5.骨の髄まで愛し尽くします。
ジークフリードの言葉にルルーシャはピシりと固まってしまった。
──嫉妬!?こ、このわたくしが!?
「モモという女は、光の魔法を邪に使い、人々の心を操り魅了していたんだ。王侯貴族に魅了魔法を使うことは犯罪だからね、貴重な光の魔法使いってこともあって、私が捜査の指揮を執れと面倒な命令をされたんだ。囮調査ってやつで、魅了にかかった振りをしてたんだけど、その場面を見てしまったのだね」
「お…とり…捜査……?」
「王族には魅了は効かないからね。演技だよ。それにしても酷いな。私が君以外を愛さないのは分かっていた筈なのに。まだ伝え方が甘かったかな」
不穏な空気を感じてルルーシャは後ずさりした。しかし逃がすはずもなくジークフリードはどんどん追い詰めていく。
「愛しているよ、ルルーシャ。誓約魔法で誓おうか?それとももういっそ婚姻してしまおうか?『婚約者』を信用出来ないのならば夫婦になろう。それが一番手っ取り早いかな。王都に帰ったら早速籍を入れようか」
「え、ええええ!?」
心の底から叫ぶルルーシャに、マーマリアは呆気にとられた表情で二人を見ていた。
「これは前公爵夫人、失礼致しました。私は心からルルーシャを愛しています。彼女を『悪役令嬢』にするつもりもありませんし、『婚約破棄』など絶対に致しません。生涯をかけて幸せにします。骨の髄まで愛し尽くします。どうか認めて頂けませんか?」
重すぎる愛の言葉に、ルルーシャもマーマリアも絶句する。しかし、マーマリアはふっと息を吐くように笑いを零した。
「ルルーシャ、これはもう逃げられないわね。旦那様から求婚された日を思い出すわ。殿下、可愛い孫をどうかよろしくお願い致します」
「お、お祖母様ぁぁぁぁ!?」
味方だと思っていた祖母がいきなりジークフリード側に付き、ルルーシャは涙目で祖母を見つめる。
「早くひ孫が見たいわね。さ、旦那様に会いたくなってしまったわ。ルルーシャ、観念して王都へ戻りなさい」
手を振って見送られ、ルルーシャはジークフリードに連れられ王都へ戻ることになってしまった。
馬車の中では、最早定位置となったジークフリードの膝の上に乗せられ、ルルーシャは見悶えていた。
「で、殿下、その、婚姻って……」
「本気だよ、だって婚約者は信用できないのだろう?私はルルーシャを愛しているし、君にも愛して欲しい。それには婚約者の地位はさっさと捨てなければね」
「っ!!!!」
もう止まりそうもないジークフリードに、ルルーシャは嫌な予感しかしなかった。こんな筈では無かった。王太子妃にもなるつもりなど無かったのに──
それでも、心の奥隅で何故か嬉しいと思ってしまう自分も居るのだ。
「大好きだよ、ルルーシャ」
そう言って近づいてくるジークフリードの顔を避けることはしなかった。自分の気持ちを素直に口に出せない代わりにそっと目を閉じる。
──し、仕方ありませんもの!婚約者は信用なりませんが、だ、旦那様ならば信用するしかありませんわっ!!!
言い訳の様に心の中で繰り返す。
二人の唇がそっと重なり合うのだった──
END
最後までお読み頂きありがとうございます(*^^*)!!
婚約破棄されない悪役令嬢を書いてみたくなり執筆してみました!
如何だってでしょうか?
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~追記~
沢山のご感想、いいね、ボックマーク、ご評価を頂きましてありがとうございました!
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