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七賢者の鍵

 私の拠点としている街の特亜重工統括者、ガンダルフィとやらを拷問し聞き出した情報で地下空間に七賢者の鍵が二つ存在する事が判明する。


 幹部連中で生き残っている奴がまだいるな。


「おい、七賢者の鍵のセキュリティ解除をしろ。貴様らを生かさないこともない」


 巨漢でのデブと、背が高いヒョロガリの二人だな、ここの情報端末の情報を吸い上げて行き情報を取得する。


 太々しい態度の巨漢は、生き汚さそうで信用出来なさそうだな、殺すか。


 顕現させているダンタリオンの右腕を動かそうとすると。


「ま、まままま、待ってよん!? わ、わたしぃ役に立つわよ? 七賢者の鍵の開錠は二人以上の幹部の生体認証と承認が無いと不可能なの! ほ、ほら! わたし必要でしょ?」


 周囲を見渡すが、生きているのはこいつともうひとりだ。運が良かったな。


「――ではすぐに向かうぞ。――おい、そこのデブ。オートマトン/G.M.F.Fとやらの起動させたな? まあ、戦うのは嫌いではないが先に七賢者の鍵を寄越せ。いくぞ」


 のろのろと歩き始めたこいつら足では遅いのでバティンの≪見えざる手≫を使用して宙に縛り付けている。


 幹部のみ使うことが出来る専用エレベーターに乗り秘匿区域である場所は、もともと軍事施設を流用して作られた場所だそうだ、オカマデブがさっきからぺらぺらと喋っている。


「――ああ、そこの男なぜダンマリとしている? なんだ復讐でもするのか? ここの隔壁がナノマシン含まれており圧縮することぐらい理解しているが犬死したいならすればいい、すでにアースユニオンで味わったからな」


 やはり、考えていることが定番の道連れだな。オカマデブは怒り狂いそうになっているが現状生きるという事にはまだ真面だ。


 秘匿区画を進みながらヒョロガリはぎょろりとこちらに目を向けて来るとポツポツと喋り出した。


「――貴様は、新型のアンドロイドなのか? ……あのゆりかごの存在が生み出したとでもいうのか……プラネットリングに存在する楽園と呼ぶべき場所が、この薄汚れた大地に……」


 辛うじて聴き取れるレベルの無いようだが、“ゆりかご”と呼ばれる何かがプラネットリングには存在しているのだろう。

 

 少々気にはなるが七賢者の鍵のセキュリティーを解いてもらう。


「これで、特亜重工は終わりだ……だがな、企業連合カルテル中に貴様のデータを送っておいた。この世界に貴様の安住の地など存在せぬわ!!」


 なにこのヒョロガリ、それだけで強気なんだな。


 無視してもいいが……嫌がらせでもするか。


「――スタディ・ボーガンとやら……だったか? お前は世界がひとつだとなぜ決めつけている――ほら、こうして空間も次元も私は歪曲させることが出来るのだよ? この世界に存在しない生物だとなぜ初めに気付かない?」


「!! そ、それは……!」


 大きな二本角を生やし、翼と尻尾も追加していく、炎を纏い、紫電を走らせる。


「過去に伝承として語られていたとも思うがな。私の名はダンタリオン――悪魔だ」


 元々は人間です。ええ、ちょっとドヤ顔したかっただけです。このヒョロガリの反応が面白くて。ドヤァ!


 死亡した後でも魂を掌握できることを自慢すると、プルプル震えていたよ。この世界に神への信仰を見たことは無いがさすがに死んだ後に自由にできる存在がいるなど想像の欄外だったらしい。


 他の世界ではポピュラーな考えたっだので、ここまで顕著な反応を示すところを見ると異文化の差を感じるな。


 割と素直に二つのクリスタルのようなものに封じてある七賢者の鍵を渡してきた。さすがに悪魔が嘘を吐くのも体裁が悪いので契約をさせてもらう。


 出来得るかぎりの私への協力と関係者に対しての抑止力として働くことを誓わせる。もし私の関係者に悪意を持って間接的にでも手を出すと魂が崩れるほどの苦しみを感じる。


 ほいほい契約したオカマデブは早速苦しみにのたうち回っていたな、それを説明すると絶望の表情をしていた。


 ボーガンとやらは未知の存在と契約したとはしゃいでいたがな。意外に話の合う奴かもしれん。直接的に関係がないので仕事を割り振ることも考えてやらんこともない。


 そうこうしている内に専用エレベーターで地上部に戻っていると、轟音が聞こえてくる。


「おい、リリィ・メイリアとやら、オートマトン/G.M.F.F起動させてたよな。まあ、契約前だからノーカンだがもう少し考えて行動する事をオススメする」


「――も、もちろんよ!」


「はぁ、最高幹部会もメイリアと私だけか……。先が暗いな」


 専用エレベーターのホールはナノマシン配合建材で強度が高く健在だが、周囲に覆われていたビルが崩壊を始めていた。


 上空にはおよそ五十メートルほどの機械塊。あれがオートマトン/G.M.F.Fか。


「過去、この惑星にやってきた最初期のオートマトンだ、現代持ち得る遺物や最高効率のバッテリーを使用しており連続稼働時間を延長させ、十二時間もの継戦能力を獲得。再現不可能とされてきた過去の光学兵器を八十門も装備させてある移動要塞とも言えるオートマトン/G.M.F.F!! 高度AIが搭載されており、自動操縦機能も完備してある! ――どうぞダンタリオン殿。悪魔の力をこの私にお見せ下され!」


