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地毛と天然とアテネちゃん

 孤独な保育園生活を送る灯枇(あけび)だったが、彼女なりに奮闘を重ねた部分もあった。


 ヒヲス保育園では鬼ごっこや隠れんぼなど、ある程度人数が集まって遊ぶ必要がある時は、人差し指を掲げて「〇〇する奴この指と~まれ!」と募集する風潮があった。


 ただしこれをやるのは専ら男の子達で、時にはそれに参加する女の子も居ない事は無かったが、それは元々親しいから出来る事で、組も違う灯枇(あけび)が人差し指にとまろうと、天高く突き出そうと、その結果は分かりきっていた。


 他には、保育園の遊具類は基本早い者勝ちだったので、遊び時間の開始と共に倉庫まで走って一番乗りすると、おままごとには欠かせない地面に敷くマット類を確保して、おままごとをしようとやって来た女の子達に入れて貰うという手があった。しかしそれもあまりいい顔はされないものだし、常におままごとをやるとは限らず、次第に虚しくなって灯枇(あけび)は止めた。


 また、一度A・B・C組の教室内に持ち回りで、手作り感あふれる大規模な室内遊具セットが保育園に出現したことがあった。普段は他の組の教室には入らないように言われていたが、この時は遊具があるからOKで、保育士に頼めば早い者勝ちで、セットの中にある浴衣を着せて貰う事が出来た。


 そこでたまたまC組に遊具があった頃、運良く灯枇(あけび)が着せて貰っていると、後からやって来たC組の女の子が泣き出して、自分が着たいのにと我儘を言った。保育士はその子が可哀想になり、灯枇(あけび)灯枇(あけび)でこのまま着続けると恨まれて恐ろしいことになると思い慌てて脱がせて貰って、奇妙な罪悪感を覚えながらC組の教室から退散した。


 この頃になると灯枇(あけび)は薄々気が付いていた。ヒヲス保育園では例え理が無くとも、泣けば保育士はそちらの味方に付いて、泣かなかった方が折れる羽目になることを。それでむしゃくしゃして相手を叩いたら完全な負けで、仕返しはヒヲス保育園において絶対的な悪だった。




 そんな灯枇(あけび)のどこが良かったのか、たまに話し掛けて一緒に遊んでくれる年下のアテネちゃんが居た。アテネちゃんも後々入って来た途中からの転入児で、灯枇(あけび)と同じB組だった。送り迎えに来るその母親と同じ、珍しい髪色をしていた。


「それ、染めとるだろう。いかんとばい」


 (のち)に美少女揃いの4町内の女子達と登下校することで、4町内のハーレム野郎として名を馳せることとなるC組の男の子は、ある日何故かそんなことを言って、年下のアテネちゃんを責めた。灯枇(あけび)はそれが不思議でしょうが無く、アテネちゃんを気の毒に思った。


――変なの。ママと同じ髪の色なんだから、染めてる訳無いじゃんね



 それからもアテネちゃんは、灯枇(あけび)のヒヲス保育園での心の支えであり続けたが、彼女は同じB組ではあっても、1個年下のパンダ組で、ずっと一緒に居られる訳じゃ無く、それに同じB組でパンダ組のシナモンちゃんと仲良くなっていった。しかし灯枇(あけび)は、もちろん寂しく後引く哀しさはあったものの、ルミ程の衝撃や悲しみは感じなかった。


 むしろ年下のアテネちゃんにとっては、その方が良いだろう。しかしこれは灯枇(あけび)の被害妄想なのか定かでは無いが、これまた転入児のシナモンちゃんは、どうにも灯枇(あけび)に対してはいけ好かない女の子だった。





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