第3章 1 ロザリアの言い分
私がロザリアの身体に憑依して3週間が過ぎた頃―
「あのっ!あんまり目立つような事はしないで下さいっ!」
夜、いつものように眠りについてすぐにロザリアと夢の世界で会うと開口一番にいきなり言われた。
「はあ・・・?ロザリア・・突然何言いだすのよ?」
物理の教科書を片手に私はロザリアの頭をポンポン軽く叩きながら言った。
「ちょっと、それやめてくださいってばっ!」
ロザリアは頭を隠すように身をよじると私を見た。
「大体ねえ・・・ロザリアッ!いつになったら満足して私をもとの世界に返してくれるのよ?あんたがその気になってくれない限り、私はいつまでもこの身体から抜けられないのよっ?!」
「そう、それですよっ!」
突如ロザリアは言った。
「それって・・・何よ?」
「う~・・・私が何も知らないとでも思っているんでしょう・・・?私は最近この場所から里香さんの様子をずっとうかがってるんですよ?」
「ええ、そのようね。それなら良く知ってるでしょう?もう私を虐める人間は誰もいなくなったって事。」
「はい!よーく知ってますよ!それどころか逆に人気者になってるじゃないですか!男女問わずっ!」
ビシイッと私を指さしながらロザリアは言う。
「そうよ~感謝しなさい?自分だって変化に気付いているでしょう?ほら、初めて夢の世界で貴女に会った時はぷよぷよ体形だったのに、今の自分の姿はどう?すっきり引き締まって・・・・しかも私の想像していた以上に美少女になったじゃないの!」
そうなのだ、今私の前に立っているロザリアはどこの誰もが見たって、完璧な美少女なのだ。真っ白な肌にブリュネットの艶々とした巻き毛・・青みがかった神秘的なくっきりした大きな二重の瞳。女の子らしい、ほっそりとした体形はそれでも出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。まさに男の庇護欲を駆り立てられるような美少女っぷりなのだから。
「外見だけじゃないわよ?運動だって勉強だって家庭科だって、ばっちり出来る。まさにオールマイティの人間に生まれ変われたでしょう?それのどこが不満なのよ!」
するとロザリアは言い返してきた。
「だから、里香さんが頑張りすぎちゃったからですよっ!今日だって美術の時間にお互いの肖像画を描くという課題で誰もが私とペアになりたがっていたじゃないですか!男女問わず、しかもあのセレナだってっ!」
「あ~・・・あれね・・・。」
私は顎をポリポリ指でかきながら今日の学校の美術の時間を思い出していた。確かにクラスメイトの誰もが私とペアになりたがり・・・最終的に誰が私とペアになるかをじゃんけんで決める事になり・・勝ったのはセレナだったのだ。そして私とセレナが互いの肖像画を描くことになり・・・授業終了後、セレナは私が描いた自分の肖像画を渡すと、自分の宝物にすると喜んで持ち帰ったのだ。
「どうするんですかっ?!里香さんがこの身体から抜けだして行った後の私・・・!無理ですよっ?!今の里香さんを演じられませんっ!確かに生まれ変わりたいと願ったけれど・・これではやりすぎですよっ!もう・・・こうなったら私が学校を卒業するまで残ってもらいますからねっ?!」
ロザリアはとんでもないことを言ってきた。
「はあ?!冗談じゃないわよっ!そんなの嫌に決まっているでしょうっ?!勝手に決めつけないでよっ!」
「それじゃあ・・・何も出来なくなった私はまた皆に酷いいじめを受けてもいいんですかっ?!」
ロザリアは鼻息を荒くして言うが・・・私は思った。
どうしてロザリアはそんなに自分に自信が持てないのだろう?勉強だってやり方を間違えていたから覚えられなかっただけで、今では数学だって、物理や化学だって、以前に比べてかなり出来るようになったのに。それに今までは私が活動していた時間、怠惰に過ごしてたのに、この世界からずっと外の様子をうかがって・・一緒に授業を受けているのに・・。
ロザリアは自分の実力に気付いていないんだ。やれば出来るって事を・・・。
どうすればロザリアに自信をつけさせう事が出来るのだろう・・・?考えた私は・・・よいアイディアが浮かんだ―。




