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第2章 12 私の楽しみ

  私がロザリアの身体に憑依してからちょうど1週間が経過した。


「ロザリア様、大分身体がすっきりしてまいりましたね。」


学校へ行く準備をしていた本日のメイドさんが話しかけてきた。


「うん。まあね~食事制限に運動を頑張っているからね。それに毎日往復50分の道のりを歩いているからね。」


私は自分のウエスト部分をペタペタと触りながら言う。うん、大分私の本来の自分の身体の体型に戻りつつあるかな?


「クラスメイト達の見る目も変わって来たのじゃありませんか?」


「うん、それは確かに言えるね。でも・・・それは単に体型が変わって来たからじゃないんだけどね・・・・。さて、それじゃ学校へ行ってくるね。」


「はい、行ってらっしゃいませ。」


こうして私はメイドさんと自室の前で別れてから1人で屋敷を出て行った。




 青空の下、片道歩いて25分の道のりは中々楽しい。この世界は雰囲気が昔学生時代に友達と海外旅行でスイスのベルン旧市街を散策したときの雰囲気にそっくりだ。私はあの場所がすっかり気に入り、何枚も何枚も写真を撮りまくったっけ・・・。この街並みを見た時は、ロザリアの身体に憑依して本当に良かったと思わず呟いてしまったほどなのだから。

それに知り合いも増えた。露天商を営んでいる老夫婦とは少しだけ立ち話をするだけの仲に発展しているし、若いお兄さんの営むナッツの店ではおやつを買う時に時々おまけをしてくれる。


「よお、ロザリアちゃん。」


すると丁度ナッツ売りのお兄さんが出店準備をしている場面に出くわして声を掛けられた。


「おはようございます、ナッツさん。」


「だから・・・俺はナッツって名前じゃないんだけどな・・まあいいや。ほれ、手を出してみな。」


「?」


ナッツさんに言われて手を出すと、彼はくるみの中身を3粒手のひらに乗せてくれた。


「ほら、サービスだよ。」


「おお~ッ!くるみじゃないですかっ!ありがとうございます、ナッツさん!今度また買い物に来ますね。」


ブンブン手を振りながらスタスタと学校へ向けて歩いていると・・。


「おい。」


背後から突然声を掛けれられた。その声は・・・。


「何?ジョバンニ。」


振り向いた先にはジョバンニが何故か不機嫌そうに立っている。


「あれ?今日は1人なの?そう言えば最近セレナと一緒じゃないんだね。」


「ふふん・・そうか・・それ程俺の事が気になるのか・・・って、何だっ!お前の素の嫌そーな目つきはっ!まるで、誰があんたなんかに・・・と言ってる目だぞ、それは?!」


「おおっ!すごい、良く当たったね。」


くるみをポケットにしまうとパチパチと拍手をしてあげた。


「う、うるさいっ!それよりも・・・何だ、今のお前の態度は?!」


「今の態度って・・いつの態度の事よ。」


こんな奴、相手にしてられない。歩き始めると、何故かジョバンニも追いかけてきた。


「おい、待てよ!ロザリアッ!くそっ・・・何て早い歩き方・・なんだ・・・。」


小走りで追いかけて来るジョバンニは、ハアハア言いながら私の後をついてくる。


「何よ、話なら歩きながら出来るでしょう?」


するとジョバンニが息継ぎをしながらとんでもない事を言って来た。


「お・・お前なあ・・ハアハア・・・一応・・。俺の・・ハアハア婚約者・・なんだろう・・?ハアハアハア・・そ、それなのに・・露店の・・ハアハア・・男とだな・・親しく・・話すなっ!ハアハア・・・。」


もう、我慢できない、限界だ。私は立ち止まり、くるりとジョバンニを振り向くと言った。


「ちょっと!いい加減にしてよっ!さっきからハアハアと荒い息をはきながら話しかけて来て・・この変態!」


「な・・な・・お、俺が・・・変態だってえ~っ!!」


ジョバンニは顔を真っ赤にして言う。


「そうだよ!この変態っ!兎に角私には構わないでよっ!大体馬車はどうしたのよ!馬車はっ!」


「そ・・そうだ!俺は・・・馬車の事でもお前に話があるんだっ!」


ジョバンニは相変わらずハアハア言いながら私をじっと見た―。

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