表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/159

信者獲得

 国連本部の会議室内では、俺たち全員が銃口を向けられ、装備類も解除されている。手元から離れると光り出してすぐに戻ってくるためだ。


 モンスター共を倒して皆を救いはしたがこの犯罪者のような扱いは無いだろう。


 運命の女神セレスティア様が自称、省エネモードである薄い粒子状の姿で顕現され説明が行われている。


「――つまり、現世で運命の女神による信仰により顕現させることのできる武具や超人、スキルを加護として与えることが出来る……と。――今までならば俄かに信じることなどできませんが、実際、見て見るとなんともまぁ……」


 俺達だっていきなりだったからな。そりゃ信じることもできないだろうさ、だが女神が顕現している限り力を発揮することが出来る。


『ええ。光を信奉する祈り。穏やかなる人生を、運命を過ごすために。――力を取り立ち上がる時が今まさに来たのです――人間達よ、どうか世界に平和を』


 光量が増加していくと国連の代表者たちを威圧し始めた。これ、怒っているよね? もしかして俺らの扱いに不満があったのか。


『それなのに、あなた達の為に力を手に取り、モンスターと戦った可愛い我が子らへの態度ではありません。――無礼者どもめ。どこに行っても政治家という奴らは恥知らずが多いのね、今まさに遠くから私を見ているあなた達に行っているのよ? ――そう、態度を変えないのね。聖弓のアルスティア、生放送とやらは繋がっていて? ――そう、ならばここに宣言する。世界に広がる我が子達よ! 力を手に取るは今ッ! 願え! 祈れ! 決してその力を悪に使おうなど思うなかれッ!! 宣誓せよッ! さすれば隣人を、家族を守る刃となろうぞッ!」


 俺達全員がギルドメンバーや知り合いのランカーなど、世界中の同士達へお願いしミラー配信、この会議の様子を世界中へ発信している。中には一千万ものファンすらいる猛者までいるはずだ。全員で扇動し、自らの配信を伝える事、拡散させることを目的としている為である。


 ――すべては世界を救うため。友人家族を守るためだ。


 様子を見守っていた、ギルメンや、ランカー達が一斉に装備や回復薬を手に入れることが出来たと連絡が次々に来ている。


 運命の女神セレスティア様が神々しく輝いていくと、空中に浮かび上がり、宣言する。


『運命に抗う戦士達の清き心、熱き想いが伝わってきています。どうか世界を救う為に立ち上がて下さい。――ここに精霊幻想同盟《SFA》を設立します。もうすでに仮想のゲームではなくなりました。精霊はここに存在し、共に生きています。スピリットファンタジアはゲームではありません。異世界として君臨したのです』

 

 そう言いながら女神様は、俺達に視線を送ると、打ち合わせ通り、各々にポーズを付けながら『顕現せよ』、と叫び出す。傍から見れば戦隊もの特撮のポーズみたいで恥ずかしいが、これは本物だ。


光の粒子に包まれスピリットファンタジアの姿へ変身する。


 魔術師の殲滅のデューイが光球を複数、大会議場の中に演出で発現させたり。精霊の友を俺達も出現させる。

 会場内の数百人からも見ていなかったものがいたためか、どよめきが大きくなる。


『これが、異世界の存在が、確かな事実であることはわかったでしょう? 運命の女神で私に正義を平和を宣誓さえすれば誰でも力を取り立ち上がることが出来ます。しかしどこにでも悪人はいる者。その人が持っているカルマ値が悪性に近ければ近いほど力を発揮されず体を蝕む毒となりましょう。己の行動、言動は常に誰かに判断されていると自制の心を強くもちなさい』


 さすがに変身されては敵わないと判断されたのか、警備や護衛の人間が俺たちの所から離されていた。まぁ、女神の機嫌を損ねたくないとの判断だろうな。


『いつ、どこにいようと、あなた達の祈りは届いていますよ? スピリットファンタジアをプレイしていなかった人でも、真摯で清らかな想いを持ってさえいれば、回復魔術の小回復や、解毒、解呪、などが獲得できるわ。清廉な宗教家の方々は私に祈らずとも人々の幸福を祈るのならば力を貸してあげる。信仰対象が神や仏など違えども、人類の幸せを願っているのはみんな同じこと。さぁ、祈りなさい。人々を救う高潔な精神の持ち主たちよ!!』


 すると会場内にいた、恐らく宗教のシンボルを持ち歩いていたのであろう。触媒代わりに光り出すと、その人物はぶつぶつと呪文を発動させた。周囲の連れ合いに魔術が発動され、恐らく病やケガなどが癒されたはずだ。


