心の美少女
野々下 灯枇は自身の秘密を握る花蜜吸に脅威を感じ、妃鞠と雲母には反応が面白いからという理不尽極まりない理由で、日々嫌がらせを受けていた。その為図書室にしか逃げ場の無い、学習漫画好きの灯枇には、密かに憧れの人が居た。初めて廊下で目撃した時、黒髪のポニーテールを靡かせた彼女は、まるで白雪姫のように赤い唇の美少女で、灯枇はこんなに可愛いらしい女子がよそのクラスには居たのかと衝撃を受けた。
彼女は仮の名を双樹 響といい、本名は勿論書く事は出来ないが、それも大変美しい名前で、彼女にとても良く似合っていた。灯枇は全く面識の無いその美少女と、出来れば仲良くなりたかった。そして驚いた事に、その願いは偶然叶った。
灯枇は別のクラスに居る友達の誰かが帰りの会を終えるのを待っていて、丁度同じように双樹 響も、誰かをクラス前で待っていた。そんな事が続いて自然と待っている間に会話を交わすようになり、灯枇は彼女と知り合いになれた。
その後更に、今となってはよく分からない事情だが、たしか生活の時間か何かで他クラスとの混合グループを作らされ、手作り玩具製作を行ったのだ。灯枇はそれで、たまたま憧れの美少女・双樹 響と二人きりのグループとなり、彼女の発案で大きいペットボトルに色とりどりの針金モールを丸めて入れて、キャッチャー系の玩具を作った。
双樹 響は大変性格も良く、意外と男勝りな美少女だったからか、男子に毛深いと悪口を言われ、泣いた事もあった。灯枇は双樹 響を泣かせた男子の馬鹿さ加減が信じられなかった。後年、灯枇が卒業アルバムを見ながらその事を弟の森次に語って聞かせていると、森次はあまり性格の良くなかった、別の美少女の方が自分好みだと言い出した。
「えーっ、その子はハーフだからって学校でも耳たぶにアクセ着けてたけど、後々転校して来たアニーが言うには、実はハーフとか全然関係ないお洒落だったらしいよ。自分も持ってるから分かるんだって、アニーは断言してた。つまりは不良じゃん。いくら美少女でも」
「姉ちゃんがそんなに美少女だって思うんなら、きっとこの人は心も美しかったんだろうね。だから更に綺麗に見えたんじゃないの?」




