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廻り巡る、めぐるぐる

 数多の■と次元を越え

 物語の■わりは■まりを迎える

 輪廻せし■の行く先は

 ■滅と再生を■り返す





 ――待ってくれッ! そのキンタマ男が君の旦那だと言うのか。

 

 私は将来を約束した彼女に、今日こそ指輪をプレゼントし、プロポーズをする決意を固めていた。

 

 約束した待ち合わせの場所に、仲睦まじく抱きしめ合っている男女がいた。


 背の高いキンタマ野郎と、仕事の同僚で付き合っているハズの彼女がいた。


 声を掛けるや否や、彼女がすでに結婚している男性がいる事を告白してきた。


 悔しくて震えて、どうしようもなく涙が止まらなかった。


 結婚した旦那がいた、なぜ言ってくれなかったんだと彼女を責めもした、だが現実は変わらない。


 彼女は『“さようなら”でも、仕事と恋愛は別だから』と、仕事先では無視はされないが、周囲に捨てられた男だと噂をされ、私を見る同僚の目がとても冷たかった。


 これは、夢でいてくれ、現実じゃない! フラフラと歩いて行く先には電車が……。





 という夢を見ていた。


 そういえば私は素人童貞だったなと今更思い出す――死にたくなった。



 昨夜も仕事で疲れて自宅のベットで倒れるように寝て居たはず。呼吸がうまくできずに苦しい感じがしていたんだ。


 今もなお、生きている実感がない。生命の危機に陥りつつも案外冷静に思考ができている。


 健康診断でも内臓関係が危ないですよ? と医者に警告されるも、惰性で仕事を続け、死んだように生きているだけであった。


 仕事の激務と、日頃の不摂生が祟ったのだろう。呼吸ができない精神的苦痛を味わいながら薄れる意識の中で思い出す。


 ――生きているのに生きていない


 そう、私の人生は一言で表せるほど人間社会にとってちっぽけなものだ。


 このまま深い眠りに落ちるのもいいかと諦念した。できれば自由に、自在に、適応し、生きたかった……。思考が途切れる間際、押しつぶされる感覚と共に激痛が走った。





 意識が戻ってくるとともに視界に広がる薄汚れた灰色の風景。


 空間の認識すら覚束ない。私は浮いているのか? そもそも、生きているのかすらわからない。


 呼吸は――していないし、肌に温度も感じない。視覚だけが存在しているのだろうか。このままではそう遠く無いうちに気が狂ってしまいそうだ。


 自宅のベットで小説やアニメを楽しんでいたのが恋しく感じる。


 そう考えていると周囲の灰色の風景がやや暗くなり、私の愛用していたスマホが形作られ目の前に浮かび上がる。


 幾度となく私の手の中で活用したスマホと酷似しているが……操作できないのであれば楽しめないではないかッ! 動けない私に手さえあれば……。


 感知できる範囲の空間に銀色の触手のようななものが現れると、骨や神経、筋肉に変化していき、ビリリと何かに接続される感覚が走る。不思議とこれが私の“手”なのだと理解させられる。


 自身の手を動かす感覚で銀の腕を操作することでスマホを掴んでタップすることができた。しかし娯楽を楽しむための電波は存在しておらず、ネット環境には接続できないようだ。


 ――もしや、願ったことがかなえられているのか?


 ものは試しと自身の肉体を妄想する。


 自身の顔を詳細に覚えてはいないが少し欲をかき、悩みであった胴長短足を高身長で引き締まった肉体、疲労しない体力に病気やケガを負わない頑強な肉体を妄想する。


 先程と同じように銀色の触手が視界一杯に広がり、取得できていた視覚と思われる情報が途切れ、まばたきのできる視界に切り替わる。


 手や足の感覚が戻ってきたのがわかる。


 視線を下半身に向けると相変わらず銀色の未来型アンドロイドのようだが、割れた腹筋に素晴らしい我が分身が生えているではないか。


 鏡でもあればじっくりナイスボディを確認したいのだが……数瞬のち目の前に姿見が現れた。ああ、ありがとうございます。


 興奮に我を忘れ、様々な事を試しながら楽しんだ。







 現在、私は自宅で使っていたベットに寝転がりながら、スマホで見逃していたアニメをじっくり楽しんでいた。


 地面は存在していないようだが、浮いているテーブルにはいつも愛飲しているお酒に、イカの塩辛とミックスピザが置かれている。


 どうやって電波が来ているのかは分からないが時計も進み、ニュースなどの最新情報が更新されているようだ。


 なぜこのような空間にいるのか、自身のパーソナルデータがいまいち覚えていないが、そんなことはどうでもいい。


 寝すぎで腰が痛くなることも、眼鏡を使用しなくてもいいのだ、好きな事を好きなだけ、ここでのんびりしていてもいいんだ。


 何かを願う度にこの空間の景色が、段々と闇に近づいていっている気がする。


 願い事を叶えるのは有限なんだろうか?


 自身ができる事と身体のスペックは自然と理解させられ、十全に扱うことが出来る。ただ、“そうあれ”と定められ。概念を叩き込まれている気がする。


 ――環境適応能力


 あらゆる環境。宇宙。深海。マグマの中にだって生きていける。


 ベットに寝ながらスマホを見ている時に、手に持つのが煩わしいなと思考するだけで、スマホが手の中に取り込まれ、視界内に投影されたモニターが表示されていた。


 しかし神様のように生命を創造したり、魔法のように空を飛んだり、できないことは多い。願えば可能にはなるが、これ以上理を捻じ曲げると何か恐ろしい事が起きると予感がしている。


 願いの程度にもよるのだろう。


 体を運用する為のエネルギーは何かしら食物や物質を取り込まないといけないようだ。

 

 手や足などを鋭くさせて槍のように変形したり、液状化して薄く延ばせたり、有名な粘性生物のように変化したときは驚いたな。

 

 エネルギーを消費し物質の生成する能力もあるようだ。この空間では試せていない。


 物理現象に偏ってはいるが銃器や光学兵器を生成するなどロマン溢れることもできるだろう、私の頭が理解できればだが。


 唯一の不安が生殖活動だが……可能だ試すには相手がいないことが最大の問題だな。それと自身の遺伝子情報はどこかに保存されており、ある程度の劣化遺伝子を取り除くこともできる……かもしれない。


 これから願うことは、高度な開発や研究できる能力だ。補助頭脳と言えばいいか。人間を辞めるかもしれないが、まさに“今更”だ。


 このままひとりでは寂しい。共に生きて行き、寄り添い、忠言もでき、楽しめる相方が欲しいな。


 そう願うと胸の中心部が熱くなっていく。


 周囲の空間も急激に闇に包まれていき視界が歪む。


 ――これは……やってしまったかもしれん。


 存在が食い破られそうな感覚に襲われるも、意識を保とうと気合を入れる。


 恐らく何かしらのエネルギーが枯渇してしまったのだろうか?


 虚無がじわじわと広がり、私の存在が食い破られ、存在がバラバラにされていく。


 頼りになるのは、灰色の景色にしてしまう程のエネルギーを使用した環境適応能力。自身の名はすっかり忘れてしまったが、良く人に言われていたこと思い出していた。


「■■■さんってうっかりしていますよね? 凄く迷惑です」


 私の視界は虚無に飲み込まれ再び意識が薄くなってしまう、次に見る夢はいい夢だといいな。





 




 おカEりな3い、そ4TE、いっTEらっSIゃい■■■

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