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褐色美女はお好き?

 大型兵器工廠ねぇ。関係者以外の侵入は厳しく制限はされてはいるが秘匿されている様ではないようだ。


 ベスティア帝国内にある発明キチで有名な伯爵の領地内に敷設されている、と帝国内の酒場でも有名になっていた。


 傭兵らしき人物に情報代わりに酒代を奢るとぺらぺらと自慢げに話してくれた。

 戦勝ムードが漂っており、どこそこの貴族の領地が広がるだの景気がいいだの戦争特需にあやかれているらしい。

 王都に攻め込んだ部隊は飛行戦艦と共に運用されている帝国ご自慢の直轄部隊であり出陣のパレードも行われていた。貴重な戦艦をまさか殲滅されているとは夢にも思わないだろう。

 ダガラ王国の領地がどれだけ占領されているか分からないが帝国領で奴隷売買が盛んになっている事から勝ちに勝っているのだろう。

 戦争の士気を下げないためにも秘匿されているな。


 ダガラ王国は大陸中央に位置する国だが領地面積で言えば地球の日本よりも何倍も大きいからな。未開拓地など腐るほどある。なぜ戦争などをして領地など欲しがるのか私には分からないな。


 それに、王都を落としても群雄割拠が始まるだけだ。

 王都消滅より一月以上経ってはいるが意外な事に平和を享受しているな。

 あれほどの魔導車両が戦争に運用できているのは飛行戦艦をダウングレードし兵站能力向上を目的とした飛行輸送艦がキモだ。相当数の車両の積載にコンテナまで開発されている。魔導を使い機械文明よりも工程が簡略化され発展したのだろう。武力方面に特化しており生活を豊かにする娯楽文化やインフラなどが追いついていない。倫理観もな。歪だなぁ。


 地球の中世もこうして産業革命がおこり、発展していったのだろうな。

 いつか革命が起きて民主主義でも発生するかもしれないし、しないかもしれない。この世界の倫理観に沿って程々に向いている統治機構が発生するんだろう。

 

 私は別に民主主義者ではないし共産主義でもない。その時代にあった治世があると思っているだけだ。


 程々に情報の収集ができたことに満足すると追加の酒とつまみを奢りまたいい情報が有ったら頼むと返礼をしておく。市井の情報は意外と役に立ちそうだ。


 帝国の名産品である麦の蒸留酒を嗜んでいると隣の席に扇情的な服を着たやや褐色肌の女性が座って来た。どうやらこの酒場は娼館を兼ねた給仕が働く酒場だったようだ。彼女を気に入ったのならば交渉をしてチップを払えば併設された宿に泊まり楽しんでもらうシステムのようだ。


 帝国民は全体的にやや褐色の肌色をしており黒、焦げ茶色の髪色をしている。私のような黄色の肌に平たい顔は珍しいのだろう。よくスリやタカリにあっている。

肌の色を調整することもできるがこれが私のアイデンティティーであり高度な潜入任務でもない限り変えるつもりはない、どこぞの組織に付く予定もないが。


 潤っている口元が印象的でさりげなく私の太ももの手を置きすり寄って来る、彼女なりの誘い方なのだろう。酒場の男性店員に頼み飲み物だけでも御馳走しておく。


「――飲み物ありがとう。旦那、旅行でもしに来たのかい? 今帝国は景気がいいからねぇ」


「ああ、サムデインの方からな」


 ベスティア帝国はサムデイン商圏、ダガラ王国、マール連邦との領土と重なっている。緩衝地帯として山岳なり渓谷なりあるがダガラ王国以外とはそこそこの関係性で利害や利権の調整は済んでいるようだ、いつ爆発するかわからないがな。


 そっけなく接しているとさらにボディタッチが激しくなっていき下半身まで触れられている。これは武器の有無も確かめられているな。

 雰囲気が諜報のソレだ。

 娼婦の中でも立場が高く、帝国の諜報部も兼ねていそうだな。私には所属もなく何も分からないだろうから無駄な努力だが。


 寝物語でも聞きたいのならば聞かせてやるとしよう。


 彼女にチップを積むと併設されている宿屋へ腕を組んで部屋に入っていく。

 正体不明の私に女性を使ってくることからいきなりの拷問や尋問を使ってはこないだろうし彼女の実力を体感してみる。


 お互い中身のない情報の交換をしながら酒を嗜む、視線を外した時に自白剤らしきものが私のグラスに注がれたのだが効果はない、ベットに二人して倒れ込み行為を始めるが薬の効果が出ないことに焦ったのだろう。


