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7/7

~モモのお話~




私は今、牢獄の中に居る。え?何で、こうなった!?



庶民として生まれた時には人生詰んだわと思ったけど、ある日突然思い出したの。私は違う世界で生まれて死んだ記憶を。そしてこの世界が『乙女ゲーム』の世界だってことを…なんていうテンプレートのような出来事を体験し、この世界のヒロイン『モモ』として意気揚々と物語をスタートさせた筈だった。



まず、『光の魔法』を発現させた所までは良かったんだよね。何だか主人公っぽくって私凄い!?なんて有頂天になったのがいけなかったのか…


『光の魔法』は人を癒す魔法が使えるんだけど、その効能を応用して心を癒して攻略対象の好感度を上げようとしたのが、大変まずかった。


だって、ゲームの世界の登場人物が実際に存在したらコンプリートしたくなるのは、人として仕方ないと思うの。手あたり次第に魔法をかけて、チヤホヤして貰っていたら、攻略度最難関の王太子まで私の虜にっ!!


ゲームの中ではクールで、好感度を上げるとヤンデレに豹変してくる彼は、私のイチオシだった。でも、少し間違えると即バッドエンド。ゲームでも攻略出来なかった彼が、最初こそクールな対応だったけど、何故か私に優しく微笑んでくれるようになった。悪役令嬢のルルーシャも大人しいし、本当人生って簡単だわ、なんてお気楽思考だった。



「ジーク様っ!」



彼に駆け寄って腕を絡めると、優しく微笑んでくれた。お人形みたいな綺麗な顔に思わずうっとりする。もっと甘々になれないかなぁ~なんて、最高出力で魔法かけちゃいました。



悪役令嬢もいつの間にか姿形も見かけなくなり、後は逆ハーエンドまっしぐら!!そんな感じで日々浮かれていたら……



「お前は罪を犯した。王侯貴族への『魅了』魔法は重罪だ。即刻投獄させてもらう」




ジーク様に冷たい表情で言われ、まさかのバッドエンド。私が使った光の魔法の応用はこの世界では『魅了』魔法と分類されて、罪に問われるらしい。まずいまずい!!これって、よくあるヒロインが断罪コース!?



「私が『魅了』にかかったと思ったのか?あんなに可愛らしくて愛らしい最高の婚約者が居ると言うのに、他に目が眩むなど世界が引っくり返っても有り得ない話だ」


「ええ!?悪役令嬢溺愛系!?」


「ルルーシャが『悪役令嬢』……?彼女ほど純粋で清らかな令嬢は居ない。『悪役』はお前で裁かれるのもお前だ。己の犯した罪をしっかりと償うのだな」



ガシャンと牢屋の鍵が掛けられる。絶望……本気でどうしたらいいのよ。調子乗り過ぎたーっ!まさか、あのヤンデレ王太子が悪役令嬢を溺愛とか……ストーリー変わり過ぎじゃない?


ううん。きっとこの世界は『乙女ゲーム』に似てるけど、違う世界なのかもしれない。私は…ヒロインだって勘違いしてたのかな。あーあ、大人しくしておけば良かった。『光の魔法』が使えるだけで満足してれば今頃平和に過ごしてたのかしら。



薄暗い牢の中で一生を終えるのかな。自業自得だけど、本当最悪。何日も牢の中で過ごして、その後の沙汰を待っていた。

即刻死刑にならなかっただけマシかもしれないと前向きに考え、石壁のヒビの数を数えてみたり、ひとり脳内しりとりをしたりと、何とか暇つぶしをしながら過ごしていたら……



「大人しくしているようだな。…お前の処罰が決まったよ」



冷たい表情の王太子が直々に私に処罰を言い渡しに来る。島流しとか絞首刑とかだったら嫌だな…なんて思っていると、



「学園は退学処分、身柄は生涯幽閉となる。幽閉先は、辺境の治癒院だ。『光の魔法』を使って生涯民に尽くすのだな」


「えっ!!」


そんなんでいいの!?私、まだ、屋根のある場所で生きていられるらしい。『光の魔法』のお陰だね!治癒院で働くって聖女っぽくっていいじゃない。うんうん、私頑張って罪を償うわ!

最悪のバッドエンド回避できて良かったーーーっ!!!



「無論、監視も付け自由は一切ない。牢獄での生活と何ら変わりはないことを覚悟するのだな」


「はいっ!どうもありがとうございました!」



王太子は怪訝そうな表情をしたが、そのまま背を向け牢屋から出て行ってしまった。きっと彼にも、悪役令嬢にももう会うことはないだろう。だって、私には聖女っぽい仕事が待っている!生きているって素晴らしい!


頑張って良い働きをしたら、いつか自由にして貰えるかもしれないし、取り敢えず、頑張ろう!



無駄に前向きな所が私の良い処だって、前世の母は良く呆れたように言ってたっけ。過ぎたことは仕方ない。もう前に進むのみ!!




その後──治癒院で我武者羅に患者さんの為に働き、めちゃくちゃ好みの治癒師様と恋に落ち、ハッピ―エンドを迎えることを、今の私はまだ知らない──




END







最後までお読み頂きありがとうございました^^

リスエスト頂きましたモモsideのお話になります!!

作者的にはモモにも救いがあればな…何て思いながら執筆しました。

逆にジークのヤンデレ度も上がったような…気のせいでしょうか笑


沢山のご評価、ブックマーク、いいね、ご感想、誤字報告を頂きましてありがとうございました!本当に感謝の気持ちで胸がいっぱいです!!

これからもどうぞ宜しくお願い致します♪♪




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