狸寝入りの耳寄り情報
眠れない昼寝の時間が大嫌いな灯枇は、その後のおやつの時間は好きだった。
ただし、食べ終わった後の園庭に出されての遊び時間は更に苦痛だった。しかも不幸な事に、最年長のきりん組になると、園児達を小学校生活に適応させる為、昼寝の時間が無くなり、その間もずっと園庭で遊ばされる。
灯枇もルミと仲が良かった頃は、遊べるきりん組が羨ましくてしょうが無かったが、今となってはただただ1人ぼっちで園庭で過ごす羽目になるのが恐ろしい。むしろ眠れなくても昼寝をしていた方が、まだいくらかマシだった。園児達の昼寝の間、保育士達は連絡ノートを書いたり、今後の業務について相談しているのだが、寝た振り中の灯枇には、その内容がばっちりと聴こえていた。
「え? 外国人の子が来るんですか。パンダ組で」
「そう。アラブ人らしくて、名前はアブテルモゼフ・ヨゼフくんだって」
「クラスはどうしよう。まあ人数が少ないし、A組かな」
何だ。B組じゃないなら関係ない、がっかりだ。でもこれはなかなか物凄い事を聴いてしまった。起きたら皆に教えてやらないと、と灯枇が少しだけわくわくしていると、担任保育士に1人だけ目を開けているのが見付かった。
「灯枇ちゃん、ダメでしょ。ちゃんとお昼寝しないと」
そのままトントンと掛け布団の上からお腹を叩かれる灯枇だったが、保育士は力加減がなって居らず、叩かれる度に胃に響いた。灯枇は人知れず心の中で、ウゲッウゲッと思いながら、早くトントンを止めさせる為に更に迫真の演技で寝た振りをした。




