、ふと思ったのだ。
アニーの愛読書は「マジック・ツリーハウス」シリーズで、彼女の家には全巻揃っていた。灯枇はそこで初めて、「マジック・ツリーハウス」の作者が外国人である事に気が付いて衝撃を受けた。優れた作者は容易に国境を越え、外国人とは思えない程巧みに忍者を描写していたからだ。アニーは「マジック・ツリーハウス」の主人公兄妹の妹・アニーのように明るくたくましく、そして何より率直だった。
見た目は素敵な隣のクラスの美少女評も、彼女にかかれば、単なるズルして学校にマグネットピアス着けてくる不良だった。アニーはとても素敵な女子だったから、あっという間にクラスの女子達にも溶け込んで、そして灯枇の知らない間に、柾谷と親友同士になっていた。




