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ヒロインの発狂率の高さよ

>>CHM社セキュリティシステム掌握//隔壁のロックを解除


 地上部へ到着するまでに隔壁を解除する。地下の異星体の反応が消失したことで慌ただしくなっているだろう。さらにひどいのが大型異星体がこの都市へ津波のように迫ってきている。


 クリス女史に事の顛末を説明しているが終始呆れ果てており、開き直ってからは『あなたがこの惑星の王になったのなら私は王妃様ね、下々の者達よ、人間どもを滅ぼせッ!』と、迫真の演技をしていた。


 霧島ちゃんにレスティアやランファンは、クリス女史はとうとう気でも狂ったんだと可哀想な目で見つめていた。


 ゴォン。と昇降機が停止すると同時に爆薬が起爆する。

 奇襲は想定されていたので、障壁を張っている。

 私達の反応も待たずに研究所自体に遠方よりミサイルとビーム兵器で飽和攻撃のつもりで攻撃してくる。


 さすがに耐久性を考えるとギリギリ足りないぐらいと試算が出ており、アーマーメント化して上空へ退避。アウローラへ操縦権を渡す。


『操作方法や兵装のリストを送る、存分に殺しつくすといい』


『分かりました。これがあなたの中なんですね――ふふ、すり潰して殺します。ああ、憎らしィ、私と子を実験材料にしようと企むなんて――死に晒せです』


>>PCC兵装展開//拡散モード


 それを選択してしまうのか。操縦権を渡しはしたが思い切りがいいな。

 周囲を囲むように陣形を取り、砲撃を繰り返す機体≪C-02CHM破城槌≫が数十機も確認できる。


 強力に改良されたフォトンシールドを前にして接触する前にミサイルが爆散していく。


>>フォトン充填完了//重力魔導制御正常//GET READY?


『撃てぇえええぇッッ!!』


 腰元に二門備えたPCC兵装から拡散されたビームが周囲を無差別に原子崩壊させ消滅していく。右回転でじっくりと砲身が駄目になるまで撃ち続けている。

 丁度一周回転し終わるとPCC兵装を停止させた。


>>PCC兵装停止//機体ダメージ小破


 私の身体を削らないでくれたまえ。痛覚は無いが悲しい気持ちになるんだ。

 存在構築を行う為にコアからのエネルギーを普段よりも多く引き出していく。

 登録された機体の設計図を書き直さないといけないな。


 拡散モードでは大まかな狙いしか付けられないので、周囲数キロの建物が雑多に崩壊している。


 もちろん回避の判断が早かった機体は残存している。


>>ガトリング展開//砲身回転開始


『ららららららららァッ! ほぅら逃げるなよォ!! 父上殿~どこでぇすか? ブッコロしにいきますですよぉ』


 貫通弾が無差別にばら撒かれる。よほどストレスが溜まっていたのか? ガトリングガンは楽しいのは分かるが。探知結果を逐一モニターに表示する。一機、二機と≪C-02CHM破城槌≫が落とされていく。


 C都市の被害も現在進行形で広がって行っているが。私に関わると虐殺主義にでもなってしまうのだろうか。


 狭苦しく高層ビルがひしめき合っているので、ガトリングガンを振り回すだけでガラスが吹き飛び、オフィスや住居諸共破壊していく。


 銀を破壊された建物に常時展開し命を吸い取っていく。殺したのならせめて糧にしよう。魂のありかはまだ分かっていないが私の糧となってくれ。


 コアから無限のエネルギーを引き出せるかもしれないが、私自身が出せる出力自体は少ない。環境適応能力でも一足飛びに進化はできない。


 こうして人間や色々なものを吸収し適応変化させていく。魂の解析。できれば死者の蘇生や寿命の克服などに応用で来るかもしれない。怪我や欠損でできる事は癒す対象を人間でない“ヒト族”に変えてしまうだけだ。回復魔法という夢の魔法はどこにある事やら。やはり私は物理偏重だな。生科学や医学を真面目に研究した方がいいかもしれない。


 考え事をしていたら終盤に差し掛かっている、逃走を続けていた某CEOが軍事施設に立て籠っていた。


『ほらほらほらほら、CHMのCEO出しなさいなぁ~じゃなきゃ撃っちゃうぞ!』


 そう言うと操縦桿を握り締め思考でトリガーを引く。私の操縦方法は思考操作/IMSイメージマニピュレーターシステム採用しており、兵装の展開、照準補正などは、射撃管制AIが担当だ。

 

 すでに出撃した数十機もの機体は全滅、通常兵器の火砲まで破壊されている。

 応援を呼んでいるはずだが間に合っていない。


 暫くすると手錠を掛けられたCEOがでてくる。名前は覚えるまでもないな。


『あっはははは捕まってやんの、だっさぁ~!! 何か言い残すことはあるぅ~?』


 地面に蹴とばされ泥まみれになってこちらを睨んでいる。


「い、い、今ならちゃんと娘として迎えようッ! 資産も、え、ええと、三分の一、いや、半ぶ――」


 全てを言い終わる前に貫通弾の嵐に見舞われて四散した。あっけないものだな。


『――ひぐっ、うっぐ、ふええぇええん……あんなのが親だったなんて……』


 状況終了、撤退だな。ここに居ればC都市の防衛戦力は壊滅するだろう。


 そこまでするつもりが無いので操作権を返してもらい都市外へと向けて飛行を始める。


 機体内にはウォーターサーバー等、便利装置が積まれている。食料品や調味料は無いがな。

 水を飲んで少し落ち着いたのか眠たそうにしている。

 今は私も操縦席に座っており腕の中にはアウローラが縋りついている。


「少しは落ち着いたか? 現在は取り敢えずD都市へ飛行中だ。アウローラはどうしたい? 子が産まれるまではのんびり暮らすか? 私にもやるべきことがあるのでずっと一緒ではないが」