『――さて、もう分かったでしょう。世界は変革の時を迎えているのだと。今回だけでも数千万人以上の信徒を得られました。精霊幻想同盟は来るべきの為にいつでも仲間を待っていますよ』


 そう話を締めくくるとふわりと粒子が舞い女神様は消えて行った。


 あとは、任せたわよと俺に視線を送られても困る。あいつ――あの女神の野郎意外といい性格してやがったな。


 なぜが同盟の旗頭のアルスティアの奴まで俺を見てやがる。――しょうがないか。空気の読めない俺が音頭を取ることにする。


「話は聞いた通りだ。俺達、精霊幻想同盟、通称SFAは世界的にモンスターの駆逐、救助などを行っていく。財源は、まぁ、考えようか……各々得意分野のスキルをどう活用し活動に当てるかを相談してくれ。――その前に、とっととこの会議室を出よう。国連のワンワンになる気はないからな。ある意味、世界中で数千万人の武装組織だ。国連や世界中の暴君が捉えたり従えようなどとしてみろ。全力で救出しに行く。我々同盟は確固とした決意をもって行動する!!」


 そう宣言すると数十人ものギルドトップ勢とともに会議室を出て行く。

 

 ヤバい、やっちまったかな? 世界中にある意味、潜在的に強力なテロリスト、しかも銃弾を弾くし、跳躍すれば屋根上に登れる、超人達の頭目になってしまった。


 間違いなく要注意人物として目を付けられたな。


「――キルトレインさん……カッコ良かったですよ? 旦那さんがいなかったらマズかったかも……」


「……反応に困ることを言わんでくださいよ。はあ、絶対マークされましたよ私、まぁ、日本代表として頑張りますけどね。それと、各国に本部や支部は持たなくてもいいだろう。下手に集団行動を取れば警戒されるし、連絡や会議はログインしてから行おう。訓練所を借りて現世との仮想世界――いやすでに仮想ではなくなっていたな。精霊世界と仮定しておこう」


「わたしの役目はなんです? どいつをとっちめればいいです?」


 ソロでトップ勢に追いつく勢いのある、蹂躙のゴルディアスちゃん。自称、齢十八歳である。見た目はロリなので十八歳に見えないのだが。もうすぐ三十路のはずだととある情報網で――


「んで、その失礼な目は私のロールプレイを破壊せんとしているのね? そうよね? そうと言いなさい?」


 目の前には巨大なハンマーがいつの間にか接近していた。移動能力は低いが有り余るほどのパワーで大型モンスターを粉砕してきた腕は確かなようだ。

 こういう行動でも容認される当たり女神様もガバガバかもしれない。


「勘弁してください。蹂躙のゴルディアス“ちゃん”、失礼な事は一切考えていませんとも…………。取り敢えず移動手段として転移魔術士には頑張ってもらいたいですね……。通信は、フレンド登録網を回して、と。――おお、フレンド上限が撤回されている。女神様が用意されたのかな? 掲示板で一斉にアナウンスができるようだ。発言権限はギルドのトップだけか」


「これ便利ですね。――転移門の設置場所を決めなさい、と、セレスティア様がおっしゃっているようです」


「アレスティアさん、もうこの際、転移門の管理だけは国にさせれば楽かもしれませんね、管理させてあげてもいいかなぁ……と囁きでもすれば全力で門を守ってくれますよ。スパイ活動も国が押さえつけますし。パスポート等どうしましょうかね……違法で出入国させるにはいきませんから――」


「――ガタガタ文句を言う政治家を、このハンマーでブッ叩けばいいわけね。正義の前には関税も入国管理局も関係ないのよ」


「それ、指名手配されそうですね。まぁそこは筋を通しておきますか。――出入国の超法規的措置について連絡……と。一応、国連には頼らざる得ませんが、多少の訓練や、用事はギルド掲示板に表示くらいはさせましょうか。あとは、各々の判断でお金稼いだり、力や立場を確立させてくださいな」


 必要なタスクを情報端末に記録しておく。国連には仕事の斡旋が有れば依頼書として目を通すことと転移門の設置についてだな。


「わかったわ。帰国次第、旦那さんと相談するわね」


「わたしわかんなーい。キルトレインさんに仕事振ってもらいまぁす」


 この糞ババア。――いえ、なんもないです。


 この後、各々の国へ帰ると周囲を巻き込んで大きく環境が変わっていく気がする。まずは俺個人の拠点としてでかいマンションでも丸ごと買っちまうか?


 ギルメンに住宅関係の仕事をしている奴がいたな、あいつらも巻き込んでやろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