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目指せ軍事基地

 改造したオートマトン、多脚戦闘機。


 大量の弾薬庫を背負っている六足の装甲できる戦車の様なオートマトン。簡易AIが地形を認識して車輪を切り替えたり、悪路も六足を使い走破を可能とする。

 

 弾薬庫を改装して操縦席を加え、クティも同行できるように複座式にしている。


 装甲も増強してあり、多少の砲撃にも耐えることが出来る。


 空を飛んでいけば簡単な話なのだが、目的地に向かいながら多種多様なオートマトンを解析、回収を行っている。

 

 先程も逆関節の戦闘特化のオートマトンを解析し、武装をこのスパイダーに装備させたところだ。射撃管制システムも追加し終わり再び移動を開始する。



 


 砕け散り辛うじてアスファルトと判断できる破片を踏み越えながら目的地へ向かう。運転は私が担当しているのだが、スパイダーの砲手はクティに任せてある。


 まだまだ、目的地まで五十キロ近く有り、しばらくオートマトンの背に揺られていなければならない。


 この世界が崩壊の一途を辿り、辛うじて生き残った人類が再興してはいるが生存圏の拡大には至っていない。


 視界に入ってきているが、こうして街と街の間には、隠れ潜み、畑を耕して生活している人もいる。


 汚染された大地では作物もうまく育たず、稼働しているタンパク質や炭水化物のブロックを生成する機械を利用して食事を取っている。


 作物の育成法も一応確立されており、街では高めだが販売もされている。


 生存圏の拡大を行わず、権力と言うパイの奪い合いをしていれば、半世紀以上も人類が発展しないわけだ。


 この世界の技術は高水準でビーム兵器や、重力技術、量子化技術、ナノマシンなど、興味をそそられるものが多い。


 人が操縦できる機体などはまだ見たことは無いが探せばあるはずだ。オートマトンも設計図を解析したところ、操縦席を排除して弾薬庫にしたり、余剰スペースになったままの物が見つかっている。


 自動化される前の名残だろうと思っている。


 ――パァン、パララララッ。


 両サイドの銃口からマズルフラッシュが噴き出て来る、ナノマシンの影響で変異したミュータント、目が複数、腕が伸びる、巨大化、繁殖力強化、毒性獲得、耐性強化、など歪な進化形態を取っている。


 その中でも強い種が繁殖し生態系に組み込まれ独自のコミュニティーを作っている。この辺りは二足歩行の俊敏なタイプ。豹人間の縄張りとなっている。


 知能が上がり、高度な狩りという習性を獲得したミュータントはかなり手強い。


 街から街までの移動も、護衛や複数のキャラバンでの移動を強制させられる。


 こうしてオートマトンに乗り単独で移動すること自体ミュータントに狙われやすくなる。


 ことなる進化の形態を取っている為、クレア女史とアカネから現物の催促をされている。この豹人間はすでに数十体も送っているのでもう必要ないが。


「補正があるにしろクティの射撃技術は上がっているな」


「いえ、私などまだまだです。こうして訓練を怠らないよう精進します」


「――あまり固くならないでくれ。クティとの関係は特別……だろう?」


 クティはその言葉に顔を綻ばせる、そっと、私の座席に擦り寄り、背中に引っ付いてきた。口を開けば固いと思われるので体で気持ちを表現したのだろう。可愛い奴め。


 彼女の蛇眼が潤んでいるが運転に集中させてもらう、柔らかく暖かいクティに引っ付かれるのは気持ちがいいので体重を預け、そのままでいろと言う無言の言葉を交わす。


 小さな人間の集落が点在しているので彼らの栄養源にもなるだろう、街ではミュータントの肉も販売されているからな。


 そう考えると繁殖力の高いミュータントは人類の栄養源を支える貴重なタンパク質だな。


 崩壊したビル群を抜けると変色した森に入った、軍事施設は離着陸を頻繁に行う為に僻地に建設されている。


 森を抜け、山沿いに出れば目的地だ。





 夜になり、スパイダーを停止させ簡易テントを張る。


 オートマトンに接続した幕を張って天井のように設営している。


 パイプ椅子を設置してキャンプ気分を味わう、空気を呼んで紅茶セットや綺麗なテーブルを出していない。こういうのは気分が大切なのだ。


 焚き火の炎がパチパチと音を立てクティを照らしている、仄かにできた影が色気を引き出している。


「主殿と二人っきりでキャンプするの楽しいですね、この世界に来て私ばかり相手してもらい悪い気がします」


 そんなことは無いけどな、イルメシアとは世界樹共和国に観光に行ってるし、クレア女史とは宇宙戦艦の内部でいちゃいちゃしてるよ?