「戦闘は嫌だけどお手伝いくらいならしたいです。えーっと事務とか?」


「それは適任だな。近々数百名単位で人員が増えるんでね、お腹が大きくなったら産休を取ればいい。それでいいか?」


「わかった、お願いします。同居生活かぁ……楽しみだなぁ」


「ああ、ちなみにそういう関係性の子は他にもいるんだが……大丈夫か?」


「――……詐欺だ」


 D都市に着くまで不貞腐れていたが、私の平行存在がいる事に気が付くと一気に連れ去られてしまった。どうにも、噛み痕を付けて私専用にするんだと。







 クリス女史と逢瀬を楽しみ、研究所で紅茶をゆったりと飲む。

 C都市で起きた顛末とデータをまとめて提供したところだ。特に異星体が私に還りたがる事と、大型異星体を止めてはいるがジワジワと集結しつつあることが問題だ。


 あの情報侵食タイプを吸収することでかなり処理速度が向上したのだが、異星体の情報は現在進行形で処理をしつつも数パーセントも解析できていない。

 さらなるスペックアップの為に異星体を吸収しに行かなければならない。


 それで平行存在を出せる人数が増えたために全方位に向けてアーマメント化した私達が出撃している。おかげで脳内が大忙しだ。

 

「聞いてる? 聞こえているの?」


「ああ、すまない。平行存在を今までにないほどの人数で行動していてね。処理がギリギリなんだ」 

 

「大丈夫なの? あなたはトンデモ人間だけど、体は大切にしなさい。お父さんになるんだから」


 そう、あれからイルメシア、シャーリィ、クリス女史、レスティアの懐妊が発覚した。なんでも成長率が早くすぐさま判明したとか。ランファンは仲間外れにされたと不貞腐れ、寝室に何度も引きずり込まれるという事件が頻発した。


 霧島ちゃんは子供を授かるのはどんな気持ちなのですかと、よくみなに質問をしている。もしかして家庭を持ちたいのかもしれない。


 バーテンダーのシスティとも関係を持ってはいるが、懐妊報告はない、もしかすると子を成したいという気持ちに関係してくるのかもしれない。


 不遇な境遇、家庭が複雑な人間の方が懐妊の傾向ある。


 それと数日後には経過観察を終えた、レギオンのメンバーもここにやって来る。  

 これから機体の生産を行い、都市防衛や警備を担当していく予定だ。

 装備は私の特製で半金属生命体用の特殊装備を奮発するつもりだ。

 

 機体も大型異星体の吸収が進むにつれてどこの都市にも負けない精強な部隊ができる事だろう。


「それとね――私のエデン計画ね来年あたりには実行できそうなの。着いて来てる……よね?」


「ああ、ヒトゲノム変異を希望者にだけ進行させる薬か。ある意味新人類の誕生とも言える計画だな。それにより出生率の増加と簡易接触による同化現象の抑止剤の開発。私もトンデモ人間だがクリス女史もトンデモ発明人間だぞ?」


「ふふ、もっと褒めてくれてもいいのよ? あなた。これで先の見えない人類に光が灯るわ。それと大型異星体は命令できるけど小型端末は無差別に行動してるのよね?」


「ああ、小型はどうしようもないな。接触すれば操作できるが異星体のネットワークでは不可能だ。D都市周辺の大型は粗方吸収した」


「それだけでもとんでもない恩恵よね。すでに頒布図が更新されて上層部が息巻いているわよ? いつまでも穴倉を掘り続けるのにうんざりしていたみたいだしね」


「小型も手が回らないので大型異星体に回収をお願いしている地域もある。だが年単位の作業になるだろうな、惑星と行くものはとてつもなく広い。だが開拓場所の確保なら一月あれば可能だ。それをウチの部隊で作業を行い金を毟り取ってくれ」


 レギオン部隊用の取り回しの効く小型機も開発中だ。

 機体開発速度は、どの企業よりも早い自信がある。


「あら、お父さんは養育費を稼いでくれるのね。あなたの子供がこれからも増えて行きそうね」


「ああ、個人的に孤児院や、小さな学校を建てれる敷地を見繕ってくれないか? 部隊員の宿舎も敷設したい」


「意外と真面目に考えてくれてたのね。ちょっとキュンとしちゃったじゃない。あかったわ。上層部にこの計画を進めるよう提出してくるわ。それと今晩相手してね? 優しくだけど」


「わかった。詳細な計画書は作っておくから、体に気を付けてくれ」


 紅茶も飲み終わると、部隊運営や宿舎の設営についての計画書の作成に入る。

 しばらくは異星体の吸収と書類仕事で忙しくなりそうだ。

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