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07:『 えらいこっちゃ、なんのこっちゃ』的な♪

え~と…

自分が巻いた種とは言え、魔界の王ルシファーに謁見しなければならなくなったヘルシングは、重い足を引きずりながらアスタロト達に引っ張られて王城へと向かっている所だった。


…ちなみにポトニャーも教育係という立場上なしくずしに同行させられている。

※可愛そうに…まだ教育係を引き受けて数十分しかたっていないのだが……



魔魍街の中心にそびえ立つ王城…

ヘルシングは城に向かう道中、時折上を向き ながらその城の景観を眺めて溜め息をついていた。


「王様ってどげんか感じなんやろうか…やっぱり怖かろうな~(涙)…まさか!牢屋とかに入れられるとやろか?…あ~あ、こげんな事ならスキルなんか発動させんで先にギルドで登録しとかやんやった!それよりも叔父さん家に先に行っとかやんやった……俺って馬鹿やな~」


色んな思考を頭の中で巡らせながら歩いているヘルシングは、いつの間にか王城に入る門迄たどり着いてしまった事に直前迄気がつかないでいた。

立ち止まり改めて門の前から城を眺めたヘルシングが、その圧倒的な迫力に思わず息を飲んでいると……


「さぁ私に付いて来なさい。謁見は直ぐにして頂ける様にして手配している」

「…ハイ……」

ヘルシングは、観念したのか青ざめた顔をしてうつむいたままアスタロト達に従って後ろから付いて行った。


暫く王城の中を歩くと、ほどなくして巨大な扉の前に突き当たった。

ヘルシングは、ここまでの道のりで父親並みの凄いオーラを放つ関係者と多数すれ違っていたせいか、可愛そうにその度にどんどん萎縮してしまい、扉に付いた頃には半べそ状態で身体中震えだしている。


「少年…そう怖がらなくてもいいから、さぁ~入るぞ」

アスタロトはそう言うと扉を開き、さっさと歩き出していた。

立ちすくんでいたヘルシングも、同行したポトニャーに背中を押されると、下を向いたままとぼとぼと歩き出している。


先頭のアスタロトに付き従いながら、長~く赤い絨毯じゅうたんの上を暫く歩いていくヘルシングとポトニャー…

するとアスタロトは不意に立ち止まると、おもむろに片ひざを付いて頭を下げた。

ヘルシングとポトニャーもそれに気付き、彼の背後で同じく片ひざを付いて頭を下げていた。

ただ……

何故か教育係のポトニャーだけは下を向いたまま笑いをこらえている…

それを横目で見ながら不思議がっているヘルシング…

※まぁ~おいおいその理由わけをヘルシングは知る事になるのだが♪


「ルシファー様、例の少年を連れて参りました」

「サタナキアからは報告を受けています…全員顔を挙げなさい」

ヘルシングはその予想外に柔らかな口調にビックリしてしまい、直ぐに顔を挙げ正面の玉座に鎮座する王の姿に目をやった。


『……なんね……神々しか……』

ルシファーの姿を見たヘルシングの第一声はこの一言に尽きていた。


《魔球》にある五大王国の中で最も広大な領土にあたる《魔界》の王であり、五人の王の中でもその魔力量と戦闘力は桁違いと言われる魔王ルシファー王……

だがその表情は、ヘルシングの想像と違いとても穏やかだった。

それに自分を見つめるその瞳も慈愛に満ちている上に全身から放つオーラも虹の様に美しかった。



「ヘルシングだったかな?どうしました、私の顔に何か付いていますか?」

思わず見とれてしまっていたヘルシングは、ルシファーの一言で我に帰ると顔を真っ赤にして首を左右に降っていた。


「い、いえ!な、何でんなかです!ち、ちょっとビックリしただけやけん気にせんで下さい!!」

「サタナキアの言う通り、君は南方の《方言》が結構強いんだね(笑)♪」

ヘルシングの話し方を聞いたルシファーは、そう言いながら懐かしむ様に笑っていた。


「あ!笑ってしまったのは失礼した♪つい…昔の事を思い出してしまってね♪許してくれないか(笑)」

「王は昔ドラキュラ伯爵兄妹と地元の冒険者の四人でパーティーを組んで、南方の村で発生したスタンピートを一掃された事があるのよ」

微笑みながら許しをこうルシファーの横で金髪の美しい淑女が彼の言葉を補足した。


「え?リリス様…それは私も初めてお聞きしました」

「だって~貴方はその時別件でロムトレートに出向いてたじゃない♪」


そうなのである。

当時、アスタロトは別次元に存在する《地球》にあるロムトレート王国に親書を携え親善大使としてその任務に当たっていたのだった。


「ん?どうしました少年?」

「……もしかして…王妃様……」

そんな二人の会話においてけぼりをくらっていたヘルシングは、その掛け合いを聞いて思わず呟いてしまった。


「あら♪ご挨拶が済んでいなかったわね(笑)そう私はルシファー王の妻、リリス王妃です♪」


つまり~~

この場には《魔界の王と王妃》、《三大貴族の代表》、《王室筆頭秘書官》と《オーバースキルを持つ異界の教育係》等々物凄いメンバーがヘルシングの回りを囲んでいるのであった!!


今更ながらそれに気づいたヘルシングは、滝の様な冷や汗を全身から流しながらこう呟いた…


「……なんでこうなるん……?」

と………



次回

08:『 ネタはあがってるんだし正直に白状しなさい』的な♪

次回は冒頭からいきなり《取り調べ》から始まります(笑)

果たしてヘルシングは《カツ丼》に屈するのか~!そしてマジで今日中に冒険者登録ができるのか!

※因みに出前(カツ丼)の手伝いであの人がチラッと登場します♪


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