ダンタリオン改装中
NAの悪魔襲撃も解決し、吸収した悪魔もかなりの数になって来た、概念兵装や悪魔の肉体由来で、身体能力に関わり、基本性能の向上に関わる物はすでに組み込んである。
この肉体性能はパンチ一発で、ビルを粉砕できるほどまでに性能が向上してしまった。
空間、雷、炎、水、地、大気、錬金、拘束、竜化、死霊、各種知識、武具の具現化、そして処理速度の強化。
さらに、悪魔は様々な、薬草、宝石、鉱石、天文、秘密の発見など独特な知識を持っていた、アラメスの常に情報が蓄えられている知識の書庫でも、オーバーフローしかける程の容量があり、喜悦満面であった。
異星体が所持していた、理解不能な鉱石や物質を紐解ける知識も存在しており。悪魔は様々な分野で役に立ってくれた。
現在も、私の存在である銀が、環境適応能力で悪魔の知識を使い身体を整えている最中である。存在が常に書き換えられて行っているので大事を取ってもっぱら研究室でのんびり紅茶を嗜んでいる所だ。
「あなた、仕事しないの? ここ一か月ずっと研究所に居るみたいだけれど?」
「悪魔を取り込み過ぎた為に、今は身体を作り変えている最中でね。処理の為に休めているんだ。身体能力だけでも、ここに来た当時より数倍以上に膨れ上がっている。下手に動けないのだよ――概念を捏ね繰り回し、適合させるのは骨が折れる」
「うわぁ。つまりちょっとこけただけでクレーターが出来上がるのね。分かったわ朝倉キリエにも伝えておくわ。触れない方がいいってね」
「そうしてくれ、暫く動けそうにないんだ、あの子達にも言ってはいるんだが、いたずらが好きなのかくっついて離れないんだよ」
「ふふ、情操教育にいいじゃないの。父親が必要なのよ、あの子達には――そういえば、残りのバエルコアはどうするの? 今の所悪魔の出現は観測されていないけれど……むしろこれが日常だったんだけどね。年に一回の出現だけでも異常なのに、先月だけでも十体以上出ているのがおかしかったのよね」
私がきっかけで楔に影響が起きたのだろうと予測はできている。次元操作を使えば手に取るように分かる。
これで虚無の存在している“あの”空間へ行くことが出来るようになった。
あの空間を解析すれば次元間のハブ施設を作ることが出来る。色々な世界間での人間や物質の往来が安易になれば何かと渋るだろう。
この身体の調整と、バエルコアの問題が終われば挑戦するつもりだ。
「各国にバエルコアの真実と撤去申請は進んでいるのか? USAは強力に賛同してくれたはずだが?」
「あなたの功績のお陰でね、新型機のブレイブをUSAに一機上げちゃったからね。技術解析の協力は打診されたけれどやけに腰が低いのよね。こちらもデータの蓄積と技術者の育成が必須だから部分的に認めてはいるけれどね」
「フォトン機関は現行技術の全てを凌駕しているからな。平和であれば色々なものに応用ができる。悪魔の細胞を培養して人身御供させるよりも機械技術の発展の方が健全だろう」
ブレイブの開発コンセプトは、異星体を使用しない機械技術のみを使った機体だ。生産する事はとても難しいが不可能ではない。
「バエルコアはあと三つ、二つはすぐにでも撤去をお願いされたけれど、あと一つが問題ね。世界の経済を握っている、ソロモン財団。名前からしてあからさまなんだけど、半世紀以前から繁栄している奴らよ。細胞の培養に成功してから機体の製造にやけに熱心で、ここで使ってたバエルのパーツの半数がそこから仕入れていたの」
まったくとんでもない功績を作ってくれたよアカネは。
「む、何か言いたそうな顔をしているわね。恐らく戦闘になるでしょうね、資材の搬入がここ一か月物凄い量が入って行っているわ。国連への警告もしたけれどEUとASIAの件で嫌われちゃってね、すでに日本は脱退はしているけど。あんなの上納金を払うだけで役に立たない組織だしね」
たしかに連合軍との戦争の際にも何も行動を起こさなかったな。裏で老人と繋がっていたのだろう。
「つまり、あなた次第ね。作ってもらった月島ケイ専用のダンタリオンの訓練は、定期的に行っているわ。バエルの楔が無くなろうと悪魔が出なくなっているわけじゃないからね。あの子嬉しそうにダンタリオンに話しかけているのよ? 健気よね」
