表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/159

屋台のラーメンって美味そうだよね

 学校の帰り道、当然壬生さんはひとりで走って帰って行った。きっと家族にでも相談するんだろう。


 私の家族構成、父親のみ以上!


 しかも、海外を出回っており何をしているか不明だ、何かフラグみたいなものが立っている気がする。


 ここで、可愛い妹がいれば猫可愛がりでもするのだが、私には縁がなかったようだ。母親は私を産んでから体調が悪化したらしく顔も覚えていない、元々身体が弱かったそうなので私が原因とは思いたくない。


 ひとりでよく外に遊びに行ってた為、壬生さんとの出会いもそれが遠因で、家族が中々帰ってこない私を心配して起こしに来たり弁当を作ってくれたりと優しい子だったみたいだ。


 今は仇を見るような目をされたけれど。


「肉の身体のせいでスペックが落ちているな、直ぐにでも換装できるが特に問題ないしなるべく大事にするか?」


 母親が産んでくれた肉体だ、戦闘で不都合がない限りこのままでいよう。


 それでもコンクリートを破壊できる膂力はあるし、三階建ての建物でも屋上まで跳躍ができる。瞬間転移もできるし、概念兵装も統合されたのか念じるだけで手足の様に操れた。


 さて、面白い事は夜にやって来るってね。







 深夜遅く一般家庭の皆さんは寝静まっているだろう。

 

 何かに囲まれた感覚がした、これは、結界のようなものだな。


>>解析、完了、模倣、解除。


 悪魔との戦いに比べれば児戯のような結界だな。すぐに模倣できる。


 私室の窓ガラスが破られ手榴弾が投げ込まれた、部屋を散らかすのは本意ではない為、指パッチンのワンアクションで消し炭となった。


 炸裂しなかったので窓から男性が飛び込んでくるが、拳銃の様に指を刺して、パンッと、小さく呟く。


 指先から迸る雷は頭部を破裂させ、首から血液が噴き出てきた。


 窓の外へ首なしの死体を蹴とばすと、周囲に囲んで構えている者達が驚いている。


 窓の手摺に腰を掛けながら話しかけてみる。


「ねぇ、深夜の窓に手榴弾投げ込むのが君たちの挨拶なの? 今すぐ土下座して金銭による賠償をたっぷり払うなら辛うじて生かして帰すけど、どうかな?」


 返事は退魔符のようなものを投げつけてきたが、受け取ってまじまじと観察する。何十枚もあるとコレクション欲が湧くな。


「ねぇ、これまだある? あるみたいだね、頂きっと」


>>奪取


 アンドロマリウスの概念、奪還を改変し使いやすくした奪取、自分の物と認識さえすれば奪い取ることが可能となる極悪な概念。これ、いいね。


「ほう、色んな文字が書かれている、退魔符ってこうなってんだね、呪文に意味が込められて何かの力の方向性をきめているのかな? ああ、君らの装備全部貰ったから、物騒だね、拳銃も一杯持ってるんだね。全然オカルトじゃないじゃん、ああ、これが霊刀? 普通の刀との違いは呪文が彫られていることぐらいか、しょっぱいなぁ……」


 足をぶらぶらさせながら刀を眺めているが彼らに反応はない。


「ああ、ひとりだけどこかに連絡して賠償金持ってきてよ、ほら、動けなくなったでしょ?」


>>拘束


 同じくアンドロマリウスの拘束の概念を使用する。息をする事さえ困難になっている、皆、顔を隠しているが壬生さんぽい人はいないな。


「ほら、早くしないと死ぬけど三十秒待ってあげる。財布持ってないみたいだし――はい、スタート」


 口に出して、数を数え始める。ひとりだけ動けるんだが何か悩んでいるようだ、まごまごしている内に三十秒が経ってしまう。


「――三十。君がまごついているから皆死ぬことになったね、残念」


 パチンッ。その音と共にひとり以外の頭部が爆散した。まごついていたひとりだけが生かされている。


「どうせ私のことを化け物だ、殺せ、仇討ちだとか言ってドンドン犠牲者が増えて行くパターンだよね? 早く帰りなよ? ああ、掃除がかり呼んでね? ――命令オーダー掃除係と謝罪係を連れてこい。最初からこうすればよかったのかな? いってらっしゃい」


 結界が解かれているが死体がそこらへんに散乱している、大分音が立っていたし通報されたらアウトだよね。のんびりと紅茶でも入れて心穏やかにいよう。





 しばらく寛いでいると三十もの死体を袋に入れて片付け始めた人員がいた、通報されても恐らく隠蔽する専門の組織でもいるのだろうか?


