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取り敢えず箱を開けます

 


 フレデリックには夜、としか言われなかった為何時かわからなかったマグリットは、早めに夕食と湯浴みを済ませソフィーとノクトをもうすでに下がらせている。


 流石に皇太子では無いとは言え、王族の言葉を無視して箱を開けない事は出来ない訳で、マグリットは机に置いてある箱を見つめる。


 ただの贈り物には感じなかったからこそ、開ける事さえも戸惑う。



 しかしいつまでもそうしてはいられない。

 早めに一人になった意味がなくなってしまう。


 まずは箱を持ち上げる。

 本当手のひらサイズの小さな箱である。


 思わず振ってみる、と中からカラカラと音がなる。

 振動で爆破する訳では無い様だ。


 意を決してマグリットは箱を慎重に開ける。


 そこに入っていたのは赤い、まるでフレデリック殿下の瞳の様な魔石が付いたシンプルな銀のブレスレットであった。



(これは!!!)


 マグリットはそのブレスレットを見て驚愕を露わにする。



 かつてのやり直しの世界で幾度と無く見たアクセサリーである。


 しかしそれはもう少し先の未来。

 二年程後に高位貴族だけが持っていた魔道具であった。


 そう、二年程後である。


 今この時間軸には無かった物。


(付けろと、仰っていたわね・・・)

 マグリットはこれが危ない物では無い事を知っている。


 そして付けろと言ったと言うことは・・・

 マグリットはそれを左手首に付ける。




『・・・・・・カンバーラント公爵令嬢。

 聞こえるか??』


 付けて暫くすると、頭に響く様にフレデリック殿下の声が響く。


 これは未来の時間軸で、初めての念話機能が付いた魔道具として高位貴族の間で流行る物である。


 つまりはフレデリック殿下が内密にマグリットに話があると言うこと。


『・・・聞こえますわ。殿下。』


 どう言う原理かまではマグリットにはわからないが、伝えようと思った事だけが頭の中で考えるだけで伝わる様になっている魔道具なのである。


『クックック。

 カンバーラント公爵令嬢は随分と困惑している様だ。』


 普段は完璧皇子と言われるだけあって優しい笑顔の絶えない皇子様然としているのにも関わらず、顔は見えないながらもいつもとは違う雰囲気を感じさせる。


『一体こんな物を私に渡して何の御用でしょうか?』

 フレデリックに対して聞きたい事はあれど、目上の人物に詰め寄るわけにもいかない。


『それより何故この魔道具を使えるのかな?

 カンバーラント公爵令嬢?』



 フレデリックは言葉の割には疑問に感じていない様にマグリットに逆に問い掛ける。

 聞いている割には答えを知っているかのようである。



『・・・殿下こそ何故この魔道具を持っていらっしゃるのでしょうか?』


 何度もやり直してるからこの魔道具の事も知ってる、なんて突拍子も無い事は流石に言えない。


『それは

 これが私が作った物だからだ。』

 考えても見なかった事を言われたせいで、マグリットは時が止まった様に思考が停止する。


『大丈夫か?カンバーラント公爵令嬢。』

 フレデリックはマグリットが返事を返すまで暫く待ってみたが、一向に返事が無い為声を掛ける。



『・・・作った?

 これを作ったと言いましたか?』

『そうだ。』

『こんな高度な魔道具をフレデリック殿下が作ったと?』

『そうだ。』

『こんな小さな魔石にどうやって術式を埋め込んだんですか?

 しかも使用者の魔力も少なくて済みますし。

 どうやって相手に『待て待て待て!!』』



 矢継ぎ早に疑問をぶつけるもフレデリックに止められる。

 やり直しの世界でやってみた事の一つに、魔法学者になった事もあるマグリットは自分自身では理解出来ない魔道具に興味が尽きない。


『そんな事を話す為に渡した訳では無い。』

『そんな事、ではありませんが取り乱しました。

 申し訳ございません。』


 相手には見えてはいないが、取り乱した事に対する羞恥で少し赤くなってしまった顔を掌で隠す。


『まぁいい。

 カンバーラント公爵。

 いや、マグリット。』

 いきなりの呼び捨てに思わず顔を顰める。


 婚約者でも無い、むしろ今日会うまで殆ど接点も無かった人物に呼び捨てにされては良い気はしない。


『今日から君は俺の協力者だ。』






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