ケイ君との仲も家族の様になってきている。この組織に所属するなり父と母との関係が冷めきっていたそうだ。バケモノを見るような扱いをされ弟からも気味悪がられている。日本を守っていたのにな。
「そうか、ならばバエルコアの撤去の日取りをすぐに決めてくれ、二か所くらいなら今でも問題ない。ただ力の加減ができないだけだ」
「わかったわ、連絡入れておくから、私にも家族サービスして頂戴ね?」
「もちろんだ。当然アカネも入っている」
私の唇へ軽くキスをして部屋をでていくアカネ。
さてと、撤去先の情報でも精査するかね。
◇
AUの防衛本部では、なぜか怯えられながらの対応をされていた。悪魔と言う存在を極度に恐れており、直ぐさま地下の儀式場へ案内されバエルコアの吸収に時間はかからなかった。
終わり次第帰ってくれと、涙ながら何度も頭を下げられ、すぐさま了承し転移魔術で帰ってくることになった。
彼らは民族的に病や、ケガなどを悪魔に例えて生活をしてきた歴史があり。偶像化された悪魔など禁忌と及ぶ存在でもあったからだ。
バエルタイプの機体も数機程あったが、悪魔扱いではなく、救いを与える神の使徒と呼ばれていたそうだ。
地域によって変わるものだと納得してしまった。
否定はするつもりはない、認められないという事は彼らからも認めてもらえないという事だからな。文化摩擦程戦争の火種になることは歴史が証明している。
否定はしないが、好みではない、くらいの関係性が丁度いい。
もう一か所は、SAだ。ここは来た時は歓迎されてしまった。決してNAと仲がいいわけではないが。悪魔を殲滅した情報が出回っていたみたいだ。
要件を済ませる為に素早く儀式場でバエルコアを吸収、これで九割方の回収が終わった。帰りに豪快なに肉料理を御馳走になり、旅気分を味わえて随分と楽しかった、でかい骨付きの肉塊を回転させじっくりと焼いて、スライスカットされた肉に調味料を掛けて食べる。
思い出すだけで口の中に唾液が溢れてきそうだ。その話を月島姉妹にしたところ、バーベキューパーティーを開催する流れになってしまう。
せっかくなので防衛本部で来れる人間を誘い、近場の海辺でBBQを開催、朝倉司令官に私が持ち帰りされてしまうという事も起きてしまった。
次の日からキリエと呼んで欲しいと乙女な事を言って来たので、そう呼ぶようになってしまった。すれ違う職員におめでとうございますと言われるのでアカネとケイ君と姉妹たちがヤキモチを焼かれてしまった。
彼女達姉妹の可愛い愛情表現みたいなものなのだが、アカネまで焼いているのはなんでだ?
残すところはAUSだ。ソロモン財団はエアーズロック近辺で大規模な土地を買収しており、霊的な儀式を行うのに最適な場所を陣取っている。
世界に打ち込まれた楔としては最上級な呪に近いだろう、私、単独で次元移動は行えるが何かに引っ張られる感覚を感じている原因もここにある。
再三警告を送ってもなしのつぶてなので、そろそろ強引に吶喊しようと企んでいる。バエルタイプをいくら揃えようとも意味がないという事を教えてやる。
多種多様な素材を使用したダンタリオンの新型の設計図を現在でも構築している最中なので、私自身であるが楽しみにしている。
全高もバルバトスを吸収した際に高くなり、腰元はスリムだが全体的に絞り込まれ、覇気を感じさせる体形に完成されて来ている。
概念兵装も統合されダンタリオンという概念に取り込まれた、いちいち使い分けるのが手間になって来た事も要因だ。
息をするかのように発動し戦闘行動の最適化も行い、百メートルサイズの巨体から繰り出される様々な徒手格闘能力で、バエルの頭部すら蹴りだけで消し飛んでいくだろう。
フォトン機関に頼らない、概念兵装/炎の支配者の熱線能力も調整、指向性を持ちビーム兵器の様に使用できるようになっている。原子崩壊か、存在の消去、相手によって使い分けていけばいいだろう。
面構えも二本角も大きくなり、顎部も伸び、竜の咢のようになっていた。どの因子が悪さをしたのか分からないが、カッコいいなら問題ない。
操縦席に座って入るが、気持ちの問題だけでダンタリオン全てが、私であり操縦気分を味わいたいだけなのでな。




