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第4章 9 お別れの夜

 その日の夜―


リチャード皇子のエスコートで私は屋敷へと帰ってきた。リチャード皇子はエントランス迄出迎えに現れたお父様に私と婚約したいという旨を伝えると、お父様は泣いて喜び・・・後日、私とお父様は改めて王宮に挨拶に伺う約束を交わした。




「ロザリアちゃん、今夜は最高に楽しい夜だったよ。」


リチャード皇子は馬車迄見送りに来た私に言う。


「は、はい・・・わ、私も夢みたいに幸せです・・・。」


真っ赤になって俯くと、リチャード皇子の右手が伸びてきて、私の顎をつまんで上を向かせた。そしてゆっくり近づいて来るリチャード皇子の顔・・。私は真っ赤になりながらも目を閉じると、キスされた。

そしてリチャード皇子は私から離れると言った。


「お休み。また明日ね・・・明日からはもう屋台はやらない。だって大切な人を見つけたからね?」


「え・・?」


私の戸惑いをよそにリチャード皇子は馬車に乗ると窓を開けた。


「ロザリアちゃん・・。明日、城で待ってるからね。」


そして私に手を振ると・・・馬車はガラガラと音を立てて走り去って行った―。


「・・・・。」


夢心地で暫く馬車が去って行くのを眺めていた私はやがてホウと溜息をついた時・・・。


《 おめでとう、ロザリア。》


突然頭の中で里香さんの声が聞こえてきた。


「あ!里香さん・・・!今までどうしていたんですか?!」


《 え?別に・・・どうって言われても・・・私はずっと2人の様子をここから見守っていたけど? 》


「え・・?そんな・・・以前に比べて里香さんの気配を感じなくなってきている・・。」


《 あ、ロザリアもそう思う?私も何だか・・・ここにいても力が入らなくなってきている感じがするんだよね~・・・これって・・・ひょっとするとあれじゃない?ロザリアが幸せを感じ始めたから・・・もう私の役目も終わりって・・事なんじゃないかな? 》


「え・・・り、里香さん・・・」


《 あ~ごめん・・・いまこうして話しているだけでも何だか体力が無くなって行く感じがするんだよね・・ロザリア。ごめん、一回・・下がらせて貰うわ。今夜は早めに寝て・・・夢の中で会いましょう・・・。 》


そして里香さんの通信?は途絶えてしまった。


「里香さん・・・・。」


私は里香さんの名前を呟き・・・。


「こうしちゃいられないわ!」


大急ぎで屋敷に戻ると、バスルームへと向かった―。



それから約1時間後―


私はギンギンに目がさえているのにも関わらず、ベッドの中にいた。


「寝なくちゃ・・寝なくちゃ・・・。」


寝なくちゃを165回言ったところで・・・私は意識を無くした―。




****



そこは一面のピンク色の世界。あ・・・ここは私に夢の世界だ・・・。すると背後から声を掛けられる。


「お待たせ。」


振り向くとそこに立っていたのは里香さんだった。里香さんの体は半分透けていた。


「あ・・・り、里香さん・・・身体が透き通って・・・。」


私は思わず声を震わせた。


「うん・・そうなんだよね。さっき貴女と話した直後に意識が無くなって・・そして気づいたらロザリアがいたのよね。私・・多分今夜消えるんだと思う。役目を終えたって事だよね?」


里香さんは笑顔だったけど・・・どこか寂しげだった。


「り、里香さん・・・わ、私・・・・。」


気付けば私の顔は涙ぐんでいた。


「こら、そんな顔しないの。やっと幸せになったんでしょう?」


言いながらコツンと私のおでこをこづく里香さんの顔も・・どこか悲しげだった。


「り、里香さん・・・。」


「お幸せにね。」


「え?」


「最初・・この身体に憑依させられた時は・・・すごく自分の境遇を恨んだけど・・、でもなかなかこの世界を楽しめたわよ?ありがとう。」


里香さんが笑顔で私を見た―。




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