 窓の外を除くとこちらに気付き、偉そうな人間が頭を下げてきた、続けろ顎で支持を出すとぺらぺらと言い訳を始めた。


 どうやら壬生の親父さんで、娘の尋常でない様子に驚き私を遠目に観察した、どうやら尋常でない気配を確かに感じ取り、即殺害計画を練る、肉の身体に憑いている限り救いはないと娘に説明し決行、精鋭部隊を出動させるも失敗、全員殺されるとは想定外、退魔符が効かないし普通に持ってるしただの力ある能力者なんじゃね? ああ、超やばいどうしよう。だそうな。


 取り敢えず話をする姿勢が有ったので、特技、指パッチンでテーブルと紅茶ポットを用意する。空中に暖色系の光球を浮かべて、紅茶を入れ始める。


「――まぁまぁ、紅茶でも飲んで一息つきましょう。ああ、私を睨んでる人? 同僚が死んだのは残念だけど、一般人の家に手榴弾投げ込んでも殺されないわけないよね? 次睨んだら頭爆散させるけど力関係わかってる? ん? ――分かったならならここから去れ、クズ共が」


 紅茶を入れ終わり親父さんの前にコトリと置いた、茶菓子に好物のカステラも並べてあげる。


「これ、好物なんですよね、美味しいですよ? 壬生さんにはちゃんと何もする気が無いし掛かって来るなら命の保証は無いって説明したんですけどね。あなたもなぜ対話から入らなかった? ちゃんと今帰るなら許しますよって何度も言ったんですけど……見てたよな? おい、返事しろや」


 次に瞬間には親父さんの目に、短剣が触れるかどうかの距離に置いている。


 ハキハキ返事しない人嫌いなんだよ。会話はテンポよくが基本だよ。

 

 どうも身体が変わると性格まで変わっていくな……胡散臭かったりキレやすかったり。


「――は、はい。聞いています。申し訳ありませんでした」


「いや、申し訳ないじゃなくて、その判断能力はどうなんだ? 頭にクソでも詰まってんのかって聞いてんだよ? 怪異でも何でもねぇっつってんのに即暗殺はどうなんだ? あ゛あ゛?」


「い、いえ、申し開きもなく」


「――はあ、今回は窓の修理と掃除、まあ五百万くらいで手打ちにする。もし部下の制御が聞かなくてとか言って襲われて殺しても文句を言わないと念書を書いてくれ、部下全員のな。絶対来るぞあいつら。分かってる? 

 殺しに行って殺されて恨まれるってなんなのほんと? ――ほら、今から持ってこいや、はやく書かせて来い、それとも今から殺しておいた方がいいか?」


「いえ、書かせてきます。ご迷惑おかけしました」


「じゃあ、朝までによろしく頼む、家近所だしそんなにかからないだろう」


 そのあと小一時間程で金額を耳を揃えて持ってきたが、念書の字は汚く書き直しを何度も命じてやった。まあ、数日以内には死ぬだろうから、ただの最後の思い出を増やしてあげる思いやりだ。親父さんも死ぬだろうなって顔してたもん。ああ、命とは儚いものだね。


 窓ガラスは明朝一般的な業者にお願いをしているから応答だけお願いすると言われてしまった。朝から学校なんだけど。まあ、遅れてもいいか、担当の先生には窓ガラスが割れた旨を伝えるとしよう。


 余談なのだが、仙崎も壬生剣術道場に通っており、退魔の家系に一応所属はしているようだ。関わって来た時は、ぶっ殺せるんで楽しみにしている。家族が足を折ってでも止めてあげるのが優しさだよね。


 真夜中なのにお腹が減ってきてしまった。


 ふらふらと、夜中の屋台をやっている飲み屋街にでも食べに行こうかね。





 即絡まれて、川に投げ込みました。トラブルほいほいじゃないよ? きっと酒に酔って絡んじゃったんだよね、なら溺死の可能性があるけど知らないね、ラーメン屋の店主も青い顔しながら、チャーシューをおまけしてくれた。


 これは……うまいラーメンだ。私、豚骨が好きなのだがなかなかのこってり感、夜中に食べる醜悪なまでの極悪な脂。胃にズドンと効いて来るこのしつこさ、最高です。高校生にしか見えない、やっぱり、高校生だけど生ビールを頼んでグビグビ飲んでいる。


 警察官に見つかれば一発アウトだけど、気にしない。きっと、明日には私が、危険人物として警察や裏組織に出回る可能性が高い、なので絡んで死んでも知らないね。


 話が通ればいいけど理解しない人は一定数いる、それを刈ってお金儲けをすれば旅費の足しにもなるしね、楽しみが増えてきたな。


 あ、絡んできた阿呆が通報されて警察に助けられている。こっち見んなよ、知らんぷりしとこ。――あいつ、後でブッ殺す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