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第4章 8 告白

「ロザリアちゃんて・・・変わった人だよね?」


突然の言葉に戸惑う私。


「え・・?それは一体どういう意味ですか・・?」


「うん・・言葉通りだけど・・・初めて会った時と今ではまるで雰囲気が違うと言うか・・別人というか・・・。」


別人・・その言葉を聞いてドキリとした。リチャード皇子の言葉は間違えていない。だって初めて会った時は中身は里香さんだったのだから・・・。そして今は正真正銘、本物のロザリアだけども・・。今私の中に里香さんの気配は何処にも感じられない。


「・・・。」


うまく返事が出来なくて、無言で私は空を見上げて夜空に打ち上げられる花火を見ていた。すると、突然耳元でリチャード皇子が言った。


「でも・・・どちらのロザリアちゃんも俺にとっては魅力的だけどね?」


「え?」


その言葉に驚いてリチャード皇子の方を振り向いた途端・・・・驚くべき程に至近距離にリチャード皇子の顔があり・・私はキスをされていた―。


「「・・・。」」


あまりの突然の出来事にパニックを起こし、固まってしまうとリチャード皇子はクスリと笑って私から身体を離した。そして笑みを浮かべながら言った。


「ごめん・・・驚かせちゃったかな?ロザリアちゃんがあまりにも可愛かったから・・ついね・・・。」



「か、か、可愛かったから・・?」


鏡が無いので分からないけれど、たぶん今の私は顔が真っ赤になっている事だろう。


「うん。いつも朝元気に歩いて学校に通って・・俺に挨拶してくれたよね?貴族令嬢が屋台をやっている人間に気安く声を掛けてくる何て事は滅多にない事だから初めは驚いたよ。勿論、気軽にナッツさんなんて呼んでくれたのも君が初めてだったけどね?」


「あ・・・。」


でも、それは私ではなく・・・中身は里香さんだったから・・・。


「ロザリアちゃんはどんどん痩せて綺麗になっていって・・それに俺の売ってるナッツを買いに来てくれて嬉しかったよ。」


それじゃ・・・やっぱりリチャード皇子が可愛いと思っているのは私ではなく中身が里香さんの・・ロザリアなんだ・・・。そう思うと何だか悲しくなってきた。


「だけど・・・今のロザリアちゃんが一番魅力的に感じるかな?」


「え・・・?」


次の瞬間私はリチャード皇子に強く抱きしめられていた。


「ロザリアちゃん・・・もうあの男とは婚約は解消したのかい?」


私の頭の上でリチャードさんの声が聞こえる。


「は、はい・・・せ、正式に・・・こ・婚約は・・解消・・しました・・。」


「そうか・・・なら俺にもチャンスがあるって事だよね?」


「え・・?チャ、チャンスって・・・?」


「好きだよ。」


突然リチャード皇子が耳元で囁いてきた。


「!」


え・・?今・・何て・・・?


あまりの突然の抱擁に、告白は生まれて初めての事だったので、もう私はどうすれば良いのか分からなかった。


「ロザリアちゃんは・・俺の事どう思う?・・嫌いかな・・?」


「ま、まさかっ!」


気付けば速攻で否定していた。


「そうか・・なら俺の事・・・好きだって事だよね?」


リチャード皇子は私の両肩に手を置くと言った。


「え、えっと・・。」


もう私の胸はドキドキと心臓が脈打ち、今にも跳び出してしまいそうになっていた。だけど・・こんなに胸が高なっているって言う事は・・私も彼の事が・・・好きって事だよね・・・?


「は、はい・・・。わ、私も・・・リチャード皇子の事が・・す、好き・・です・・。」


とうとう言ってしまった。


「ふふ・・とても可愛いよ。その恥ずかしがっている顔も・・仕草も・・。」


リチャード皇子は私の頬に右手を添えながら言う。やがて、顔を近づけてきたので私はドキドキしながら目を閉じると・・・再びリチャード皇子は私にそっとキスをしてきた―。



ああ・・・私は今、とても幸せだ・・・。


まるで私たちを祝福してくれているかのように、打ち上げられる花火は頭上で美しい花を咲かせ続けていた―。



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