 始まった行為にドギマギしている。おや、本当に彼女はハニトラの分野での諜報ではなく戦闘能力特化の諜報部所属だったのかもしれない、それだけここ最近酒場での情報を収集していた私が怪しい人物に見えたのだろう。


 ゆるりと押し倒すと口内の私の下をねじ込み、仕込み針や毒薬を吸収する。 

 両腕を掴み上げ体中に隠されている針を回収するがまさか性器にまで隠されているとは思わなかった。下手をすれば毒薬が染み込むだろうに……。


 彼女も口を塞がれ混乱の最中だろう次々と針が無くなっていく感触と抵抗しようにも私に膂力でかなうはずがない。まな板の上に載った気持ちを味わってもらおいう。


 彼女の汗ばむ魅惑的な体を味わい尽くすとあまりの感覚に力が向けているようだ。私の舌の上に乗せた針を彼女に見せると絶望の表情になる。良いねその顔好みだね。


「残念ながら私に毒の類は効かないのだよ。最近仕事ばかりで溜まっているのだが……その身を持って代償を払ってもらおうとするかね――」


「や、やめっんむぅ……」


 隠し持っていた風に見せかけて手錠と口枷を生成すると彼女を拘束し、一晩中嬲るとする、どうやら彼女に飲まされた自白剤らしきものは彼女にも効きは悪いが催淫効果もあるようだ。それは彼女の献身的な行動をもって証明してくれた。


 肉感的な褐色美女も良いものだね――ちなみに私は一切の避妊はしないのだよッ!!







 行為の最中に彼女の腹部にこれ見よがしに銀色の針を刺し込んだ、もちろんただの私の一部なのだがそこまで痛みはなかっただろう。

 魔導的な要素を含む遠隔発動できる毒を仕込んでいると説明すると絶望し泣きそうな顔をしていた。おかげで余計に盛り上がってしまったのは内緒にしておこう。


 なにかを諦めた顔をした彼女はぺらぺらと内情を話し始めた。

 これでも一応名の馳せた暗殺専門の殺し屋らしい。帝国の諜報部は腰掛で依頼をされ金額が合えば請け負っていたらしい。

 どうやら他国の諜報員などが次々に殺されて行っているらしい。帝国上層部がピリピリしておりなりふり構わずだそうな。


「金額も安くて簡単な依頼だと思ったところがとんだ厄ネタなんて思いもしなかったさ。散々私で楽しみやがって……これでも貞操観念はしっかりしているんだからねッ!! もしかした時は責任取りなッ!」


 おお、怖い。ニヤニヤ彼女を見つめながら手元に持っている希少鉱石で作成した宝石を数個手に握らせてあげる。追い打ちに換金してある最上位の金貨をジャラジャラとテーブルへぶちまける。


「………………あんた。甲斐性はあるみたいだね――とんだ危ない男だけどまあ、この業界じゃザラさね」


「もし、もしもだ。君が雇われて私に情報を流してくれるのならばこの倍は出してあげよう。それと……養育費が発生するのなら真面目に成人するまでにかかる費用を請求したまえ。紳士的責任を取ろう。その代わりハニトラはしちゃ駄目だぞ?」


「してねえっつってんだろぉッ!! たんまり中に出しやがってぇッ! 危険日なんだぞコラァッ!」


「ああ、楽しみだね。美女である君の子はさぞ可愛いだろうね」


「……支払いさえキチンとすりゃぁまあ考えんでもない。いつまでもこの家業は続けていけるもんでねぇからな。なんだ――家族を持つのは夢でもあっからよ」


「君、意外と乙女なんだね。ああ、口に出してしまったな。そこそこいい邸宅でも探したまえ、帝国民ではない私では住居の購入ができないからね、可愛い所を見せてくれた君への私からのプレゼントだ。支払いは任せたまえ」


「なら仕込み針を外しやがれよ……気持ち悪いったらありゃしない」


「それは信用を行動で獲得したまえ。私は君との約束をキチンと履行するよ」 


 話が終わると彼女は体を拭き衣服を整える。

 渡した宝石や金貨を嬉しそうに懐へしまうと私へとキスをし、去り際に名を名乗っていく。


「シャーリィ。私の事はそう呼べ。本名など名乗るのはいつ振りか分からないけどね。要件があるときはまたここに来な」


 ちょっと嬉しかったので暗器代わりに短剣を数本プレゼントしてしまった私は悪くない。

 魔導関連の情報が聞けたのはなかなかの収穫だったな。

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