 う、うむ。そうだな。ドヤ顔で自慢してしまった責任が無いとも言えない。


 数十メートル程前進すると力を解放させる。


「ボーガンよ、見るがいい、これが悪魔ダンタリオンの真の姿よ!!」


 全長百メートルを超える悪魔の巨体がこの世界に産声を上げた。





 

 

 シンタ・ダンタリオンが私達の元を離れると真の姿を顕現させた。


「ボーガン、あんた、ああも挑発してよかったのぉ? ――見上げるのに首が痛くなるんだけど。あれ、プラネットリングも破壊できるんじゃないのぉ?」


「――恐らくだが可能だろう。オートマトン/G.M.F.Fに搭載されている光学兵器はプラネットリングの外殻に搭載されている物と同種のハズ……だ、少し前に天から光学兵器の雨が降って来た事件が起こったであろう?」


「ああ、たしか支店の存在する街が焼き滅ぼされたって言う……まさかぁ」


「恐らくプラネットリングにダンタリオン殿は向かったのであろう、突破できない……ハズは無かろう、見よあれを」


 戦闘が始まった――それなのに、ボールで遊んでいる巨大な悪魔。何度も軽く蹴り飛ばされまるで相手になっていない。


「何重にも装甲を纏っているように見えるが恐らく衣装のようなものだろう、あの御仁ならカッコいいからとでも思っていそうだ。――この惑星への影響を考えてプラネットリングへのアクセス権、七賢者の鍵を集めておるかもしれん」


 あながち間違いないだろう、後で聞いてもすんなり教えてくれそうだ。


 ――前転からの踵落とし。


 オートマトン/G.M.F.Fが地に叩きつけられて大破している、我ら特亜重工の技術の結晶が子供のおもちゃじゃないか。


「私達の技術の結晶はダンタリオン殿にはちょっとしたおもちゃみたいなものだったな……しまった……他の企業連中に釘をささないと……企業連合は滅びてしまうかもしれん……やってしまった……」


「そうねぇ……やってしまったわぁん。でもでもぉ、惑星の秩序を多少重んじてくれるならぁ、手加減を……しなかったわぁん。――マズイじゃねえか」


 糞オカマも素が出るほど汗を掻いている。


 ダンタリオン殿の身体から銀色の粘液のようなものが溢れ出しオートマトン/G.M.F.Fが飲み込まれる。


「あれなぁに? ナノテクかしら? 流体アンドロイドも開発研究していたでしょう? ただ、再構成する際のエネルギー不足で頓挫した計画」


「あれは……なんだ……。もはや我々の想像の欄外の存在であったのだ、考えるだけで無駄かもしれぬ。ただ、仕事を私に振ってくれるそうだ。働きによっては技術提供も可能だとも……他世界の技術、我らにはまだ挽回できる目があるかもしれんな……」


「!! うっそぉん! わたしぃ聞いてないわよぉ!!」


「おまえ、速攻裏切ろうとして苦しんでいたじゃないか? 信用度が違うんだよ。まあ今更私に選べる道は無いし協力し合わなければこれからどうにもできないしな。私は研究畑だからな」


 銀の粘液で吸収を終わるとこちらへ振り向いて軽く手を振っておられる。


「ああ、あれを見て逆らおうなど思う者はいないであろう、微かな希望に望みを託して間違っても人質を取ろうものなら纏めて殺され、魂の蘇生でもされそうだ」


「……考えるのもやめておくわぁん――ちょっとずきずき心が痛くなってきたのん」

 

 煙のように巨大な悪魔が消え、人間姿に戻られた。


 これからの組織方針と、仕事の話を相談させてもらおう。ああ、魂の蘇生はできるそうだ、聞いておいて良かったな。

あとがき

いつもご愛読頂きありがとうございます。

試行錯誤の末さまざまな要素を取り入れ楽しんでもらえるよう書き方が変わっていたりします。

ここまで読んで頂けた方の為にも、より一層楽しんで頂けるよう努力してまいります。

実は、数名の方に継続的に見て頂けるのがとても嬉しい限りでして、希望する世界観、魔法少女、ラブコメ、超能力もの、コメントに一言頂ければ参考に執筆させて頂きます。ああ、ポイントや、ブクマは必要ありません。

読みたいものを読み、書きたいことを書くだけですので。


実力は伴ってない私が言うのもなんですが自分が好きなジャンルってなかなか書かれていないものなんですよね。


あとがき、失礼しました。


世も末

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