遊び係制度
雲母は恐らくシャーロックを通じてなのか、不思議男子達とも交流があった。不思議男子とは、大体各クラスに2名程生息しており、揺るぎ無い自分自身の世界観を持っていて、何処か仙人然とした風格を持ち、活発に遊び回る事はあまり無い。
例えばクラスの遊び係が決定して、昼休みにクラスメイト全員が男女に分かれてケイドロをさせられる羽目に陥ったとしよう。
女子だから、その時は泥棒役だった灯枇が男子達から隠れ回っている最中、うっかり不思議男子二人組と遭遇して悲鳴を上げる。しかし彼ら二人はそのまま駄弁り続け、警察役の義務など一切果たそうとしない。しかもそれが他の男子達にバレても、怒られるようなことは一切無い。彼等は時折その面白さや才能を垣間見せる為、若干の尊敬を集めているからだろうか。
灯枇は遊び係の企画が大嫌いだった。か弱い女子達は、所詮活発な男子達にとって単なる人数合わせでしか無いのに、大して仲良くも無いクラスの連中と、代わり映えのないケイドロや陣取りをさせられて、雨の日は椅子取りやハンカチ落としなんぞに付き合わなくてはならないのが嫌で嫌でしょうが無かった。灯枇は貴重な昼休みを、図書室での読書に費したかったのだ。だから頑張って図書室のPCデスクの裏に隠れたりもした。
「あ! やっぱり図書室に居た。野々下さん、ちゃんと来いよ! 1人だけサボりなんて許さないからな」
チッ、さっきは出てったのにまた戻って来やがって。生真面目な松長君は遊び係の任を忠実に果たし、灯枇の腕を引っ張って陣取り合戦中のクラスメイト達の元まで連行した。一度捕まってしまえば、どこか別のスイミングスクールで同じ水泳をやっていても、インドア派の灯枇と違ってスポーツマンの彼には脚力では敵わず、諦めて参加させられるしか無い。