「――ッ! 主殿!」


 振動は……地下かッ! 


「飛べぇッ!」


 私に命令されずとも地下からの攻撃に反応し跳躍する。テントが全て飲み込まれスパイダーも転倒する。


 空中に二人して浮かび、相手の姿を認識した。


「ワーム、なのかね。口が三メートル程の巨大な」


「でっかいですね。ですが主殿との仲睦まじいひとときを邪魔しおってぇッ!!」


 キレてるなクティ。


 悪魔鎧に瞬間換装したのち、ブレードを生成、上空から唐竹割にした。


 真っ二つに割れているが、高速再生していきワームの口が二つに増えた、すぐさま横薙ぎに切り飛ばし、炎の塊を召喚、焼き尽くす。


「燃やせば再生はできまい。主殿ここは私が」


「分かった。お願いしよう」


 ブレードに炎を宿らせ切り刻んでいく、再生力が鈍り、奇妙な奇声を上げているワーム、横薙ぎ、唐竹割、そして突き――刺した箇所から豪炎が上がる。


 ――キュアアアァアアアァッ!


「死ね死ね死ね死ねッ! 主殿に入れてもらった珈琲まだ飲んでなかったのに!! 糞ミミズがぁ!」


 また入れてあげようか。


 大きく開いた口の中に炎が走り、別の個所の地面から炎が噴き出してきた。

 

 このあたりが奴の巣穴だったのだろう。数十秒ほど炎で長いワームを焼き尽くした。


 概念の炎がやや劣化しているが十分殺傷能力を持っている。彼女が好んで使う能力の一つだ。時間はかかるが存在焼却もできる。フラウロスの概念兵装だな。


 長身のブレードの先に付いたワームの体液を瞬時に燃やし尽くし、ヒュパッ、と振るとブレードが消えていった。


「終わりました。こいつの巣穴ごと焼き切ったでしょう。ここらでは焼けた不快な匂いがします、少し移動しましょう」


 あの、ヒュパッって納刀みたいに消える仕草カッコ良かったな。


 まあ移動しましょう。





 移動するのは良いがどうやらこの辺りはあのワームが異常繁殖しており、あの後三度ほど襲撃を受けた。


 さすがにキャンプをする雰囲気ではなくなり夜間行軍を始めた。


 さすがに珈琲を楽しみにしていたクティが可愛そうだったので、スパイダーになりながらだが珈琲を淹れてあげた。


 飲みにくそうだったがとても幸せそうに飲んでいたので良しとしよう。


 移動を続けていると朝焼けが見えるころにアースユニオンの軍事施設に到着してしまう。すでに視界内には大きな防壁が見えている。


 その手前には大隊規模の人数が駐屯しており物々しい雰囲気が出ている。


 すでに侵入を開始しているのなら千人は行かないほどの人数か? 


 ここまで頑張ってくれたスパイダーをインベントリに収納しクティにも私の中に戻ってもらう。


「済まないクティ、せっかくだが私の中に入ってくれないか? 隠密行動を行いたい」


「いえ、気になさらず。主殿の中は心地良いので」


 そういうなり、キスをして私の中に戻っていった、この視界も見えていると思うので潜入行動を楽しめるだろう。





>>魔術/認識阻害

>>忍術/気配遮断

>>体表変化/環境同調

>>身体操作/体温調整


 念には念を入れて、複数の技術を使用する、発動を簡略化する為にパッケージ化して以後≪隠密≫とする。――そして。


>>空間歪曲


 バティンの概念兵装を使用する、視覚の範囲内に瞬時に転移できる、戦闘にも有用な技能だ。


 軍事施設の外壁上に移動する。


 内部が見える位置に移動したが、まだまだ距離があるな。数度ほど転移を行い搬入出口に到着する。地表部にある建物は崩壊しており瓦礫の山だが、強固な外壁や地下施設などはまだまだ残っている。


 ナノマシン技術が取り入れられ特殊な建材は劣化が極度に遅いし、ゆっくりだが自己再生をする。

 

 宇宙進出していた、超科学の技術だからこそ可能なのだろう。未だにこの謎の建材は現代の技術力では解析できていないらしい。


 詳細はナノテクノロジーによるサイクルなのだがな。周囲の物質を分解し自己増殖する恐ろしいシステムだ。設計図を打ち込めば既定の形を取り始める、強度はナノマシン強度に依存するが、このナノ技術を私も解析している途中だ。


 さて、お宝探しの時間だ。

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