表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/51

迷子の迷子の黒板消し

 灯枇(あけび)のもう一つのトラウマは、行方知れずになった黒板消しだ。ある時日直だった灯枇(あけび)は、2階の教室から窓の外に腕を出して黒板消しをはたいていた。


「あっ、落とした」


 灯枇(あけび)が靴を履いて落とした筈の場所まで取りに行くと、黒板消しなど影も形もない。何で何でと焦りながら見渡すと、1階の2ー1の教室が目に入った。2ー1の窓をノックして開けて貰い、開けてくれた女子に訊ねてみると、成程やはり勘違いした2ー1の人間が、先に黒板消しを回収したらしい。


「これで全部だよ。どれが落とした奴かな」


 灯枇(あけび)が見せられた黒板消しは、全て落とした物との特徴が一致せず、灯枇(あけび)は手ぶらで教室へと引き返した。しかしそれもまた勘違いだったのだ。落とした黒板消しの特徴は正反対で、2ー1の黒板消しが増えたならどれでも良いのだから、1つ回収して来るべきだったのだ。


「せんせー、野々下さんが黒板消しを無くしました」


「何でそんなことをするの。ちゃんと探した?」


 面倒なことにこの勘違いに次ぐ勘違いに灯枇(あけび)本人が気付いたのはだいぶ後で、その時状況を適切に説明し、十分な理解を得られるだけの語彙力か人望を、灯枇(あけび)は持っていなかった。紛失した黒板消し探しに他のクラスメイトも駆り出され、当然見つかる筈も無く悪者に仕立て上げられた灯枇(あけび)は、その後片手を汚してチョークの粉を払う日直達を見たり文句を言われる度に、日々針のむしろ状態だった。しかも担任教師はこの時点でも高齢で、数年後に体調を崩したと退任式で他の教師から発表があり、まさか黒板消し事件のせいでは無かろうなと灯枇(あけび)は酷く恐ろしくなった。


 しかしながら、2ー1にはそれでなくとも元々大量の黒板消しがあったのだ。それなのに何故灯枇(あけび)のクラスでは、日直達がたった1つとなった黒板消し相手に、アホみたいに痩せ我慢を強いられなくてはならなかったのだろうか? 無くなったら無くなったで、担任教師が新しい黒板消しを補充しない道理などあったのだろうか?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